インプラントのトラブルに!治療前に知っておくべきリスクと対策

インプラントのトラブルに!治療前に知っておくべきリスクと対策

インプラントは見た目もよく、ブリッジなどの歯科治療と比べてものをしっかり噛むことができるなど、メリットの多い歯科治療です。しかし一方で、失敗やトラブルなどのエピソードも耳にすることがあります。ここでは、歯科インプラントの治療で起こるトラブルのリスクや、そのトラブルを防ぐために必要な基礎知識を身につけていきましょう。これからインプラントを検討する方は、ぜひ参考にしてみてください!

この記事の目次

1.インプラントのトラブル例

1-1 仕上がりイメージに不満を抱くケース

インプラントをすれば、自然な見た目の歯並びが手に入ると思うものです。しかし、この「自然な見た目」というのは個々の感じ方によって違うもの。そのため、天然の歯と比べると、人によっては人工の歯は不自然に見えてしまうことがあります。これは、天然の歯との違いを認識せずに、インプラントに対する高い期待を抱いていることが原因のひとつです。「天然の歯と仕上がりは同じだと思っていたのに…」と、不満に繋がってしまうのです。

特に、前歯などの人目に触れやすい歯をインプラントにすると、「他人からインプラントしたことがわかってしまうのではないか」と、過剰に気にしてしまいがちです。また医師が説明を怠ってしまい、患者さんへ誤ったイメージを抱かせてしまうことも認識のズレへとつながります。

1-2 医師の技術不足によるトラブル

インプラント治療を行っている歯医者さんの中には、まれにインプラント治療に慣れていない歯医者さんも存在します。経験が少ないなど、技術そのものが足りずに治療をすれば、それがトラブル発生につながる原因になります。これらのトラブルを防ぐには、事前に歯医者さんで取り扱っている機器や歯科医師自身の治療実績などを調べてから受診するといいでしょう。

1-3 インプラントが脱落?

顎の骨に歯科インプラントを埋め込む治療を行いますが、そのインプラント自体が骨から脱落してしまうケースもあります。これは、インプラントの周辺がプラークや細菌などで炎症を起こしてしまうことが発生原因のひとつです。口腔ケアはもちろんのこと、炎症を押さえるための抗生物質の投与など、正しいケアを怠たることがトラブルを招きます。

1-4 外科手術が失敗するケース

インプラントでは、顎の骨にインプラントを埋め込む外科手術が必要となります。この手術の中では、上顎洞粘膜が損傷したり炎症を起こすなど、トラブルが発生する確率がゼロではありません。まずは外科手術を不安なく任せられる歯医者さんで治療を受けることが大切なポイントになります。

1-5 痛みやしびれが発生するトラブルも

インプラントの治療では、治療後に強い痛みが発生したりしびれなどが出ることがあります。また麻痺や炎症が現れるケースもあります。特にしびれについては、下顎のインプラント治療後によく見られます。この場合、インプラント治療時に神経を傷つけた可能性が高いでしょう。しびれを伴う痛みなどが発生したら、早めに歯医者さんに相談することが大切です。

2.インプラントのトラブル発生原因

2-1 医師とのコミュニケーション不足

インプラントのトラブルが発生する原因のひとつとして、歯医者さんとのコミュニケーション不足があげられます。仕上がりイメージに認識の違いがあったり、治療の方針に不安や不満があるなど、「こんなはずじゃなかった」といった事態は歯医者さんと患者のコミュニケーション不足から引き起こされることが多いのです。
コミュニケーションは歯医者さん自身がなるべく意識して増やすべきですが、治療を受ける側もなるべくわからないことは積極的に尋ねるなど、誤解が生まれないように双方が意識することが大切です。

2-2 必要なメンテナンスを怠る

インプラントをしたらトラブルを防ぐためにもメンテナンスが必要です。必要なメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎などのトラブルを招くことにもなりかねません。

インプラント周囲炎についてあげれば、インプラント周囲のプラークが原因となります。自宅で歯みがきケアをしっかりするのはもちろんですが、家庭での歯みがきなどでプラークがきちんと除去されているか、噛み合わせに問題があることでプラークが溜まりやすくなっていないか等、専門的な視点でのチェックも大切です。定期検診をするなど、家庭だけではなく歯医者さんでのメンテナンスもきちんと行うようにしましょう。

3.インプラントのトラブル防止策

3-1 インプラント実績が豊富な病院を選んで

インプラント経験の少ない歯医者さんでは、技術が十分でなく、医療知識も乏しい可能性があります。そのため、インプラント実績が豊富な病院を選ぶように心がけるのが、トラブル回避のポイントです。費用に目を向けがちですが、「安いから」と安易に歯医者さんを選ばないことも大切な要素です。インプラントの相場は全国的に見て30〜40万円前後となることが多いので、逸脱するほど安い治療費には気をつけましょう。

3-2 自分の身体の状態をきちんと伝える

ヒアリングをきちんと行う歯医者さんならいいですが、決してそういった歯医者さんばかりではありません。そこで患者さん側からも、自分の身体の状態を歯医者さんにきちんと伝えるように意識する必要があります。
インプラントをする目的はもちろん、持病などで投薬を受けている場合は、その点についてもきちんと伝えてください。また、アレルギーなどについても報告しておくことが大切で、金属アレルギーはもちろん、食物アレルギー、薬物アレルギー、麻酔アレルギーなど、一見関係がないと思われるアレルギーについてもちゃんと話しておきましょう。中には、服用している薬によってインプラント治療が受けられない可能性もあります。必ず伝え漏れのないようにし、トラブルを未然に防いでください。

3-3 ライフスタイルを伝えることも

インプラントの治療は、いざ行うとなると治療に時間がかかるものです。現在の生活のままで治療を受けることが可能なのかなど、手術が決まってから戸惑うことのないようにした方がいいでしょう。インプラントの手術で長期入院することはありませんが、最終的にインプラント治療が完了するまでには10か月などの長い時間がかかることもあります。治療を完遂できるかどうか、歯医者さんにだいたいのスケジュールを聞いておくことも必要です。

3-4 インプラントの知識を患者さんも身につける

インプラントの知識を患者さんも身につけることが大切です。一般的にいわれるインプラントのメリット・デメリットなどの基本的な知識をおさえておくことは、歯医者さんの説明が一般的な考え方と違わないか、信頼できるかどうかを測るポイントにもなります。「私の知識と違う事を言っている…」「説明があやふやだ」など、不審な点があればセカンドオピニオンなどを受けてトラブルを防ぐことも可能です。

3-5 メンテナンスをきちんと行う

インプラント治療後は、きちんとメンテナンスを行うことがトラブル防止につながります。インプラントはインプラント周囲炎などのトラブルにも見舞われやすいので、毎日きちんとデンタルケアを行いましょう。また、毎日のケアが正しく行われているか、専門家の歯医者さんにも定期的に確認することが重要です。定期検診などを受けていれば虫歯や歯周病、歯槽膿漏など、さまざまなトラブルの防止に役立ちます。

3-6 歯医者さんの指示にきちんと従う

インプラント治療を行った場合、家庭でのケア方法を指導されることがあります。そのケア方法をきちんとしないと、虫歯や歯周病、インプラント周囲炎などになるリスクが大きくなります。特に手術後は、手間ではあっても歯医者さんの指示通りのケアを絶やさないようにしましょう。適切なケアをすることで、インプラントの寿命を半永久的に延ばすことも可能になります。

3-7 規則正しい生活で歯の健康を守る

歯の健康は栄養バランスの整った食生活など、規則正しい生活でも維持されます。逆をいえば、生活が乱れることで歯の健康が脅かされる可能性もあるということです。もし今現在、自身の生活が乱れている自覚があるようなら、虫歯や歯周病などの予防にもつながるため、生活習慣を今一度見直してみるといいでしょう。

3-8 歯医者さんもトラブル対策を実施

どんなにトラブル防止策をしていても、起こってしまう可能性はゼロではありません。そのため、万が一のときにやり直しができるよう、患者さんの負担を軽減する保証制度を行っている歯医者さんもあります。歯医者さん自身もトラブルを防ぐために、色々と工夫をしているのですね。中には、自らセカンドオピニオンをすすめることもあるなど、インプラントのトラブル回避のための施策を積極的に行っている歯医者さんも多くみられます。

4.治療前に知っておきたいメリット・デメリット

4-1 メリット・デメリットと目的を検討して

インプラントをする際には、安易に決めるのではなく、メリットとデメリットを把握することが大切です。
審美的な意味合いでインプラントにするのか否かなど、目的をきちんと検討してから治療を決めるといいでしょう。歯科治療には入れ歯、矯正歯科など、他にもさまざまな治療方法があります。インプラント以外の方法もあわせて検討しながら、納得して治療を受けるようにしてください。

4-2 インプラントのメリット3点

インプラントの主なメリットには以下のような点があげられます。

・見た目が自然
・自分の歯のようにしっかりと噛むことができる
・健康な歯へ負担をかけずに治療ができる

留め具などが外に露出することがないため、天然の歯と同じような見た目に仕上げることができます。また、ものをしっかり噛むことができるので、食べるという行為に不自由がありません。入れ歯やブリッジなどは、方法によっては健康な歯を削る必要がありますが、インプラントは健康な残っている歯をキープすることができます。

4-3 インプラントのデメリット3点

一方で、インプラントのデメリットについても知っていきましょう。

・外科的手術が必要で治療時間がかかる
・高額な費用がかかる
・天然の歯よりも菌が感染しやすくトラブルになりやすい

外科的手術は少なからず身体に負担がかかりますし、治療期間も長くなります。また、インプラントは保険が適用されないケースがほとんどで、高額な費用がかかる点もデメリットです。また、天然の歯よりも感染症になりやすいので、よりしっかりとしたケアを怠らないことが必要となります。インプラント治療の実績や評判を知るのには、口コミなどを参照することがとても役立ちます。知り合いや地域の人から評判がいい歯医者さんを選ぶのはもちろん、複数の歯医者さんを見比べて、信頼のおける歯医者さんでインプラント治療をするのがおすすめです。
実際に歯医者さんへ行ったら、治療方針、費用、手術後の定期検診など、不安なことがあればすべて細かく聞いておくことを大切にしましょう。もし納得できない点があれば、別の歯医者さんでのセカンドオピニオンを検討してもよいかもしれません。
一生ものの治療ということを念頭において、慎重に歯医者さん選びをするようにしましょう。

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監修日:2017年05月22日
鄭尚賢 先生監修
経歴

歯科医歴:11年
出身校:東京歯科大学