もう迷わない!「部分入れ歯」と「ブリッジ」を徹底比較!

もう迷わない!「部分入れ歯」と「ブリッジ」を徹底比較!

人は永久歯を失ってしまうと、二度と生えかわることはありません。虫歯やケガなどが原因で歯を抜いたり失ってしまった場合、それを治療するには「部分入れ歯」、「ブリッジ」、「インプラント」と大きく3つの方法にわけられます。その中でも、「部分入れ歯」と「ブリッジ」の違いが特にわかりにくいと感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。いざというときにどの治療方法を選択すればよいのか悩まないように、本記事を参考に「部分入れ歯」と「ブリッジ」の違いを正しく把握し、自分にあった治療方法を選択できるようにしましょう。

 

この記事の目次

扱いやすさに優れた「部分入れ歯」

1-1 治療方法は「取り外し式」

「部分入れ歯」と「ブリッジ」の違いは「外せるか外せないか」にあります。部分入れ歯は「取り外し式」のため、容易に外すことができます。また、人工的な歯を金属バネで固定する方式のため、隣の歯を削らずにすみます。

 

1-2 噛む力はあまり優れていない

治療後に噛む力がどの程度回復するのかは重要なポイントのひとつです。部分入れ歯は治療した1点で咬合圧(こうごうあつ/歯を噛み合わせたときにかかる圧力のこと)を受けることになるため、噛む力が天然の歯の30~40%程度になります。また、部分入れ歯は、ガムやお餅などのくっつきやすいものが食べにくかったり、噛み合わせるときに痛みが生じることがあるので、「噛み心地」という点においてはそれほど優れていないといえるでしょう

 

1-3 ほかの歯へ負担がかかりやすい

部分入れ歯はクラスプと呼ばれる金属バネを隣の歯にひっかけて固定するため、クラスプをかけた歯に負担がかかりやすくなります。数年でぐらつきが生じて、抜歯しなくてはならないことがあるので注意が必要です。

 

1-4 金属バネが目立つ

部分入れ歯では口を開けたときにクラスプ(金属バネ)が見えやすく、入れ歯をしていることが周囲の人に気づかれやすいという特徴があります。また、上あごに装着した入れ歯が落ちてしまうことがあり、大きく口をあけることに対して抵抗感を覚える人も少なくありません。

 

1-5 お手入れのしやすさは部分入れ歯が優れている

部分入れ歯は食べかすがはさまったりして口内が不衛生になりやすいものの、取り外しが簡単にできるため、入れ歯のお手入れがしやすく、クラスプをかける隣の歯も磨きやすいというメリットがあります。

 

1-6 部分入れ歯は適応範囲が広い

部分入れ歯は本数に制限なく失ってしまった歯を補うことが可能です。一番奥の歯であっても、ひとつ手前の歯にクラスプ(金属バネ)をひっかけて固定できます。つまり、部分入れ歯は適応範囲が広いというメリットがあります。

 

1-7 気になる費用はどのくらい?保険の適用はできるの?

部分入れ歯は保険適用されるため、費用は5,000円~13,000円程度です。ただし、強度や汚れに強いプラスチック素材の入れ歯や、金属バネが目立たず装着時の違和感が少ないノンクラスプデンチャーなどについては自費診療の入れ歯となるため、100,000円から数十万円以上の費用がかかります。また、一般的な耐用年数は約7~8年とされています。

 

見た目が自然な「ブリッジ」

2-1 治療方法は「固定式」

部分入れ歯が「取り外し式」であるのに対して、ブリッジは「固定式」になります。失った部分の前後の歯を削り、人工的な歯を連結させた冠(=歯のかぶせもの)を接着剤で固定します。難点は、健康な歯であっても固定するために前後の歯を削る必要があるということです。

 

2-2 噛む力はブリッジのほうが優れている

ブリッジは連結した複数の歯で咬合圧(こうごうあつ/歯を噛み合わせたときにかかる圧力のこと)を受けることになります。そのためかける歯の状態にもよりますが、噛む力が天然の歯の60%程度となり、部分入れ歯よりも優れています。また支える歯に問題がない場合であれば、ブリッジの噛み心地は天然の歯とそれほど変わらないと感じるでしょう。

 

2-3 ほかの歯への負担は少ないが削ることでの影響はある

ブリッジはクラスプ(金属バネ)でほかの歯にひっかける必要がないため、ほかの歯への負担は部分入れ歯にくらべ少なくなります。しかし、支えになる歯を削る必要があるため、削った部分から虫歯になりやすく、冷たいものがしみたり将来的に支えになる歯を失ってしまう場合があります。

 

2-4 見た目はとても自然な仕上がりに

ブリッジは部分入れ歯と比べてとてもコンパクトで、天然の歯にあわせて形作られるため、見た目の違和感が少なく会話や食事のときにもわかりにくいです。さらに人工の歯の材料にセラミックを使用することによって、天然の歯と遜色のないきれいな仕上がりにできます。
※セラミックの使用によって保険の対象外となる場合があります。

 

2-5 お手入れは念入りに行う必要がある

ブリッジは部分入れ歯のように取り外す必要はなくそのまま歯磨きをできます。しかし、接着しているため、ポンティックと呼ばれるブリッジの橋の部分と歯茎との隙間に食べかすがつまりやすく、歯ブラシでは落としにくいため汚れがたまってしまうことがあります。

 

2-6 ブリッジは適応範囲が限られている

ブリッジは「多数歯欠損」といって欠損している歯が多い場合、支える歯の負担が大きくなりすぎるため適応できません。また、ブリッジの治療を受けるためには前後に支えの歯があることが条件となるので一番奥の歯には適応できず、別の方法の検討する必要があります。

 

2-7 気になる費用はどのくらい?保険の適用はできるの?

ブリッジも保険が適用できます。11,000円~38,000円程度の費用がかかりますが、天然の歯と遜色のない仕上がりが期待できるセラミックやジルコニアなど保険適用外の材質を使うことで、数万円から数十万円と高額になります。また、一般的な耐用年数は平均8年です。

 

念のため知っておきたい!第3の選択肢「インプラント治療」

3-1 あごの骨に固定する「インプラント」

歯を失った部分のあごの骨の中に、ボルトのような人工歯根(インプラント)を埋め込む治療方法です。インプラントを歯の根としてその上に人工の歯をはめこみます。

 

3-2 硬いものも噛むことができる

インプラント治療は人工歯根でしっかりと固定されるため、噛む力が天然の歯の約80%ほどまで回復可能で、歯を失う前と同じように硬いものでも自然に噛むことができます。

 

3-3 ほかの歯への負担を気にしなくてよい

失ってしまった歯の部分に人工歯根を埋め込むため、ブリッジのようにほかの健康な歯を傷つける必要がなく、部分入れ歯のように前後の歯にクラスプをひっかけないため、残っている歯への負担もほとんどありません。

 

3-4 見た目はまるで天然の歯

クラスプ(金属のバネ)がなく見た目が天然の歯に近いうえに、最後にかぶせる人工の歯の材質にセラミックを使うことで、とても自然な仕上がりにできます。

 

3-5 治療期間は部分入れ歯やブリッジよりも少し長め

インプラント治療には手術を1回だけ行う「1回法」と手術を2回に分けて行う「2回法」、大きく2つの術式に分類されます。1回法はインプラントを埋め込むとき、同時にアバットメントと呼ばれる人工歯の土台を連結します。通常、歯茎が回復する約1~6週間後に型をとって人工歯を作り、装着して完成となります。2回法はインプラントを埋め込んだあと、一度縫合して3カ月から6カ月程度骨としっかり結合するまで待ちます。インプラントが骨としっかり結合したら人工歯の土台となるアバットメントを装着し、1回法と同じ流れで完成します。治療期間は長くなりますが、手術そのものは30分~3時間程度で終わるため、入院することなくその日のうちに帰ることができます。

 

3-6 インプラント治療は誰でも受けられるわけではない

インプラント治療は外科手術が必要です。糖尿病や心臓病、高血圧などの全身疾患を持っている人は、インプラントの手術が肉体的に大きな負担になる可能性があるため、インプラント治療が難しいと判断されることがあります。また、インプラントを埋め込めるだけの骨量がない場合や、歯が抜けて放置していた期間が長い場合、噛み合わせに問題がある場合、強度が足りない場合なども、インプラント治療ができないと診断されるケースがあります。

 

3-7 インプラント治療は保険適用外

インプラント治療は自由診療であり保険が適用されないため、部分入れ歯やブリッジよりも費用が高額になります。費用は歯医者さんによってさまざまであり、手術の難易度や埋め込む本数などによっても違ってきますが、インプラント1本の一般的な相場は30万円~50万円ほどとされています。しかし、インプラントとあごの骨がきちんと結合すれば強い安定力を持ち、歯周病に気をつけお手入れをしっかりとしていれば、約30年使用できるといわれています。費用面や治療方法など歯医者さんに相談をし、納得できるようであればインプラント治療を検討してみてはいかがでしょうか。

 基本的に保険の適用が可能なため、歯を失ったときの選択肢に挙がりやすい「部分入れ歯」と「ブリッジ」は、似ているようですが治療方法は大きく異なります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、特徴をよく理解したうえで選択しましょう。また、失った歯の本数や場所によって希望する治療ができないこともあるので注意が必要です。また、自由診療のため高額になりますが、見た目や使用感も天然の歯に近い「インプラント治療」という選択肢もあります。歯医者さんでそれぞれの治療方法について説明を受け、十分に納得をしてから治療を受けるようにしましょう。

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監修日:2017年06月14日
飯田尚良 先生監修
経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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