顎関節症は歯医者さんに相談するべき
1-1 顎関節の不調、まずは歯科口腔外科に相談を
口が開かない、顎が痛いという症状が起こる顎関節症になったとき、何科を受診したらいいのか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。顎の骨や関節、筋肉に関わる症状だからと整形外科を受診する方もいらっしゃいますが、顎関節症に詳しい整形外科医は少ないのが現状です。
顎関節症の症状に気づいたら、まず最初に訪れるべきは歯科口腔外科の歯医者さんといえるでしょう。顎関節症は直接「歯」に関わる病気ではありませんが、顎関節症の原因を探るために、顎の構造や噛み合わせに詳しい歯医者さんに相談することをおすすめします。
1-2 噛み合わせのプロ・歯医者さんが顎も診断
顎関節症にはさまざまな原因が考えられます。打撲などの外傷がきっかけで発症することもあれば、噛み合わせの悪さや噛みしめ癖などの要因が重なって起こる場合もあります。いずれのケースでも、まずは歯医者さんに相談することで、症状の進行状況や顎関節症が起こった原因などを把握することが可能です。
また、顎関節症では噛み合わせや歯並びなどへの対処が必要になるケースも少なくありません。顎関節症の原因を探り根本から改善するためにも、歯や口内の症例に詳しい歯科口腔外科の歯医者さんで治療することがいいでしょう。
1-3 他科受診が必要なら歯医者さんから紹介することも可能
顎の痛みや違和感で歯医者さんを受診しても、一般的な歯医者さんでは対応が難しい場合があります。顎骨に骨折や顎関節の脱臼などがあり、整形外科の対応が必要なケースや、口腔外科での外科的処置が必要なケースなどがそれに当たります。
こうしたケースの場合、症状と状態に合せて、歯医者さんから適切な受診先を紹介してもらうことが可能です。顎関節症では、歯医者さんからより専門的な知見を持ち合わせた口腔外科を紹介されるのが般的です。
顎関節症に対して、歯医者さんでできること
2-1 顎関節症の原因追求
顎が痛い、口が開かない、口を閉じることができない、口の開閉にともない変な音がするといった顎関節症の症状に悩む患者に対して、歯医者さんにできることはいろいろあります。顎関節症は、さまざまな要素が複雑に絡み合いながら発症する病気です。口の中のトラブルに対する知識と経験を豊富に持つ歯医者さんならば、発症の原因を探ることができるでしょう。詳細な検査や生活習慣についてのヒアリングなどのもと、顎関節症の原因を多角的に追求してもらえます。
2-2 顎関節症の経過観察
顎関節症では、患部を安静に保つことで、自然に快方に向かうというケースもあります。そのため、よほど症状がひどい場合を除き、積極的な加療を施さず経過観察で様子を見るという対応が一般的です。歯医者さんでは、それぞれの口腔状況と症状、生活スタイルなどを考慮しながら経過を観察し、適した時期に必要な処置やアドバイスを施してもらえます。
2-3 顎関節症の痛み解消
顎関節症の痛みは、顎周辺の骨や組織が変形したり、あたりの筋肉が凝り固まることが主な原因です。また、顎関節症の痛みは顎周辺に限らず、頭部など体の各部に派生することもあります。こうした痛みに対して、歯医者さんでは鎮痛剤の処方などの対策をとってもらえます。痛み解消のための対策は投薬に限らず、温熱療法や理学療法、それに付随する生活上のアドバイスなども含まれます。
2-4 顎関節症のスプリント治療
顎関節症の症状が強い場合や長引く場合には、不具合が生じた顎関節の状態を正常に戻すための治療が行われます。夜間寝ている間に「スプリント」と呼ばれる樹脂製のマウスピースのようなものを口内に装着する「スプリント治療」が一般に広く用いられています。スプリント治療は歯医者さんでのみ可能な治療です。顎関節への負担を軽減しながら顎関節内部の状態を安定させることができるため、顎関節症の改善が期待できます。
2-5 必要な他科受診のアドバイス
歯科口腔外科が併設されている歯医者さんを受診した場合は別ですが、一般的な歯医者さんを受診した場合には、必要に応じて歯科口腔外科受診をすすめられることがあります。歯科口腔外科が身近にないという方にとっては、受診先の紹介を受けられることは嬉しいポイントといえるでしょう。また、顎関節症の原因に心理的要因が疑われる場合には、心療内科、精神科など他科受診をすすめられるケースもあります。
顎関節症に関わる診療科
3-1 歯科口腔外科
顎関節症は、世の中の半分の人が一度はなると言われるほど身近な病気です。まず最初に受診をおすすめするのは歯科口腔外科ですが、身近に歯科口腔外科がないという方もいらっしゃるでしょう。もちろん、一般歯科でも経過観察、投薬、生活上のアドバイスなどで対応可能です。しかし、より専門的なアプローチが必要となるケースや、症状緩和のためには外科的な処置などが必要になるケースでは、歯科口腔外科を受診しましょう。
3-2 矯正歯科
顎関節症の原因が、歯並びと噛み合わせの悪さにあることが明らかな場合は、矯正歯科での治療も有効です。通常の矯正治療に加えて、顎の骨を正常な状態に戻す矯正が必要となります。矯正治療の知識や経験が豊富な医師が在籍している医院を選ぶようにしましょう。このような場合も、一般歯科受診後に、必要に応じて適切な機関を紹介されることがあります。
3-3 心療内科・精神科
ストレスや精神不安などによる歯ぎしりや睡眠不足などが原因となっている顎関節症では、心療内科や精神科を受診することで症状が緩和するケースもあります。カウンセリングや投薬、生活上のアドバイスなどが治療の中心になります。
3-4 整形外科
「顎関節症といえば関節の病、関節といえば整形外科」と、顎関節症の症状に悩んで整形外科を受診する方も見受けられます。しかし、顎関節症は口内環境も関わってくるため、症例に詳しい整形外科医がそれほど多くないのが現状です。顎関節症の治療は歯科口腔外科で診療可能なので、歯科口腔外科を受診しましょう。
3-5 鍼灸・整体・カイロプラクティックなど
鍼灸・整体院やカイロプラクティックなどの治療院で、顎関節症改善を売りにしている施設も多くあります。腰痛や肩こりなどと同様に、顎関節症も関節と筋肉に関わる疾患であることから、こうした治療院での施術で改善が見込めることもあるでしょう。
しかし、すべての治療院で顎関節症が治せるわけではありません。また、口腔内の不具合が改善しなければ顎関節症の症状が緩和しない可能性も高く、状態によっては施術で悪化する可能性もあります。鍼灸・整体・カイロプラクティックで施術を受ける前に、歯科口腔外科に施術を受けてもいいか相談しましょう。
多くの人が人生で一度は経験するといわれる顎関節症。いざ症状が現れたときは、どこに相談すべきか悩むこともあるでしょう。そんなときには、歯だけでなく顎や噛み合わせに詳しい歯科口腔外科併設の歯医者さんを受診することをおすすめします。担当の歯医者さんと相談しながら、ご自身の症状にあわせて、適した治療法を模索してみてください。
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