口が閉じられない!顎が脱臼したときの対処法や日頃の予防法

口が閉じられない!顎が脱臼したときの対処法や日頃の予防法

顎の脱臼とは、俗にいう顎が外れた状態のことですが、自分自身も含め、身近な人の顎が外れた話などはそう頻繁に聞くものではないでしょう。この記事では、顎の脱臼についての説明をはじめ、その対処法や予防法などについて詳しくご紹介いたします。

 

この記事の目次

1章 顎関節の脱臼とは?

脱臼とは、関節を構成する骨がズレて、正常な位置関係を保てなくなっている状態を指します。一時的な骨の位置のズレだけでなく、関節を構成する靭帯や軟骨の損傷を伴っているケースもあり、関節が正しく動く機能を失っている状態です。

 

いわゆる顎が外れた状態です!

顎関節の脱臼は、顎が外れた状態を指します。顎が外れた状態とは、主に、開いた口が閉じなくなることです。あくびなどで、大きく口を開いた拍子に外れるケースが多く、歯科治療中にも外れることがあります。

 

主な症状は自力で閉じられなくなること

主な症状は、開いた口を自力では閉じられなくなることですが、それに関連して、顔が面長に伸びた状態になり、口が閉じられないので唾液を垂らしてしまったりします。顎を正しく動かせないので当然、うまく発音できなくなります。また、顎関節が引っ張られる状態になるので、顎の筋肉が緊張して痛みも伴います。

 

関節ではどんなことが起きているの?

正常な顎関節の動きでは、下顎の下顎頭(関節を構成する顎骨の突起部分)が、口を開けたときに少し前方にスライドするような動きをします。耳の下あたりに触れると、その動きがわかります。大きく口を開けた拍子などに、この下顎頭が大きく前方にスライドしてしまうと、下顎頭が引っかかって元に戻らなくなります。

 

何が原因で顎が外れるのか?

あくびや食事で口を大きく開けた際や、歯科治療の際にも顎が外れてしまうことがあります。もともと、咀嚼筋(顎を動かす筋肉)の筋力が低下していたり、顎関節症(顎関節のクッションがズレてしまう疾患)があったりする方が外れやすくなることも多く、一度外れると癖になって、習慣性になる場合もあります。

 

2章 顎が外れた場合の対処法

突然、顎が外れた場合には、自力で治そうとせず、可能であればすぐに歯科口腔外科にかかりましょう。歯科口腔外科は、一般の歯科はもとより、口内や唇や頬などの口周辺、顎や顔面に関わる、幅広い疾患を扱う診療分野で、顎関節のさまざまな疾患にも対応しています。

 

自分で閉じようとせず歯科口腔外科へ!

いきなり顎が外れたら、慌てて自分でなんとか戻そうとしてしまう方もいるでしょう。しかし、自分で戻すのは容易ではありません。そのまま病院に直行するのが得策です。近くに大きな病院がなければ、歯科口腔外科を探してみましょう。

 

すぐに病院に行けない場合

前述した通り、自分で治すのはあまり望ましくないものですが、どうしても近くに歯科口腔外科などがなく、すぐに治療を受けられないこともあるでしょう。そんなときのために、自分で治す方法についてご紹介します。あくまで、他に選択肢がない場合の参考としてお読みください。

 

・自分で治す方法

顎が外れた状態とは、前にスライドする下顎頭が、過剰にスライドして引っかかって戻らない状態です。従って、ただ後方に戻そうとしても上手く戻りません。外れた下顎を戻すには、下顎を下へ引き下げながら、後方に戻すのがポイントです。両手で下顎をしっかりと持って、下に強く引き下げ、下顎を下げたまま後方に押し戻していきます。人の手を借りて行う場合も、顎を戻すポイントは同じです。

 

・患部を冷やすこと

元の戻した後も、顎関節が炎症を起こす可能性があるので、耳の下の顎関節部分を冷やしたり、市販の消炎鎮痛薬を服用しておきましょう。自分で上手く戻せた場合でも、念のため、必ず歯科口腔外科で診療してもらうのが懸命です。

 

3章 ちょっとしたきっかけで起こるので要注意!

顎の脱臼はぎっくり腰と同様に、ちょっとしたきっかけから不意に起こりうるものです。しかし、いきなりストンと外れることはなく、大きく口を開ける行為に注意していれば、避けられるものですし、日頃から顎関節に負担をかけないことを心がけることで、回避することができます。

 

顎の脱臼の予防法

顎関節の脱臼の予防法は、顎関節症の予防や改善法と似ているところがあります。顎に負担のかかる生活習慣があると、顎関節症にもかかりやすく、普段から顎がズレていると、思わぬ拍子に外れてしまうような結果を招きます。ちなみに、顎関節症とは口を大きく開けられなかったり、顎を動かすときに関節から異音を感じる症状を持つ疾患です。主な予防法は下記のとおりです。

 

・頬杖やうつ伏せ寝を避ける

頬杖やうつ伏せ寝が習慣化すると、顎関節に大きな負担がかかります。些細な癖のようですが、積み重なると顎に大きな歪みが生じ、顎関節症の一因にもなります。

 

・姿勢を正す

顎の筋肉は、咀嚼するときに使うだけでなく、首の筋肉とともに、頭を支える役割もありまます。猫背で顎が前に出るような姿勢では、いつも顎の筋肉に負担がかかっている状態になります。

 

・顎を動かすストレッチ

顎関節症では、関節の機能を顎の運動によって改善する運動療法なども行われています。基本的な顎のストレッチは、口を開けられる範囲で開けたり、下顎を前に突き出したり、逆に顎を引っ込めたり、左右にずらしたりという運動を15秒程度ずつ行います。顎関節の歪みを取り、関節の動きを良好に保つためにも効果的です。

 

・過度なストレスを避ける

過度のストレスは、顎関節症の一因にもなっています。ストレスによって無意識に食いしばってしまったり、何もしない時でも、歯と歯が接触している状態は顎がいつも緊張状態になってしまうものです。

 

4章 顎関節のトラブルは歯科口腔外科へ!

歯科口腔外科では、顎関節の脱臼の治療だけでなく、顎関節症や顎関節強直症といった顎のさまざまな疾患にも対応できます。それぞれの症状などについてご紹介しましょう。

 

顎関節症

顎関節症とは、前述した通り顎関節のクッションとなる関節円板がズレて、口を大きく開けられなくなったり、顎を動かすときにシャリシャリ、カクカクといった異音を感じる疾患です。顎を使わない現代人に急増している疾患の一つで、特に若い女性に増えています。主な症状は顎関節回りの異常ですが、顎の筋肉は頭部を支えているため、肩こりや頭痛などの要因にもなりえるものです。

 

顎関節強直症

顎の関節が動かなくなってしまう疾患が、顎関節強直症です。顎関節を構成する靭帯に、カルシウムが沈着することで、顎を動かすことが困難になります。外傷や感染症などによって、引き起こされることが多く、治療には、外科手術が必要となります。

 顎の脱臼は、口を大きく開きすぎた拍子に、起こることが多いものですが、それ以前に、日頃から顎に負担をかけていたり、顎の小さな歪みを放置していたことが、その潜在的な要因にもなっています。頬杖やうつ伏せ寝などの悪い癖を改め、顎関節をストレッチしてほぐすなど、顎への負担や歪みを蓄積しないように心がけましょう。万一、顎が外れてしまった場合には、自分で戻そうとせず、速やかに歯科口腔外科で治療してもらうのが懸命です。

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監修日:2017年11月16日
鄭尚賢 先生監修
経歴

歯科医歴:11年
出身校:東京歯科大学