インプラントの寿命はどのくらい?長く快適に使う秘訣とは

インプラントの寿命はどのくらい?長く快適に使う秘訣とは

天然の歯と見まがうほどの美しい見た目と自分の歯のような自然な嚙み心地を得られ、違和感が少なく、しっかり噛めると評判のインプラントですが、どのくらいの期間、快適に使用できるものなのでしょうか。一般的な入れ歯の寿命が4、5年、ブリッジが7、8年ほどであるのと比べれば、インプラントの寿命ははるかに長く、10年残存率は9割を超えています。そこで、この記事ではインプラントを長く快適に使うためのポイントについて詳しくご紹介していきます。どうぞ参考にしてください。

 

この記事の目次

インプラントって、どんな治療法なの?

1-1 インプラントとは

インプラントは、虫歯や歯周病、事故などで歯を失くした方が、歯の機能を取り戻すために行う治療のひとつです。インプラント治療では、歯がなくなった場所の顎の骨に、土台となるチタンやチタン合金製のネジ(人口の歯根)を埋め込み、ネジの上に人口の歯を取りつける治療を行います。見た目がとても自然で、自分の歯のようにしっかりと噛めることから、近年では人気の治療法となっています。

 

1-2 インプラント治療の流れ

インプラント治療の主な流れについて説明します。

1.カウンセリング
歯についての悩み、インプラントに対する不安や疑問、治療に対する要望などを歯医者さんと話し合います。患者さんの持病やライフスタイルなどについても確認します。
2.診察・検査
口の中の診察とあわせ、レントゲンやCTを使った精密検査を行います。
3.治療計画
カウンセリングと診察・検査結果の分析により、治療計画を立て、患者さんに説明します。治療費用や期間、疑問点などを確認し、患者さんが納得したうえで、治療を希望した場合には、治療が開始されます。
4.手術
顎の骨に人口歯根を埋め込む手術を行い、顎の骨と人口歯根が結合するまで待ちます。
手術を2度に分けて行う場合もあります。
※虫歯や歯周病などのトラブルがある場合は、手術の前にあらかじめ治療が行われます。
5.人口歯の製作と装着
口内の型取りを行い人口歯を製作し、人口歯根に装着します。
6.メンテナンス
インプラントの状態、噛み合わせ、インプラント周りの炎症の有無などを、定期的にチェックしていきます。

 

1-3 インプラント治療にかかる費用と期間

一般的なインプラントの治療期間は3~10か月ほどです。虫歯や歯周病のある方、骨量が不足している方などは、さらに治療期間が長くなる場合があります。また費用については1本につきおよそ20~40万円ですが、インプラント治療は自費診療となるため、歯医者さんごとに大きく異なるのが現状です。インプラントを検討している方は、あらかじめ歯医者さんにおよその治療費用について確認することをおすすめします。

 

一般的なインプラントの寿命はどれくらい?

2-1 インプラントの平均寿命は10年以上

初めてインプラント治療を受けた患者さんは、亡くなるまで40年以上もの間、インプラントを使い続けていたということです。このことからインプラントは、きちんと治療が行われ、メンテナンスとセルフケアに努めれば、長く快適に使用することが可能と言えます。近年の調査では、インプラントが10年以上きちんと機能する確率は90~95%と言われており、さまざまなインプラント保証制度を設けている歯科医院も増えています。

 

歯科医院選びとインプラント寿命の深い関係

3-1 インプラント寿命の長い歯医者さんの条件とは

インプラント治療では、顎の骨に人口歯根を埋め込む手術が必要なため、より慎重に歯医者さんを選ぶ必要があります。インプラントを長く快適に使うには、高い治療技術と豊富な経験を持ち、信頼できる歯医者さんを見つけることがとても大切です。以下のポイントを満たす歯医者さんで治療を受けましょう。

 

3-2  1.事前説明が丁寧で信頼できる

虫歯や歯周病、歯並びや、顎の骨の量など、それぞれのケースに応じた治療法を分かりやすく提案、説明してくれる歯医者さんを選びましょう。あらかじめ、口内のトラブルを治療する必要があれば、治療期間が長くなる可能性がありますし、持病をお持ちの方では、主治医の先生と相談したほうがいい場合もあります。またインプラント治療は優れた治療法ですが、メリットだけでなくデメリットもあるので、事前に確認するようにしましょう。分からないことや不安に思うことは、あらかじめきちんと確認し、納得してから治療を始めることがとても大切です。

 

3-3  2.メンテナンスを含めた費用が明確

インプラント治療は自費での治療となりますので、歯医者さんごとに費用が大きく異なります。治療からメンテナンスにいたるまで、どのぐらいの費用が必要なのか、きちんと把握して治療にのぞみましょう。治療費については、あらかじめ見積もりを取ることも可能です。希望する方は、歯医者さんにお願いしてみましょう。ただし治療費の安さだけで歯医者さんを選ぶのは、おすすめできません。治療の実績や、使用される材料なども確認し、信頼できる歯医者さんで治療を受けるようにしてください。

 

3-4 3.設備が整っている

インプラント治療の安全性と精度を高めるには、一定の設備が必要です。歯科用CTを利用すれば、顎の骨の状態や、骨の量、血管や神経の位置などを細部まで確認できます。また、手術室を備えることで、手術時の感染リスクを低くすることができます。そのほか、サージカルガイドの使用や、滅菌システムの利用により、より精密で安全性の高い治療が可能となります。

 

3-5 4.保証制度がある

インプラント治療には、安価とは言いがたい費用がかかります。そのためきちんとした保証制度を導入している歯医者さんで治療を受けることをおすすめします。一般的な保証期間は10年で、歯医者さんが個別に行っている保証、インプラントメーカーによる保証、第三者機関による保証などがあります。保証の範囲や条件は、保証を行う組織ごとに異なります。治療を行う歯医者さんが、どんな保障制度を導入しているのか、あらかじめ確認しておきましょう。

 

3-6 5.専門医が治療を行っている

日本口腔インプラント学会に5年以上所属し、認定条件を満たしたうえで、資格認定試験に合格した医師のみがインプラント専門医の認定を受けることができます。資格の更新に関しても、学会での症例報告や論文投稿、研修会への参加など厳しい条件があるため、常に新しい知識や技術を学び続ける歯科医でなければ専門医の資格を持ち続けられません。資格がなくても高い技術を持つ歯医者さんはいますが、専門医資格の有無が、インプラント治療を受ける際の指標の一つになることは間違いありません。
※日本口腔インプラント学会の資格は認定医、専門医、指導医の3つです。現在、専門医と呼ばれている資格は以前には認定医と呼ばれていたものです。また指導医は専門医を指導できる資格で、同時に専門医(あるいは認定医)でもあります。

 

3-7 定期的なメンテナンスが長寿命のカギ

インプラントの寿命は、セルフケアと歯医者さんでのアフターメンテナンスしだいで決まります。インプラント保証の条件に定期的なメンテナンスをかかげている歯医者さんが多いのは、そのためです。インプラントは天然の歯と比べ歯垢が付きやすく、汚れをきちんと落とせていない場合には、インプラント周りの歯ぐきが炎症を起こすインプラント周囲炎になル場合があります。悪化すると、歯槽骨が溶け、最悪インプラントが抜け落ちる恐れがあります。定期的に歯医者さんでメンテナンスを受け、インプラントの状態、炎症の有無をチェックしてもらい、クリーニングを受けることが大切です。

 

セルフケアとインプラントの寿命

4-1 セルフケアのポイント

インプラントは天然の歯と比べると弱いため、より注意してケアする必要があります。やわらかな毛の歯ブラシを使い、優しく小刻みに動かしながら、食後や起床時、就寝時に丁寧にブラッシングを行いましょう。人口歯と歯ぐきの間は特に汚れがたまりやすいため、意識して磨きます。歯間ブラシやフロス、ワンタフトブラシ、デンタルリンスなどの使用も効果的です。研磨剤入りの歯磨き粉は、インプラントを傷つける恐れがあるので使用しないようにしましょう。

 インプラントにチャレンジしてみたいけれど、その寿命や、治療内容、費用などに不安があり、なかなか一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。そんな方は、ぜひ一度歯医者さんに相談してみましょう。またインプラントの寿命を延ばす鍵は、プロによるメンテナンスといえます。定期的にインプラントの周りが炎症を起こしていないか、人口歯がきちんとフィットしているか、噛み合わせに異常がないかなどを歯医者さんでチェックしてもらいましょう。

今日、求めていた歯医者さんが見つかる

 

 

監修日:2017年06月25日
鄭尚賢 先生監修
経歴

歯科医歴:11年
出身校:東京歯科大学