顎からカクカク、シャリシャリといった音が鳴ることはありませんか?実はそれは、典型的な顎関節症の症状の一つです。痛みがないと放置しがちですが、場合によっては日常生活に支障をきたすほどの痛みや、頭痛、肩こりにまで発展しかねません。そのため、少しでも異音がするなら、早めに歯科口腔外科で診療を受けた方が良いでしょう。
この記事では、顎関節症が原因で起こる顎の音の種類をはじめ、顎周辺のさまざまな症状や治療法、顎以外に現れる症状などについて紹介します。
顎からカクカク、シャリシャリといった音が鳴ることはありませんか?実はそれは、典型的な顎関節症の症状の一つです。痛みがないと放置しがちですが、場合によっては日常生活に支障をきたすほどの痛みや、頭痛、肩こりにまで発展しかねません。そのため、少しでも異音がするなら、早めに歯科口腔外科で診療を受けた方が良いでしょう。
この記事では、顎関節症が原因で起こる顎の音の種類をはじめ、顎周辺のさまざまな症状や治療法、顎以外に現れる症状などについて紹介します。
この記事の目次
顎関節症は、主に顎関節円盤(顎の関節のクッションとなる組織)がズレることによって、引き起こされる疾患です。また、顎の筋肉や靭帯の歪みや損傷、あるいは顎関節自体が歪むことで起こることもあります。特に、男性と比べて骨格や筋肉が弱い、若い女性に出やすい傾向がみられます。ここでは、そんな顎関節症の症状について具体的に紹介します。
顎を動かした時に、このような音がしませんか?カックンカックン、コッキンコッキンといった音です。これは、顎関節が、ズレた顎関節円板に引っかかって戻る音で、クリック音と呼ばれています。
あるいは、シャリシャリ、ザラザラ、ミシミシといった音の場合、これは顎関節自体がこすれる時に出す音で、クレピタス音と呼ばれています。顎関節は耳元に近いので、どちらも結構大きな音に感じられます。
顎関節が正常に開く人は、通常、人差し指から薬指の3本を縦に入れることができます。顎関節症では2本程度か、あるいは2本も入れることができないほど、口を大きく開けられなくなることがあります。
顎関節症では、主に顎を動かした時に痛みがあり、何もしない状態で痛むことは稀なことです。この痛みには2種類あって、顎を動かす筋肉(咀嚼筋)が痛む場合と、顎関節自体が痛む場合があります。一般的には咀嚼筋が痛むケースが多いでしょう。
肩こりと同じように、顎の筋肉がこわばって固いのも、顎関節症で見られる症状の1つです。顎の筋肉が弛緩せず、絶えず緊張した状態が続くと、固いしこりのように感じます。しこりを押すと、肩こりをほぐすように気持ちよく感じたり、逆に痛く感じることがあります。
口を開けるときに、左右どちらかが先に開いたり、左右に揺れるように開いたりする場合があります。顎関節のどちらかがスムーズに動かなかったり、引っ掛かる感じがあるときに、こうした症状が現れます。
顎関節症を長期間放置しておくと、顎に歪みが生じてきます。フェイスラインがアンバランスになるだけでなく、口角の高さが違ったり、目尻や耳の高さなども違ってきます。顎関節がズレた状態で噛み続けることで、その歪みが大きくなってしまうのです。
顎関節症にはさまざまな要因があります。噛む時の癖や、日常的な姿勢などが主なものですが、その癖を引き起こす原因に、ストレスが潜んでいることもあります。アクシデントで顎をぶつけた際や、大きなあくびをした拍子などでも起こります。また、顎関節症ではなく、多発性の関節炎やリウマチが原因となっている場合もあります。顎関節症の主な原因は下記のとおりです。
食べ物を噛む時に、右側だけで噛んだり、左側だけで噛むようなことはありませんか?このような癖がある場合、顎の筋肉を左右均等に使えず、どちらか一方に負担がかかり、顎関節に歪みが生じます。
無意識に、歯をグッと噛み締めてしまったり、寝ている時に歯ぎしりをするような癖はないでしょうか?歯は、食事以外の何も動かしていない状態では、上下の歯が接触しないのが普通です。上下の歯が接触するだけでも、顎の筋肉が緊張状態になってしまいます。さらに食いしばりや歯ぎしりのように、強く歯を接触する癖があると、顎の筋肉に大きな負担がかかります。
歯の噛み合わせが悪い場合にも、顎の筋肉に偏りが生じます。噛み込んだ時に、ズレた状態で顎がおさまるので、顎関節に歪みが出てきます。もともと、噛み合わせが悪い場合もありますし、詰め物やブリッジの高さが合っていなかったり、審美面だけを重視した矯正治療などでも、噛み合わせの悪化を招きます。
噛み合わせを乱す原因の一つとして、舌で歯を前方に押す癖も上げられます。前述した通り、何もしないときには、上下の歯が接触しないだけでなく、舌も歯に接触しないものです。通常、舌は前歯の少し内側に舌先が触れるような形で、上顎に沿うようにおさまるものですが、舌がいつも前歯に触れていると、前歯を前方に押すことになり、徐々に歯並びが乱れてきます。
頬杖、横向き寝、うつ伏せ寝といった習慣も、顎に負担をかけ、顎関節症に至るケースがあります。些細な癖のように思えますが、これが毎日積み重なると、顎への負担も大きなものとなります。また、テレビを見ながら首を横に向けた状態で食事をするのも、顎に負担がかかります。首が曲がった状態で、顎を動かすことも、顎に歪みや負担を与えるものだからです。
顎関節症は、関節の疾患なので、整体院やカイロプラクティックなどで専門的に扱っているところもありますし、歯医者さんでも診てもらえるところもあります。歯科口腔外科は歯医者さんの一分野ですが、口内や口の周囲、顎や顔面の部位に関わる疾患を広く扱うものなので、顎関節症にも対応しています。迷った時には、歯科口腔外科に行っておけば間違いはないでしょう。
顎関節症の主な治療法は下記のとおりです。
・マウスピース療法
食いしばりや歯ぎしりの癖があったり、日常的に上下の歯が接触している場合などでは、顎の筋肉が必要以上に緊張して、顎の筋肉に大きな負担がかかります。マウスピース療法ではこれを解消するために、マウスピースを装着し、歯の接触を減らします。この方法によって、癖自体が解消する場合もありますが、基本的には症状の悪化を食い止めるための治療となります。
・ホットパック
ホットパックは患部を温めることで、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進しながら、症状を緩和する治療法です。ただし、急性の症状で、顎関節の組織に炎症がある場合には、炎症を悪化させるリスクがあるので、温める治療は禁物です。従って、ホットパックは主に慢性的な顎関節症の治療法となっています。
・運動療法
運動療法とは、問題のある部位を運動によって改善する方法です。顎関節症の場合は、定められた方法で顎を動かすことで、関節円盤のズレや顎の筋肉の歪みを整え、顎の機能を回復していくことができます。具体的には、口をできるだけ大きく開け、その状態で顎を前方に出し、顎を出したまま口を閉じていくといった運動を、毎日複数回行います。ただし、独自のやり方は症状の悪化を招きかねないので、ちゃんと歯医者さんに相談したうえで、指示通りに行うようにしましょう。
・関節腔洗浄療法
顎関節は、関節包という膜に包まれており、関節包に囲まれた内部を関節腔といいます。関節腔の中は、潤滑油のような役割をする関節液に満たされています。通常、関節液はいつもきれいな状態に保たれているものですが、古い関節液などの老廃物がたまっていることもあります。関節腔洗浄療法は、注射器を使って、生理食塩水の注入と吸引を繰り返すことで、関節液をきれいにする方法です。
・関節鏡視下手術
顎関節内に癒着がある場合や、変形した関節円板を切除する場合などでは、外科手術を行うケースもあります。関節鏡視下手術とは、関節鏡と呼ばれる関節用の内視鏡を挿入して、関節内部の映像を見ながら行う手術です。
・認知行動療法
食いしばりなどの悪癖を自分で改善するのは、なかなか難しいものです。無意識のうちに食いしばってしまうことが多いためです。認知行動療法は、こうした無意識の癖を自覚できるようにしながら改善する方法です。たとえば、目立つシールを身の回りに貼り、そのシールを見たら食いしばっていないかを確認するといった手法で、無意識の癖を改善していきます。
異音がしたり、口が大きく開かなかったりといった、顎自体に症状がある場合は自覚をしやすいものですが、それが別の症状として強く現れることもあります。顎の筋肉は、顎を動かすだけでなく、重い頭部を支える役割もあります。従って、顎関節に不具合があったり、顎の筋肉への負担が大きいと、首などにも負担がかかります。
また、顎の筋肉がいつも緊張状態にあると、頭部への血流などにも影響を及ぼします。顎関節症が引き起こす可能性のある症状は以下の通りです。ただし、すべて顎関節症以外の原因でも起こりうる症状なので、病院や歯医者さんで相談のうえで、適切な対応をしてもらうようにしてください。
・肩や首のこり
・頭痛や偏頭痛
・頭が重く感じる
・めまい
・耳鳴り
・不眠症
・顔や肩、手のしびれ
・話しづらさ
・飲み込みづらさ
・自律神経失調症
顎を開け閉めするときに、シャリシャリ、カクカクといった異音が聞こえるようであれば、まずは顎関節症を疑ってみましょう。多少音がしても、あまり気にしない方もいるので、潜在的な顎関節症の方も多いはずです。しかし、顎の小さな歪みを長年放置しておくと、その歪みが大きくなり、顔が歪んでくる可能性もあります。また、顎の異常は気にするほどではなくても、頭痛や肩こりなど、他の症状として強く現れるケースもあります。顎に音がするなら、まずは、歯科口腔外科に相談してみましょう。
【今日、求めていた歯医者さんが見つかる】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る