口臭に悩んでいる方も多いと思いますが、なにか対策などはしていますか?朝、出かける前に洗口液で口をゆすいだり、人に会う前にガムなどを噛んだりという方もいるでしょう。しかし、それを怠るとすぐに口臭に悩まされようなら、歯周病を疑ってみるべきです。
この記事では、歯周病が出すさまざまな口臭や、口臭以外の見過ごしがちな症状、さらに歯周病の一般的な治療法から、新しい治療法まで、詳しくご紹介いたします!
口臭に悩んでいる方も多いと思いますが、なにか対策などはしていますか?朝、出かける前に洗口液で口をゆすいだり、人に会う前にガムなどを噛んだりという方もいるでしょう。しかし、それを怠るとすぐに口臭に悩まされようなら、歯周病を疑ってみるべきです。
この記事では、歯周病が出すさまざまな口臭や、口臭以外の見過ごしがちな症状、さらに歯周病の一般的な治療法から、新しい治療法まで、詳しくご紹介いたします!
この記事の目次
口内環境の悪化が招く口臭にはさまざまな原因があります。歯垢や歯石、虫歯、舌苔(舌の表面に苔のようについた汚れや細菌)、唾液の減少、臭いを吸収したレジンの歯、被せ物の腐食、蓄膿症によるものなど、いろいろです。ここでは、その中でも特に、歯周病が引き起こす口臭について、詳しく見ていきましょう。
口内には、善玉菌から悪玉菌まで、さまざまな細菌がバランスを保って生きています。歯周病を引き起こすものは、歯周病菌と呼ばれる悪玉菌ですが、実は300種類程度もあるものです。歯の表面にへばりつく性質があり、これが歯垢となったり、ミネラル分が加わって固まると、歯石になったりします。歯垢や歯石は、いわば歯周病菌の楽園なのです。
歯周病菌が出す毒素は、歯肉に炎症を起こしたり、歯茎を後退させたり、歯を支える骨を痩せさせたりします。歯周病とは、こうした症状を招き、日本人が歯を失う最大の原因にもなっています。
歯周病は、サイレントディジーズ(Silent Diease、静かな病気)ともいわれ、かなり悪化するまでは、取り立てて歯医者さんに駆け込むほどの、ひどい自覚症状が出ないものです。また、自然に治癒することもありません。これにより、気がついたときには、かなり進行している状況になりがちです。そこで、早期に対処するために、口臭を歯周病の判断材料の一つにしてみましょう。歯周病による口臭は下記の通りです。
・細菌が発生するガス臭
悪玉菌の中には、ガスを発生するものもあります。特に、空気を嫌うものは、歯垢や歯石の中などに潜み、硫化水素やメチルメルカプタンという悪臭のガスを発生させます。口臭には、内臓疾患によるものもありますが、口の中で発生する口臭に関しては、歯周病菌や悪玉菌が発生するガスが、主な原因の1つとなっているのです。
・出血の生臭さ
歯周病で、見逃してはいけない症状として、出血が挙げられます。これは、悪い細菌と戦うために、そこに血液が集まってくるからです。時折、出血しても、やがて収まっていくものなので、見過ごしがちですが、歯周病の1つのサインだと考えられます。このような理由から、歯周病では口の中が血生臭くなることがあるのです。
・歯茎にたまった膿の臭い
血液が集まり、細菌と戦うと、細菌や白血球の残骸がたまり、膿となります。歯茎が腫れぼったくなり、膿の臭いもするようになります。傷が膿んだときのような、腐ったような独特の臭いがします。
静かな病気といわれる歯周病ですが、実はさまざまなサインを見逃しているか、あるいは、それが早期の治療を要する状態とは思っていない方も多いことでしょう。1章でご紹介した口臭も、1つの大きなサインですが、他にも歯周病を示すさまざまな症状があるものです。詳しくご紹介しましょう。
前述した通り、歯垢や歯石がたまったところは、悪い細菌の温床となり、それと戦うために血液が集まってきます。これが歯茎を赤く腫れさせたり、時折、出血したりということになるのです。また、腫れが膿んでくると、口臭や痛みも出てきます。しかし、ときどき痛みが出たとしても、しばらくすると治まってしまうことも多いです。そうなると、ついつい放置してしまい、さらなる悪化を招いてしまいます。
歯周病菌に侵されると、腫れや出血を経て、やがて歯茎が後退していきます。これは、歯茎の状態を、自分の目で見ても分かやすい症状です。歯茎が下がると、知覚過敏の症状も出てきます。また、歯根付近はエナメル質が薄く、神経に刺激が伝わりやすいので、冷たいものなどがしみるようにもなってきます。
歯周病菌の出す毒素は、やがて歯を支える骨を後退させていきます。骨が痩せてくるので、当然、歯がグラグラと揺れてきます。歯周病において、これはまずいと自覚する瞬間ですが、軽度の揺れであれば、適切な治療を行うことで改善できます。それでも放置しておくと、今度は弱くなった歯に他の歯が倒れ込むようにして、歯並びが乱れてきます。
症状というよりも、最悪の結末です。歯周病の毒素によって骨が痩せ続けると、最終的には歯が土台を失って抜けてしまうことになります。こうならないためにも、口臭をはじめ、さまざまなサインを見逃さないことが肝心なのです。
口臭があらわれていて、原因が歯周病菌だと考えられる場合、決して軽く捉えないようにしましょう。口臭を消すだけの洗口液などといったものに頼らず、歯周病を根本的に治すことに努めるべきです。口臭を含めた歯周病のサインを見逃さず、早期に対応することが改善の要なのです。
歯周病は原因不明の難病などではありません。前述した通り、その原因は歯周病菌によるものであるとはっきりしています。そして、歯周病菌の根本的な治療は、この原因菌となる歯周病菌を除去することにあります。もちろん、一度取り除いたらそれで終わりではなく、再び歯周病菌が増殖しないようケアを続けることが肝心です。
歯周病の基本的な治療法は、磨き残した歯垢を除去し、歯垢が固着した歯石を取り除くことです。歯周病菌の温床とるような環境を放置せず、歯医者さんで定期的にチェックして、しっかりとした治療を絶やさないようにしましょう。
・歯のクリーニング
歯垢レベルであれば、歯医者さんでの定期的なクリーニングで改善できます。セルフケアではどうしても行き届かない歯の汚れを、歯医者さんで落としてもらうことで、歯周病が大きく改善できます。
・スケーリング
スケーリングとは、固着した歯石を、先端の鋭利な器具(スケーラー)で削り取る治療です。歯石は見えているところだけでなく、歯と歯茎の隙間である歯周ポケットの内部にも付きやすいものです。スケーラーで届く範囲の歯周ポケットであれば、スケーリングで歯石を取り除くことができます。
・フラップ手術
歯周病が進行するほど歯周ポケットが深くなり、その奥に付いた歯石が取りにくくなります。スケーリングで届かないほど深くなった場合、歯肉を切開して歯石を取り除くフラップ手術が必要となります。
歯周病は、歯周病菌が原因の感染症でもあります。3章でご紹介した歯垢や歯石の除去が一般的な治療法ですが、この原因菌を薬剤で除去する方法もあります。
パーフェクトペリオとは、次亜塩素酸電解水というものを成分とした殺菌剤です。歯周病だけでなく、虫歯の予防にも力を発揮するものとして注目されています。一般的なマウスウォッシュやうがい薬などと違い、歯垢に存在する虫歯菌や歯周病菌を破壊して、軒並みきれいに殺菌することができるというものです。
内服薬によって、歯周病菌を取り除く方法もあります。歯周内科などで扱われているもので、原因菌の種類を検査した後、それに適した内服薬を処方します。その上で、一般的な歯周病治療と同様に、歯垢や歯石を物理的に除去する方法を行います。
3DSとはデンタル・ドラッグ・デリバリーシステムの略で、マウスピースを使って、歯周病の薬を歯や歯茎にじっくり浸透させるという方法です。もちろん、これと並行して歯石の除去も行います。虫歯の予防などにも使われる薬剤の投与法ですが、あまり一般的には広まっておらず、保険も適用されません。
気になる口臭だけを、取り急ぎ改善したいと思う方も多いと思いますが、その原因が歯周病であれば、まずは治療をしっかりと受ける必要があります。歯周病は静かな病気と呼ばれ、静かに病状が悪化するものです。とはいえ、症状のサインが全くないわけではなく、見過ごしているだけにすぎません。口臭もそのサインのひとつなので、気になるのであれば歯周病を疑い、できるだけ早く歯医者さんに相談して、根本的な治療に取り組むようにしましょう。
【今日、求めていた歯医者さんが見つかる】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る