作った後、そのまま永遠に使える義歯は存在しません。しかし、落下などで破損した場合を除けば、何度も作り直すようなことは起きないでしょう。義歯は歯医者さんで定期検診を受けながら、その都度調整をする必要があります。入れ歯が合わなくなったと感じながら調整せずに使い続けると、口内やあごの骨に悪い影響がでてくる可能性があるので注意が必要です。今回は、どのようなときに義歯の調整や修理が必要になるのかについて解説します。また、歯医者さんで行う義歯の定期検診についても詳しくみていきましょう。
作った後、そのまま永遠に使える義歯は存在しません。しかし、落下などで破損した場合を除けば、何度も作り直すようなことは起きないでしょう。義歯は歯医者さんで定期検診を受けながら、その都度調整をする必要があります。入れ歯が合わなくなったと感じながら調整せずに使い続けると、口内やあごの骨に悪い影響がでてくる可能性があるので注意が必要です。今回は、どのようなときに義歯の調整や修理が必要になるのかについて解説します。また、歯医者さんで行う義歯の定期検診についても詳しくみていきましょう。
この記事の目次
義歯が完成し、初めて装着するときに最初の調整をします。義歯をどれほど精巧に作ったとしても、使用されるプラスチック系素材の性質上、金型に流し込んだ後、冷めて固まるときに少し縮んでサイズが小さくなります。この縮みによる違いを調べ、口内の実際の形に合わせながら調整していきます。最初の調整後は、口になじませながら1カ月で4~5回程度の調整が必要です。
日常生活をしていくなかで、痛みが生じた部分を調整して不具合を改善していきます。また、義歯を使うことで噛み合わせが変わるため、食事のときに頬の内側や舌を噛んでしまうことがあります。通常は慣れにより解消しますが、いつまでも噛んでしまうようなことがあれば、義歯を調整することをおすすめします。
義歯の異物感や義歯による会話のしにくさも、慣れによって減少するといわれています。2週間~1カ月ほど様子を見て、それでも異物感が気になる、しゃべりにくいなどの不具合があれば調整してもらいましょう。
義歯の装着中に、吐き気や胸のむかつきを感じた場合は、義歯の歯肉部分や床(しょう)が長すぎることで、のどの奥を圧迫している可能性があります。その場合は、義歯の奥の部分を削るといった調整や修理が必要です。
特に総義歯の場合は、上あごの歯肉の大部分を義歯床で覆ってしまうため、義歯の装着以前より食事の温度や味がわかりにくくなります。中でもプラスチック製の義歯は非常に熱が伝わりにくく、温度がわかりにくいことが原因で口内をヤケドするケースも少なくありません。そのときは、熱が伝わりやすい金属の義歯床に交換したり、歯肉を覆わないタイプの義歯に調整・修理することをおすすめします。
大幅な体重の変化や加齢により歯茎がやせるといった口内環境の変化が起こると、義歯が合わなくなることがあります。装着時に義歯がゆるいと感じる場合や、何もしていなくても外れやすくなる場合には調整が必要です。
人工歯はすり減りはないか、クラスプ(義歯を固定させるためのフック)の変形はないか、義歯床(ぎししょう/義歯の土台)のひびや人工歯の欠けはないかなど、義歯を外したときに使っている義歯をよく観察してみましょう。もし、このような劣化があった場合は放置せず、大きなトラブルになる前に歯医者さんに相談しましょう。
カウンセリングでは、義歯について困っていることを歯医者さんに聞いてもらいます。痛みはあるか、あるとしたらどの程度なのか、いつ頃からなのかなど、できるだけ詳しく話しましょう。カウンセリング後は、義歯の噛み合わせやクラスプの状態、残存歯やあごの骨の健康状態などの検査を行い治療計画をたてます。
義歯の一部が粘膜にあたって痛いといった軽度の不具合は、その日のうちに調整が完了できることがあります。1日で調整が終わらないときは、回数を分けながら微調整を繰り返していきます。調整の進め方は歯医者さんによって異なるため、即日調整については検査をする歯医者さんに確認しておきましょう。
1日で調整が終わらない場合は、1カ月ほど時間をかけて数回に分けながら義歯と口内の両方を整えていくことがあります。義歯の形を整えることで痛みなどの違和感をとりながら、痛みを引き起こしている腫れや噛み合わせなどの治療も行います。
義歯にした場合でも、残っている歯に虫歯や歯周病が起こってしまうリスクがあります。口内の問題を早期発見・早期治療するためには、義歯完成後の調整以降に大きな不具合がなくても、定期的な検診を行うことが重要です。虫歯や歯周病の発見が遅れてしまい、残っている歯を抜歯することになってしまった場合は、義歯自体を作り直さなくてはいけないことがあるので注意しましょう。
「頬の内側を噛みやすくなったから、その部分の歯をやすりで削ればいいだろう」「人工歯が少し欠けてしまったから、接着剤でくっつけてしまおう」など、ちょっとした不具合だからといって、自己流で調整・修理するのはやめましょう。義歯自体が壊れてしまうことがあります。ちょっとした不具合であっても、歯医者さんに相談して調整・修理していきましょう。
定期的な検診を受けずに、そのうち慣れるからと義歯の不具合を放っておくと、嚙む力の負担が一部の歯や歯茎だけにかかるようになり、噛み合わせなどに悪影響を及ぼします。あごの骨も同様に、痛みなどの症状を引き起こすことがあります。
口内が健康であっても、あごの骨や歯茎がやせるなどの口内環境に変化があると、義歯を装着したときに違和感がでてきます。また、歯周病や虫歯などの疾患が起こった場合も、義歯の調整が必要になります。装着感のよい整った状態を維持したいのであれば、3カ月に1回の定期検診がおすすめです。定期検診による調整と治療にかかる金額は、義歯や口内の状態によっても異なるため、その都度歯医者さんで確認しましょう。
義歯の不具合は、放っておいても改善されることはありません。装着しているときに痛みがでる、口内に異物感がある、頬や舌を噛む、外れやすい、などの問題がでてきたら、自己流で調整せずに歯医者さんで調整・修理してもらいましょう。また、特に不具合を感じていなくても、歯医者さんで行う定期検診を3カ月に1回行うことが重要です。定期検診で口内の健康を保ち、義歯が引き起こす問題を予防していきましょう。
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1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る