ご用心!親知らずのトラブルは顎(あご)に悪影響を及ぼすことがある

ご用心!親知らずのトラブルは顎(あご)に悪影響を及ぼすことがある

倒れて生えている親知らずは、顎に負担をかける原因になります。そのため、もし親知らずに痛みや腫れがあるだけでなく「顎がカクカクと鳴るなどの違和感がある」「顎に痛みがある」「口を大きく開けにくい」などの症状がともなう場合は、親知らずが原因で顎関節症が起こっている可能性があります。今回は親知らずと顎の関係について、検査方法も含めて紹介していきます。

 

この記事の目次

親知らずによって起こる顎関節症について

1-1 親知らずが噛み合わせに影響して顎関節症になるケース

親知らずに痛みがあると、食事のときに片側の歯だけで噛むようになります。これが習慣化すると、噛み合わせが悪くなることで顎に負担がかかり、顎関節症を引き起こす場合があります。顎関節症の主な症状は、口を大きく開けることができない、顎がカクカク鳴るなどの違和感がある、顎が痛い、といったことが挙げられます。

親知らずは、生えかけのときに痛みを感じる人が多いですが、生え方によってはそれ以外の時期でも痛みを生じることがあります。特に隣の歯を圧迫するように生えている場合には注意が必要です。全体の歯並びに悪影響を及ぼすため、顎関節症になりやすいといわれています。
また、上下の親知らずが噛み合あっていない状態のため、歯としての機能を果たせないケースもあります。いずれの場合でも、事前に綿密な検査を行い、必要に応じて「親知らずの抜歯」という治療法が選択されます。

 

1-2 親知らず抜歯後に開口が痛くなるのは一時的な症状。しかし油断は禁物

親知らずの抜歯手術では大きく口を開けている時間が長くなるため、術直後に一時的に顎がだるくなったり、口の開閉時に違和感を感じることがあります。また親知らずの生え方によって、抜歯の際に歯茎に少し切開を加えたり、骨を削ったりしなければいけないケースでは、術後の腫れや炎症が大きいために、抜歯した場所の後方にある口を開ける際に使う筋肉に影響が及び、口が大きく開けられなかったり、開ける時に痛みを感じるような開口障害が起きる事が時々あります。 しかし感染したための炎症でなければ傷の回復とともに1週間〜10日くらいで徐々に治っていくので心配はいりません。

ただし、腫れや痛みが1週間以上経過しても治まらない場合には注意が必要です。親知らずの抜歯は、ほかの歯の抜歯のときよりも傷口が大きくなるため、術後1週間程度は腫れや痛みをともなう炎症がおこります。この炎症により顎に負担がかかることで、非常にまれにではありますが、顎関節症になるケースがあります。

抜歯後のトラブルを防止するためにも、抜歯直後は歯茎の傷を刺激しないように注意してください。患部周辺をブラッシングするとかさぶたが取れたり、傷口を縫合した糸が切れてしまう要因になります。また、強く口の中をゆすぐことも同様です。患部付近のブラッシングや強くゆすぐことは避けるようにしましょう。

 

1-3 実は生活習慣病が原因?さまざまな要因による顎関節症

顎関節症を引き起こす要因は、親知らずだけとは限りません。たとえば歯ぎしりや食いしばりの癖は、顎に大きな負担がかかります。食事のときに片側の歯だけで噛む習慣や姿勢の悪さ、寝相なども顎関節症を引き起こす一因と考えられています。このような生活習慣の積み重ねが原因になることも顎関節症の特徴といえます。
親知らずにトラブルがなくても、顎に違和感がある場合は歯科口腔外科のある歯医者さんに相談しましょう。生活習慣を含めた広い視野で原因を探ってもらえるため、適切な治療が受けられるでしょう。

 

1-4 親知らず以外に原因があるときの、顎関節症の改善方法

親知らず以外が原因になっている顎関節症の改善方法には、生活習慣を確認し原因を調べて改善していく「認知行動療法」、顎の動きを改善していく「開口訓練」、顎の負担を減らすマウスピースの装着、噛み合わせの改善など、さまざまな方法があります。歯医者さんの総合的な診断のもと、適切な改善方法で治療してもらいましょう。

 

親知らずが歯茎や顎の骨に埋まっているって、どういうこと?

2-1 現代人に多いと言われる埋伏歯(まいふくし)とは

親知らずが生えてくる時期は10代後半〜20代前半です。 食生活の変化などの原因により、現代人は下顎の骨が小さくなっている傾向にあります。そのためすでに他の永久歯が生えそろった後では顎の骨の長さに奥行きがないため、親知らずが生えるためのスペースが少なくなってしまい、親知らずが歯茎や顎の骨に埋まったままの状態になることがあります。これを埋伏歯(まいふくし)といいます。埋伏歯には大きく、3つの種類があります。

・半埋伏(はんまいふく):親知らずが斜めに生えており、一部が歯茎に埋まっている状態
・水平埋伏(すいへいまいふく):親知らずが歯茎の中で横に倒れており、歯が表に生えていない状態
・完全埋伏(かんぜんまいふく):親知らずが顎の骨の中に完全に埋まっている状態

埋伏歯のうち、顎に直接影響をするのは完全埋伏歯です。埋伏歯は、やわらかいものを食べる機会が増えたことで顎が小さくなった現代人に多いと言われており、親知らず以外にも犬歯(糸切り歯)などで見られます。

 

2-2 顎の骨に埋まっている完全埋伏歯はどうすればよいの?

埋伏歯の中でも、特に顎に大きな影響を与える「完全埋伏歯」は、痛みなどの不快な症状はほとんど現れません。歯が表に出ていないので虫歯になることもなく、抜歯せずに温存するケースが多いでしょう。ただし、完全埋伏歯の歯根に嚢胞と呼ばれる袋状のできものや腫瘍が認められた場合は抜歯を行います。このような症状は非常に珍しく、レントゲン撮影や歯科用CTを使った検査で偶然発見されることが多いです。完全埋伏歯があるとわかった人は、歯医者さんで定期的に検診をすることをおすすめします。

 

2-3 顎には影響していないようだけど、半埋伏や水平埋伏はどうすればよいの?

親知らずが斜めに生えていて一部が歯茎に埋まっている「半埋伏歯」は、隣の歯を圧迫するケースが多くみられます。また、位置的にブラッシングがしにくくなるため、虫歯や歯周病にもなりやすいです。虫歯や歯周病を放置すれば、細菌が顎の奥にまで感染してしまうことがあります。そのため多くの歯医者さんは、半埋伏歯がある方に抜歯をすすめるでしょう。
歯茎の中で横になって生えている親知らず「水平埋伏歯」の場合も、隣の歯を圧迫して顎関節症を引き起こすことがあるため、抜歯をすることが望ましいと言えます。

 

親知らずの状態を詳しく、正確に把握するための検査方法

3-1 レントゲン撮影による検査と確認

親知らずはまっすぐに生えているものだけではありません。斜めに生えている、真横を向いている、表に生えていないなど、様々なケースがあるため、歯茎や顎の中のように目視できない部位のを状態を正確に把握ことが重要です。

そのため、抜歯手術の前にはレントゲン撮影で状態を調べ、親知らずと顎の骨、血管・神経との位置関係などを確認し、抜歯手術が必要かどうかを診断します。特に下顎の親知らずを抜歯する場合は、親知らずの歯根の近くを通る神経との位置関係をしっかりと把握する必要があります。抜歯手術が必要と診断された場合は、レントゲンのデータをもとに綿密な手術計画を立てます。

 

3-2 あらゆる角度から立体的に確認できる歯科用CT

歯科用CTは、親知らずの位置や歯根の状態、顎の骨の中や血管の配置、神経との正確な距離などが3D画像で把握できます。そのため、診断や手術計画をより的確に行うことが可能です。特に難易度が高いといわれる下顎の親知らずの抜歯では、多くの歯医者さんで歯科用CTが使用されます。
なお、すべての歯医者さんに歯科用CTが導入されているわけではありません。また難易度の高い抜歯と判断された場合には、歯科用CT撮影費用が保険適用になることがあります。ただし、詳細については事前に確認をとるようにしましょう。

 親知らずは、顎の骨に埋まっていることもあるので、生えてると自覚できないことも多いです。また、親知らずは顎と隣りあっているため、顎関節症の原因になる可能性があります。親知らずが原因で顎関節症が起こると知り、意外に思った方も多いのではないでしょうか?歯と顎の状態を正しく把握しておくことは、お口や歯の健康を維持するために重要になります。少しでも気になることある方は、歯科口腔外科のある歯医者さんに相談をしましょう。

【親知らずの相談・治療ができる歯医者さんを予約】

>>今日診てくれる歯医者さんを探す

>>明日予約の空きがある歯医者さんを探す

>>痛みが少ない治療の歯医者さんを探す

>>女性医師がいる歯医者さんを探す

>>駅から近い歯医者さんを探す

>>夜中20時~診療OK!の歯医者さんを探す

>>個室がある歯医者さんを探す

>>キッズルームがある歯医者さんを探す

 

監修日:2017年05月22日
遠藤三樹夫 先生監修
経歴・プロフィール

出身校:大阪大学
血液型:O型
誕生日:1956/11/09
出身地:大阪府
趣味・特技:料理