親知らずの抜歯後に起きる頭痛の原因とその対処法

親知らずの抜歯後に起きる頭痛の原因とその対処法

親知らずの抜歯後に頭痛を引き起こすケースがあります。根本的には噛み合わせや自律神経などが頭痛の原因とされています。この記事では、こうした原因が結果的になぜ頭痛を引き起こすのか、また、対処法についても詳しく紹介していきます。

この記事の目次

1.親知らずの抜歯後に起こる頭痛

親知らずを抜歯した後は、傷口が痛むのはもちろんなのですが、口の中だけでなく、体のさまざまな部分に不調が出てくることがあります。特に多く報告されているのが、頭痛です。

1-1抜歯後に頭痛が起きる原因

親知らずを抜歯した後に起こる頭痛、原因は大きく分けて3つです。

・噛み合わせが原因
・アゴが原因
・自律神経が原因。

まず、噛み合わせの問題。親知らずを抜歯した後は、抜歯した側と反対側の歯で食べ物を噛むように医師に指示されます。今まで両方の顎を使って噛んでいたものを突然片側だけで噛まなければいけない。時間も倍かかります。つまり、いままでの倍の量と時間をかけて食べ物を噛んでいるため、酷使されている方の筋肉が疲労してしまいます。その疲労が頭痛を引き起こすのです。

また、親知らずを抜くことにより、いままでうまくバランスがとれていた噛み合わせが崩れてしまうことによって、頭痛を引き起こすこともあります。

また、アゴの不調が頭痛を誘発するケースもあります。親知らずを抜歯するために、かなり無理をして長時間大きな口を開けていたことにより、アゴがずれてしまうことがあります。

アゴがずれるということは、体全体の骨格バランスが崩れていることを意味します。骨格のバランスが崩れてしまうと頭痛が起きることがあるのです。特に今までアゴが外れたことがある人や、顎関節症を持っている人は、アゴのずれを疑ってみましょう。

最後に、自律神経の問題があります。親知らずの抜歯に対する恐怖や処置中の緊張感。抜歯後の患部の痛みや不自由さからくる憂鬱な気持ち。それらの要素が重なって、自律神経に影響をきたし頭痛が起こる場合もあります。

こちらは親知らずの抜歯が直接的な原因とは言い難いですが、抜歯が引き金になって起こることも十分ありえますので、心当たりのある方は注意しましょう。

1-2頭痛に伴って起きる症状(吐き気、肩コリ、めまい)

噛み合わせは実は体の健康にとても重要な要素をもっています。噛み合わせが悪くなってしまうと、頭痛に伴い、肩コリやめまい、吐き気、もっと酷くなってしまうと運動障害や知覚障害など、体の広範囲に渡ってさまざまな症状が現れてしまうことがあるのです。こういった噛み合わせのバランスの悪さによって引き起こされる症状は「咬合関連症」と言われます。

しかし、これらの症状が全て咬合関連症の原因であるとは限りませんので、一週間以上長引くような頭痛は我慢せずに医師に相談しましょう。

2.頭痛を和らげる方法

ここまでは親知らずの抜歯後に起こる頭痛の原因について詳しく解説してきました。次に、起こってしまった辛い頭痛の対処法をいくつかご紹介していきましょう。共通して言えることは、アゴや患部を刺激せずに、じっくり休ませてあげることが大切だと言うことです。

これから紹介する方法は、個人差はあれど、ある程度の効果が期待できるものばかりです。しかし、あまりに辛い時は無理をせずに、すぐに医師に相談することも大切だと言うことを覚えておきましょう。

2-1柔らかい歯ブラシを使う

親知らずの抜歯後の傷口は非常にデリケートで、少しの刺激にも非常に敏感になってしまっています。抜歯後に歯科医から特に指示がなければ、歯ブラシは柔らかめのものを、歯磨き粉は低刺激のものを使うようにしてください。

傷口の周りをやさしくブラッシングしてあげることで患部を清潔に保ち、傷の治りを早めます。傷の治りが早くなればその分両アゴでモノを噛むことができる日が早まりますので、頭痛が治まるのも早くなるでしょう。

 

2-2なるべく柔らかいものを食べる

たくさん噛まなければならない硬いものを食べてしまうと、そのぶん噛む筋肉も疲れてしまいます。筋肉が疲れてしまうと、頭痛も酷くなりやすくなってしまいます。

親知らずの抜歯後は、ゼリーやおかゆ、うどんなどあまり噛まなくてもよい軟らかい食べ物を摂るようにしましょう。口の中やアゴを安静にしてあげることも非常に大切です。

2-3痛み止めを使って一時的に痛みを和らげる

あまりに痛みが酷くて日常生活に支障をきたすようであれば、我慢せずに痛み止めを服用しましょう。市販の痛み止めを用法や用量を守って使ってもいいですが、やはり医師に相談して、痛み止めを処方してもらうのがベストだといえます。

3.頭痛が原因の発熱が出た時の対処法

親知らずを抜歯した後に頭痛に伴って発熱する人もいます。親知らずの抜歯後、2日から3日38℃くらいの発熱をすることはよくあるケースです。ここでは、親知らずを抜歯した後に頭痛とともに発熱した場合の対処法をご紹介していきます。

ただ、熱があまりにも高熱だったり、長引いたりする場合は感染症の疑いがあったり、または抜歯とは関係のない病気の可能性もありますので、すぐに医師の診察をうけることをおすすめします。

3-1 痛い部分を冷やす、または圧迫する

片頭痛にも効果的な対処方法ですが、痛みがある部分の血管を収縮してあげることが、一番即効性があると言われています。痛い部分を冷やし、圧迫することによって拡張している血管を収縮させてあげます。また、頭を冷やしても解熱効果は期待できませんが、非常に気持ち良く気分も楽になります。

3-2 頭痛に効くツボを押す

頭痛に効くツボをご紹介しましょう。

・風地・・・首の後ろ側、首の骨の両脇の髪の生え際、くぼんでいる部分が、頭痛に効くツボ、風地です。指でしっかりと押してみると、コリコリした感覚があります。そこをしっかりと削いでいくような感覚で押してみましょう。

・完骨・・・両耳の後ろの骨がふくらんでいる部分の下にあるくぼみが完骨です。指をぐっと上に押し込むようなイメージでツボ押ししていきましょう。同時に首筋も全体的にマッサージすることで、より効果が期待できます。

親知らず抜歯後 頭痛 ツボ

3-3 首と肩を温めてマッサージ

血流を良くしてあげることも大事です。首や肩を蒸しタオルで十分に温めて血行をよくしましょう。その際首や肩のコリをしっかりとほぐすようにマッサージしましょう。マッサージすることによって、体全体の緊張がほぐれ、リラックスした状態になります。同時に蒸しタオルで目を温めてあげるのも効果的です。

抜歯後の頭痛や発熱で凝り固まった体全体をほぐしてあげることが大切です。その時に頭痛に効果的なローズマリーやラベンダーのアロマオイルをたいてもいいでしょう。親知らずを抜歯した後の頭痛や発熱は割とよくあることです。しかし、だからと言って我慢は禁物。できる対策をしっかりと行う事も大切ですが、不安があったり症状が酷い時などはどんな些細なことでも医師に相談することが大切です。

親知らずの抜歯は大変な処置ですので、体全体に支障をきたしてしまうことは仕方がないことです。ですから、医師の指示をしっかりと仰いで、早く万全な状態に戻るように、自らを労わってあげることも大切です。

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監修日:2016年08月31日
飯田尚良 先生監修
経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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