親知らず抜歯後に「のどが痛い」!これって後遺症?その他にはどんな症状が出るの?

親知らず抜歯後に「のどが痛い」!これって後遺症?その他にはどんな症状が出るの?

親知らずを抜歯した後に、のどの痛みに悩まされていませんか?
親知らずの抜歯後にのどが痛くなるのは、後遺症のひとつです。歯を抜いたことが原因で、どうしてのどが痛くなるのでしょうか。また、どのように対処をしたらいいのでしょうか。この記事では、それらの疑問にお答えします。
また、親知らずを抜いたあとに生じる後遺症は、のどの痛みだけではありません。どのような症状が起こりうるのか理解しておきましょう。症状が自然に治まるものが多いですが、なかには危険な症状もあるので注意が必要です。

 

この記事の目次

親知らずの後遺症で起こる「嚥下痛」とは

1-1 ツバを飲み込むとのどが痛い

抜歯後ののどの痛みは、下の親知らずを抜いた後に起こりやすい症状です。下の親知らずは、比較的のどに近い場所にあります。そのため、抜歯後に生じる腫れの炎症がのどにまで広がって痛みが引き起こされると考えられます。
炎症がのどにまで達すると、ツバや食べ物などを飲み込むときに痛みを感じます。これを「嚥下痛(えんげつう)」と呼んでおり、風邪のときに起こる症状とよく似ています。

 

1-2 1週間ほどで改善することが多い

症状のあらわれ方には個人差がありますが、一般的にのどの痛みのピークは抜歯後2~3日くらいといわれています。ピークを過ぎると少しずつ痛みが弱まっていき、1週間ほど経つとのどの痛みは自然になくなっていくでしょう。ただし、人によっては2週間ほど痛みが続くこともあります。

 

1-3 軽めのうがいを

親知らずの抜歯による後遺症でのどに痛みが生じている場合には、軽くうがいをしましょう。のどの痛みは炎症が原因で起きていますから、うがいでのどの清潔を保つことが大切です。
ただし、あまり頻繁にうがいをすると抜歯したところの出血が止まりにくくなるリスクをともないます。あまり神経質になる必要はないので、軽めのうがいですませるようにしましょう。
のどの痛みがひどいようであれば薬を処方してもらえるので、がまんせずに早めに歯医者さんに相談してください。

 

親知らずの抜歯後に起こりやすいその他の症状

2-1 腫れ

親知らずを抜く際に歯茎を切開したり骨を削ったりすると、傷口を治そうとして血液がたくさん送り込まれます。その影響により、患部の周辺が腫れることがあります。
親知らずを抜いてから12時間ほど経つと徐々に腫れてくるのが一般的です。抜歯をして24~48時間ほどで、腫れのピークを迎えると言われています。ですから、親知らずを抜歯した当日よりも、翌日、もしくは翌々日のほうが腫れがひどくなる傾向があると考えてください。
抜歯後2~3日ほどすると腫れは自然に落ち着いてきます。およそ1週間で腫れはほとんど治まるのが一般的です。

このとき「腫れ」をおさえようとして、患部を氷などで冷やしたり、氷などで冷やしたタオルで強く患部を押さえたりしていると、血流が悪くなって、かえって「しこり」のようになっていまい、腫れがひきにくくなります。腫れた場合はそのままにしておくか、水で濡らしたタオルを軽くあてるぐらいにしましょう。

また、あまりに腫れがひどい場合には、担当の先生に相談してみてください。

 

2-2 出血

歯を抜くと出血するので、親知らずを抜歯した後は患部にガーゼをあてて圧迫しなくてはなりません。30分以上はしっかりと押さえておきましょう。
血が止まってガーゼを外してからも、口を強くゆすいだり食事をしたりすると再び血が出てくる可能性があります。出血が止まったと思ってもかさぶたがはがれてしまえば血が出てきますから、しばらくは刺激を与えないように気をつけてください。抜歯後12時間ほどは出血に注意が必要です。

もし出血してしまったら、あわてずに、何度も折ったガーゼを入れて、強く指で押さえるかそのままガーゼを強く咬みましょう。このとき「痛い」と感じるくらいで押さえたり咬んだりしないと、なかなか血は止まりません。たまに抜歯した部位ではなくその前方にガーゼを入れて咬み続け「20分以上咬んでるのに血が止まりませんでした」という方がいらっしゃいますが、それはガーゼをあてる位置が間違っているからです。

しかし、まれではありますが、下の親知らずを抜歯したケースにおいて、正しくガーゼを噛んでいるにもかかわらず、30秒ほどで口の中が血でいっぱいになってしまうような場合があります。これは異常な出血ですので、担当の先生に連絡するか夜間で連絡がとれない場合には歯科口腔外科のある病院に問い合わせをしてください。
寝ている間に微量な出血がみられることもあるので、親知らずを抜いた日の夜は枕にタオルを巻くなどして汚れを防ぐ対策をしておくのがおすすめです。

 

2-3 口を開けにくい

抜歯による影響で、口を開けたり閉めたりする働きを司る筋肉である「咀嚼筋(そしゃくきん)」の周辺にまで炎症が広がってしまうと、開口障害が起こります。口を開けにくくなったり、実際に口がほとんどあかないため、食事をするのが困難になることがあります。
開口障害は抜歯した直後に生じやすく、痛みもともないます。通常であれば1週間ほどで症状が改善してきますが、10日ほど経っても治らない場合には歯医者さんに相談してください。

また、口が大きく開けにくいことから食事をしにくくなりますが、栄養をとることは大切です。あまり口を開けなくても食べることができるゼリーやヨーグルトのような流動性の高いものでも十分なので、なるべく食事をとるように心がけましょう。

 

2-4 麻痺

下の顎の骨の中には下顎管とよばれる管(くだ)が通っています。この管の中には下歯槽神経とよばれる神経と、他に動脈・静脈が損管を走行しており、下の親知らずの根の先が、この下顎管の近くに位置していることがよくあります。
このため、下の親知らずを抜歯する場合、下歯槽神経に麻痺が出ることがあります。下歯槽神経とは下顎に分布している神経で、主に唇および周囲の頬の部分、そして一部は舌の感覚を司っている部分です。抜歯によって神経が傷つけられてしまうと、唇周辺の触覚が鈍くなったり逆にヒリヒリとしたしびれが生じることがあります。

親知らずの抜歯によって麻痺が起きたときには神経に働きかけるビタミン剤や薬が処方されたり、症状が重いケースに対してはレーザー照射や神経ブロック、再生手術などを行う可能性もあります。
年齢や神経の傷ついた度合よって麻痺のあらわれ方は異なりますが、長くても半年ほどすると麻痺はなくなるのが一般的です。しかし、長期にわたってしびれが続く場合もまれにあります。

インフォームドコンセントを重視している歯医者さんでは、事前にこの下歯槽神経麻痺について説明があることが多いですが、説明が無い場合には、他に気になることも含め自分から医師に質問し、納得したうえで治療を受けることが大切です。

 

2-5 内出血

親知らずの抜歯後には、頬の皮膚が紫色や黄色になることがあります。これは内出血による変色なので、少しずつ元の肌の色に戻っていきます。およそ1~2週間で内出血の痕は消えてきます。

 

2-6 骨が見える

親知らずを抜いてできた穴は通常、血液の塊(血餅:けっぺい)でふさがれた状態になります。「ドライソケット」は、なんらかの理由でその血餅が消失して、骨がむき出しになった状態のことです。
痛み止めを飲まないとがまんできないほど激しい痛みが現れることが多いです。
下の親知らずを抜歯した後に起こりやすい症状です。親知らずを抜いてから2~3日経っても痛みがある、骨が見えるなどの症状があれば、歯医者さんを受診した方がよいでしょう。
消毒と抗生物質の服用で対処しますが、状態によっては、再度麻酔のうえで骨面を削り出血させて、あらためて血餅を作る治療を行うこともあります。

 

2-7 鼻水や膿(うみ)がでる

上あごの奥歯の上には上顎洞(じょうがくどう)という空洞があります。上の親知らずの根の先がこの上顎洞に近い場合、上の親知らずを抜歯することで穴が開いて口と鼻がつながった状態になり、上顎洞に感染が及ぶことがあります。鼻水に膿が混じっている場合には、上顎洞炎の疑いを考えましょう。痛みはともなわないことが多いですが、鼻水にまじって膿が出たりします。

穴が小さい場合には抗生物質の服用で対処しますが、目の上に腫脹感や違和感を強く感じたり、排膿が多いなどの炎症が上顎洞の広域まで広まってしまった場合には、歯科口腔外科や耳鼻咽喉科の受診が必要となります。

 

抜歯後の危険な症状に注意

3-1 感染が疑われる場合はすぐに受診を

親知らずの抜歯による腫れが顔に広がってきたら、特に注意してください。上の親知らずを抜歯したときには頬から目の下にかけて、下の親知らずを抜歯したときには頬から顎の下や首にかけて感染が広がって腫れが生じる可能性があります。
このような腫れの広がりがみられた場合には、担当の先生に連絡して、大学病院などの大きな病院を紹介してもらいましょう。

 

3-2 自己判断は絶対にしない

親知らずの抜歯後には、さまざまな後遺症が起こる可能性があります。ここでご紹介した症状だけでなく、少しでも気になる様子がみられたら早めに歯医者さんに相談をしましょう。自分で勝手な判断をすると手遅れになる危険もありますから、必ず歯医者さんに診てもらうことをおすすめします。

 記事内でご紹介した通り、親知らずを抜いた後にはのどの痛みのほかにもいろいろな症状があらわれます。基本的に親知らずの抜歯はトラブルに発展する可能性は低いですが、ゼロではない以上ちょっとした症状の変化には注意しておく必要があります。
時間が経てば自然に治まる症状もありますが、なかには危険をともなう感染などを起こしているものもあります。勝手な自己判断で放置せずに、少しでも不安を感じたら歯医者さんに相談してくださいね。

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監修日:2017年06月15日
鄭尚賢 先生監修
経歴

歯科医歴:11年
出身校:東京歯科大学