今さら聞けない!インプラントとは一体どんな治療?

今さら聞けない!インプラントとは一体どんな治療?

20代、30代でも、歯のトラブルや事故などで抜歯をしなければいけない事態に直面することは少なくありません。そこで歯医者さんに、「インプラントという方法もありますよ」などとすすめられた方もいるかもしれませんね。しかし、実際にインプラントとはどんな治療なのでしょうか?漠然とインプラント治療は費用が高いと思っている人も多いですが、それだけにメリットも豊富です。インプラント治療をもっと詳しくなりたい方のために、インプラント治療の詳細や費用、メリットデメリットなどについて触れていきます。

この記事の目次

1.インプラントとはどんな治療?

1-1 歯だけじゃない?インプラントの本来の意味

インプラントとは、身体の中に埋め込む医療機器などを差していいます。例えば、心臓のペースメーカー、人工関節などが代表的なものです。ほかにも、豊胸手術などでよく知られるシリコンなどもインプラントにあたります。

歯医者さんでよく耳にするインプラントとは、正しくは歯科インプラントや、デンタルインプラントトいわれるものです。歯医者さんでのインプラントといえばこのデンタルインプラントが主となるため、一般的に「インプラント」と呼ばれるようになりました。

1-2 インプラントの治療方法とは

歯科インプラントは、顎の骨に埋め込んで固定する義歯のことです。事故で歯を失ったり、虫歯や歯槽膿漏などの歯科トラブルで抜歯しなければいけなかったり、また、先天的に歯がない場合などにこのインプラントでの治療が行われます。歯を失ったとき、入れ歯や差し歯を思い浮かべる人も多いですが、歯科インプラントの場合は直接歯茎に固定して、本物の歯と同じように使用できるのが特徴です。

1-3 インプラントの構造

インプラントは骨に義歯を埋め込んで治療を行います。義歯を埋め込むためには、まず、固定するために必要なネジを歯茎に埋め込み、その後、アバットメントと呼ばれる義歯を固定するためのスクリューをはめて、その上に義歯をかぶせます。

インプラントの材質は強度があり、アレルギー反応などが起こりにくい生体親和性が高いものが使われます。ネジの部分にはチタンやチタン合金が使用されるのが主流です。

1-4 手術法は1回法と2回法の2種類

インプラントは1回法と2回法に分かれます。1回法は切開手術を1回、2回法は切開手術が2回必要となります。麻酔下での切開手術が2回行われることから、身体への負担は2回法の方が大きいといえます。
以前は感染症リスクなどの関係から2回法が主流でしたが、近ごろでは適切な処置により1回法でも感染症のリスクが減らせることから、1回法を行う歯医者さんも増えています。1回法を行うには口腔内の状態を見てから判断します。2回法が可能でも1回法が不可能ということがあるため、詳しくは歯医者さんに相談し、判断してもらうといいでしょう。

2.インプラント治療のメリットとは?

2-1 しっかりと義歯を固定することができる

インプラント治療のメリットは、噛み合わせに不便のないように歯茎に歯をしっかり固定できることです。差し歯やブリッジなどは取り外しが可能な分、ものをしっかり噛めないなどのトラブルがありますが、インプラントは自分の歯と遜色なくしっかり固定ができます。そのため、ぐらつきなどがなく、食事の噛み心地などにも違和感がほとんどありません。

2-2 健康な歯を傷つけずに済む

ブリッジや差し歯など、一部の治療では現在残っている健康な歯も削らなければいけないことがあります。その点、インプラント治療では現在ある健康な歯を傷つけることがありません。できるだけ自分の歯を健康なままキープしたい方にはとてもいい治療法です。また、歯を失うと空いたスペースに隣の歯が倒れてきて歯並びが悪くなる恐れがあります。インプラント治療をすることで隙間がなくなるので、そのリスクが回避できるのもメリットのひとつです。

2-3 見た目の自然さも

インプラント治療は、差し歯のように外側に表出する金具がありません。見た目に自然な仕上がりとなるので、審美の面でもメリットがあります。

3.インプラントのデメリット

3-1 手術が必要

インプラント治療を行うには、インプラントを顎の骨に埋め込む手術が必要です。手術が受けられないような健康状態の場合、インプラント治療は難しいので、一部の人にはハードルが高いといえます。他にも、治療期間が長いため、ある一定期間を治療に当てられる人でなければなりません。仕事などの関係で時間がなく、治療を受ける時間がなければインプラント治療は難しいでしょう。

3-2 本来の自分の歯よりも感染に弱い

インプラントを埋め込む際、骨に結合させる過程を踏みます。しかし、本来の自分の歯よりも粘膜との結合が弱いため、プラークが溜まるとそこから菌が繁殖してしまうリスクもあります。これを防ぐには常日頃の丁寧なメンテナンスが大切です。術後は定期的に歯医者さんで診てもらうなどして、プラークを除去したり、プラークコントロールすることも忘れないようにしてください。
インプラント治療後に数年間の保証期間を設けている歯医者さんもありますが、定期健診を絶やさないことが条件であるケースが多く見られます。基本的にインプラントは、数か月に一度の定期的なメンテナンスが前提であることを覚えておきましょう。

3-3 顎の骨の状態に左右される

インプラント治療は、顎の骨の状態が悪ければ治療を行えません。例えば、インプラントを埋め込む場所に顎の骨が足りなければ、インプラントを埋め込むことができずに治療が進められないのです。この場合、歯医者さんによっては骨を増強させる施術が可能なこともあります。その場合はさらに治療期間が延びるので、治療に踏み切るには注意が必要です。

3-4 治療費が高額になる

インプラントは治療費が高額です。保険も適用されないため、自由診療となり、患者さん自身に全額負担が強いられます。それが大きな治療に踏み出せない大きな壁になっているのが現状なのです。
しかし、特別な条件に当てはまれば保険適用となる場合もあります。

・腫瘍などの病気や事故等で顎の骨が3分の1以上連続で失われた場合や、その状態から、骨移植によって顎の骨が再建できた場合
・先天性疾患で3分の1以上の顎の骨が連続で失われている場合
・顎の骨の形成不全

ほかにも、保険診療でインプラント治療を受けるなら、以下の医療機関を受診する必要があるので覚えておきましょう。

・入院用ベッドが20床以上ある病院ないの歯科、歯科口腔外科
・上記の病院の歯科または歯科口腔外科で5年以上の治療経験がある、またはインプラント義歯の治療経験が3年以上ある歯科医師が常勤で2名以上働いている
・当直体制が整っている
・国が定めた医療機器や医薬品の管理が整っている

上記の条件に漏れる場合は、どの場合も保険は適用されないので注意しましょう。

4.インプラント治療にかかる費用とは?

4-1 インプラント治療の費用は歯医者さんによって変動する

ここでは、わかりやすく1本のインプラントにかかる費用を紹介していきます。
インプラントの費用は、顎に埋め込むネジのような部品「インプラント体」、インプラント体の上に義歯を固定するための「アバットメント」、義歯部分である「上部構造」の3つから導き出されます。多くの場合、1本のインプラントに30万円前後の費用がかかります。
インプラント治療は基本的には自由診療となりますので、費用は歯医者さんによって大きく変動することも忘れないでください。おおよその相場は30万円〜50万円程度ですが、詳しい費用については治療を受ける歯医者さんに尋ねるようにしましょう。

4-2 インプラント体の費用は15〜20万円程度が目安

顎の骨に埋め込むインプラント体の費用は、1本あたり15〜20万円程度が目安です。
これはメーカーによっても違うため、ひとつの目安として頭に入れておきましょう。インプラント体は骨に埋め込むものなので粘膜にも触れます。そのため、アレルギーなどが起こりにくいチタン製が主流となっています。

4-3 アバットメントの費用は5~15万円程度が目安

義歯をかぶせる土台となるアバットメントは、1本あたり5~15万円程度が目安です。
歯茎の粘膜に触れる部分なので、チタンやジルコニアなどの素材が多くなります。アバットメントは歯茎の形に合っていないと細菌が繁殖する可能性があるため、既製品が使われるのはごく一部の場合のみです。基本的には型取りをして作成する方法が主な治療工程となります。

4-4 上部構造の費用は5〜15万円程度が目安

被せる義歯の部分は、1本あたり5〜15万円程度が目安です。素材はジルコニアが使われることが多いです。また、アバットメントとかぶせものの上部構造が一体化したものもあります。

4-5 前歯に使う審美ジルコニアの費用は14万円前後が目安

前歯など、特に見た目が気になるところの被せ物には、審美ジルコニアを使用します。こちらは通常の上部構造よりも少し費用がかかり、1本あたり14万円前後です。自然な透明感があるため、不自然な白さがないのが利点です。

5.インプラントは他にも費用がかかる?

5-1 顎の骨に問題がある場合は、骨再生治療の費用がかかる

インプラントを行うにあたり、顎の骨が足りないなどの問題が見られる場合は、同時に骨の厚みを作る治療を行う必要があります。厚みが足りないとインプラントがしっかり固定されないためです。人工の骨や患者さん自身の骨を用いて厚みを増す施術を行い、追加費用は大体5万円程度が目安となります。ただし、インプラントの手術と別日に行う場合は追加費用がかかることもあるので、事前に歯医者さんにちゃんと確認しましょう。

5-2 痛みに弱い人は麻酔費用がプラスになる

手術が怖かったり、痛みに弱かったりする人は、静脈内鎮静法という、意識を寝ている状態に近づけて治療ができる方法を用いることがあります。この静脈内鎮静法は7万円前後の費用がかかります。

5-3 インプラント治療ができるかどうかの事前審査にも費用がかかる

インプラントは誰でもできるものではありません。事前にCTを使うなどして、骨の状態を調べる検査を行う必要があります。他にも、シミュレーションなどを使って画像診断をしたり、インプラントを長期的に使うための調査をしたりすることが必要です。

歯科用CTでの検査は無料で行っている歯医者さんもあり、費用が掛かる歯医者さんでの相場はおおよそ1万円程度です。また、歯科用CTが院内に無い歯医者さんだと外部に撮影を依頼することがありますが、その場合だと2万円程度が相場となります。インプラントは自由診療になるため、歯医者さんによって費用が異なり、負担も大きいものです。しかし、その他の義歯、入れ歯などの治療と違って、しっかりものが噛める、見た目も自然であるなど、その利点も無視できません。作り直しが必要な入れ歯など違って長期間にわたり使用できるインプラントは、ランニングコストの面でもメリットになります。歯医者さんには治療費、今の骨の状態、治療期間、治療方針など、さまざまな相談が可能なので気軽に話してみてください。前もって不安や疑問点はすべて解消して、納得した状態で施術にのぞむようにしましょう。

【今日、求めていた歯医者さんが見つかる】

>>今日診てくれる歯医者さんを探す

>>明日予約の空きがある歯医者さんを探す

>>痛みが少ない治療の歯医者さんを探す

>>女性医師がいる歯医者さんを探す

>>駅から近い歯医者さんを探す

>>夜中20時~診療OK!の歯医者さんを探す

>>個室がある歯医者さんを探す

>>キッズルームがある歯医者さんを探す

 

監修日:2017年05月22日
鄭尚賢 先生監修
経歴

歯科医歴:11年
出身校:東京歯科大学