顎の骨を削らない!進化を続けるインプラント技術の紹介

顎の骨を削らない!進化を続けるインプラント技術の紹介

顎の骨を削らないで治療できるインプラントを知ご存知でしょうか?インプラント治療とは歯を失った部分の歯茎を切開し、ドリルで顎の骨を削り穴を空け、人口歯根を埋入する手術です。「激しい痛みがあるのではないか」と、恐怖心を感じる方も多いのではないでしょうか。

最近は、骨を削らずにインプラントを埋入できる手術方法が開発されています。この記事では、ドリルで大きく骨を削らずにインプラントを埋入できる治療法をご紹介します。

 

この記事の目次

インプラントの基礎知識

1-1 インプラント治療とは?

インプラント治療は、失った歯を人工的に復元し、もとの自分の歯に近い咬み心地を可能にする手術のことです。歯が抜けてしまった部分の歯肉を切開し、顎の骨にドリルで穴を空け、チタンなどの金属でできた人口歯根(インプラント)を埋め込みます。埋め込んだ人口歯根の上に土台を設置し、人口の歯を取り付けることで、元の自分の歯と同じような咬合が可能になります。自然歯になじみやすく、違和感のない口元を作ることができるメリットがあります。

 

1-2 インプラント治療に必要な準備

インプラント治療は、歯科口腔外科の手術になるため、手術前にはさまざまな準備が必要です。事前準備のポイントは大きく分けて3つあります。

1つ目は、口腔内の診察です。インプラント治療は、虫歯や歯周病などの治療が終わっていることが前提になります。手術時の傷口から虫歯菌や歯周病菌が感染する恐れがあるからです。

2つ目は、持病の確認です。心臓や血液の病気、糖尿病などの持病があり、日常的に薬を服用している方は、必ず医師に相談しましょう。

3つ目は費用と治療期間についてです。治療期間や手術の難易度により期間や費用も変わってきます。治療方針や具体的な手順は、担当医師に納得がいくまで説明を求めましょう。また、手術直前に体調を崩し、ひどい咳や鼻炎、発熱などの症状がある場合は、手術ができないこともあります。

 

1-3 インプラント治療は怖い?不安を感じる方へ

インプラント治療は、歯肉を切開するメスや骨に穴を空けるドリルなど、外科器具を使って手術を行います。強い恐怖心を覚えるかもしれませんが、麻酔を使って手術を行うので術中の痛みを直接感じることはありません。

しかし、一般的には局部麻酔を使うため、意識があり手術されている状況がわかります。手術に対しての不安や恐怖心が強い方は、少量の鎮静剤を使い意識がぼんやりした状態で手術が受けられる「静脈内鎮静法」もあるので我慢せず、医師に相談するようにしましょう。

また、個人差はありますが、手術後に患部が腫れたり、強い痛みが出たりする場合があります。傷口からの雑菌や出血による傷口の腫れが原因なことが多く、処方された抗生剤や止血剤等の薬を正しく服用することで、およそ1週間から10日で症状が治まります。

 

従来のインプラント治療方法を検証

インプラント 骨 削らない

 

2-1 顎の骨を削るタイプの一般的な術式とは

一般的なインプラントは、歯根部分にあたるフィクスチャー、人工歯を支える土台部分になるアバットメント、人口歯の3つのパーツから1本の歯を作ります。

手術方式は2つあり、1つ目は、「1回法」といわれる手術で、1回の外科手術でアバットメントまで取り付けを行う術式です。

2つ目は、「2回法」といわれる手術で、フィクスチャーとアバットメントが分かれている2ピースタイプの部品を使います。フィクスチャーを埋入する一次手術の後、歯茎部分にふたをして縫合し、骨とフィクスチャーが結合するのを待ってから再度歯茎を切開し、アバットメントと人工歯を取り付けるための二次手術を行う術式です。

どちらも、骨とインプラントの金属が結合するまで3ヶ月から半年ほどの安静期間が必要です。

 

2-2 従来のインプラント治療のリスク

1回法、2回法共通のリスクですが、従来の手術では、歯肉を切開してドリルで顎の骨を削るため、傷口がふさがるまでに雑菌が入って化膿したり、出血による痛みや腫れなどが出る可能性があります。また、治療後しばらくすると、上部に取り付けた人口歯がグラグラしたり、食事のときに咬むと痛みや違和感を覚えるなど、不具合が生じることもあります。非常にまれなケースですが、骨との結合が何らかの要因でうまくいかずインプラントが折れてしまうなどのトラブルも確認されています。

インプラント治療は、保険適用外の治療になることが多く、1本につき40万から50万円の自己負担費用がかかります。手術後に起きうるトラブルや、その際の費用についてもリスクとして確認しておきましょう。

 

2-3 インプラントと義歯の違い

インプラント治療が一般的になる前は、歯を失った方は入れ歯やブリッジといった義歯で対応していました。しかし、入れ歯の場合は咬み合わせや歯茎との接触部分に違和感があり、自然歯と同じ感覚で食事をすることは難しいとされ、歯茎の摩耗など口腔内の変化によって作り変えが必要なので費用も高価になる傾向があります。また、一般的な義歯は審美性が低く、口臭なども発生しやすくなります。

一方、ブリッジは咬合の違和感は少ないものの、ブリッジをかけるために健全な歯を削る必要があるため、残った健康な歯に負担をかけてしまうリスクをともないます。

 

最新技術!骨を削らないインプラント

3-1 ドリルを使用しない「スプリッティング法」

「スプリッティング法」とは、骨部分に小さな穴を空け、骨幅を広げる器具を挿入して骨を圧迫しながら押し広げてインプラントを埋入する穴を作る術式です。傷口が小さいため痛みが少なく、出血が抑えられるという特徴があります。

また、骨の弾性を利用して穴を拡大させるので、埋入したインプラントが固定されやすく、安定した土台が作れるといわれています。この方法は、骨幅が薄い顎の骨幅を増大させるGBR法と併用しての施術が可能です。

 

3-2 痛みが少ない「大口式インプラント法(OAM)」

リーマーいう鍼灸治療で用いる細い針のようなで器具で顎骨に通り道を作った後に、O.A.M.オーギュメーターという器具を挿入し、少しずつ骨を圧迫して穴を広げていく術式です。穴の大きさに合わせてオーギュメーターのサイズを大きくし、骨に負荷を与えて押し広げます。

圧迫された骨は密度が高くなることで全体的に太くなり、強度が上がる効果が見込めます。この方法は、傷口を作らないため出血がなく、治りが早い特徴があります。

 

3-3 削らないインプラント、治療期間と費用

術式にもよりますが、1日でインプラントを埋入し、仮歯をつけるまで対応可能な場合もあります。ただし、インプラントと骨が完全に結合するまでにかかる期間は半年程度といわれているので、人口歯を取り付けて治療が完了するまでには半年から1年をみておくようにしましょう。

保険適用外になるケースがほとんどで、費用は医院によって異なります。従来の切開して骨を削るインプラント治療の相場は、1本につき約50万円くらいです。削らないインプラント治療は、この料金にプラス10万から20万円が目安になります。また、骨を増やす手術を併せて行う場合は、5万円から10万円程度の費用が追加されるので、術後のメンテナンスも含めたトータルの費用を事前に確認するようにしましょう。

 

3-4 治療後のメンテナンス

治療後は、元の自分の歯のときと同様に歯ブラシでブラッシングをおこない、定期的に虫歯や歯周病の検診を受けるようにしましょう。また、埋入したインプラントが歯茎で締め付けられるような違和感がある場合は注意が必要です。

歯茎への圧迫が強い状態が続くと、顎の骨に負荷がかかり損傷する可能性もあります。食事をすると痛みを感じたり、歯茎の腫れを見つけた場合は、なんらかのトラブルが発生している場合があるので、早めに受診するようにしてください。

 

インプラント治療のメリット・デメリット

インプラント 骨 削らない

 

4-1 骨を削らない治療のメリット

骨が薄くて従来のインプラントの手術方法では施術できないと言われた方は、削らないインプラント治療方法が適しているかもしれません。骨を圧迫して広げる施術を行うことで、骨密度が上がり強い骨を作るからです。

骨が柔らかかったり、骨粗鬆症の方でも治療できる可能性があるので医師に相談してみましょう。また、切開部分がないため腫れや痛みが少ないので、治りが早い特徴があります。

 

4-2 骨を削らない治療のリスク

切開部が少なくても、人体に金属部品を埋入することは従来の手術と同じです。金属や麻酔に対するアレルギーの不安がある方は、必ず医師に相談して事前に検査を受けるようにしましょう。また、医師の熟練した技術と知識が必要な治療方法なるので、実績のある医師かどうかを確認し、手術方法について納得がいくまで説明してもらいましょう。

 

4-3 インプラント治療が向いていない方

歯周病などによる口腔トラブルを抱えている方、心疾患や内臓疾患、糖尿病などの薬を服薬中の方は、インプラント治療が可能かどうか病気の担当医師と歯科医師の両方にへ相談しましょう。

また、顎の骨が極端に少なかったり、骨がもろいなどの異常が見られる場合は、インプラントを埋入することで顎自体が壊れてしまうこともあります。精密検査を受けて医師の指示に従いましょう。

さらに、インプラントは治療に適した年齢があるので注意が必要です。まだ顎周辺の骨が成長段階の可能性がある20歳以下、代謝や治癒力の低下が見られる70歳以上はインプラント治療が可能か歯医者さんと相談する必要があるでしょう。

 インプラントの技術は日々進化していて、骨を削らないで済む治療法も開発されています。しかし、骨を削らない治療法が自分に適した治療方法であるとは限りません。体調、心の不安、費用など、手術に関するメリット・デメリットを正しく理解し、不安のない状態で治療を受けることが大切です。患者さんと向き合い、熟練の腕と治療実績を持つ信頼できる歯医者さんに相談しましょう。

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監修日:2017年06月25日
鄭尚賢 先生監修
経歴

歯科医歴:11年
出身校:東京歯科大学