顎関節症には手術が必要?治療の際の注意点とは

顎関節症には手術が必要?治療の際の注意点とは

非常にまれではありますが、顎関節症は手術で治療することがであります。この記事では、顎関節症の手術方法や注意点についてご紹介していきます。顎関節症は誰もがなる可能性のある疾患です。咀嚼するときに違和感があり食事ができなくなってしまったり、痛みがあって口の開閉がままならなくなってしまうと、日常生活にも支障がでてきます。とても珍しいケースではありますが、手術の対象となる条件にも触れていきますので、顎関節症かな?と不安に感じている方はご参考までにチェックしてみましょう。

 

この記事の目次

その顎関節症は手術が必要?

1-1 手術以外の治療が主流

顎が十分に開かない・咀嚼するたびに音が鳴る・顎を開くときに痛みがあるなど、顎関節に症状が現れる顎関節症。顎関節症の治療法について、具体的にはわからないという方も多いのではないでしょうか。

顎関節症は必ず手術で治療するというわけではありません。手術が必要かどうかはケース・バイ・ケースであり、手術必要になるのはむしろ非常に珍しいケースです。一般的によく行われる顎関節症の治療は、運動療法やマウスピースの装着などが主流になります。

 

1-2 運動療法とは

朝起きると顎が開かずに硬直する方や、ガクガクと顎関節が鳴る方など、慢性化した顎関節症を持つの方の場合、まず行われる治療が運動療法です。顎関節症は、顎や頬、頭にかけての筋肉が緊張し、力のバランスが崩れていることが原因になります。運動療法を行い、凝り固まった筋肉がほぐし、顎の関節を緩めていきます。

運動療法では、開口訓練などのリハビリテーションが中心です。症状によってリハビリの種類が変わってきますので、すべての方が開口訓練を行うわけではありませんが、よく行われる療法ですので知っておきましょう。ただし、この療法は専門的な知識を必要としますので、必ず顎関節症に詳しい歯医者さんや歯科口腔外科の医師に診てもらうようにしてください。

 

1-3 マウスピースによる治療法とは

顎関節症は顎に負担がかかって発症している可能性があります。顎関節に負担がかかる行為として、まず挙げられるのが歯ぎしりや食いしばりの癖です。歯ぎしりや食いしばりによる負担は、マウスピースの装着でやわらげることができます。寝ている間に歯ぎしりをしている場合には、顎周りの筋肉の緊張をやわらげる手助けにもなります。また、顎だけでなく歯への負担を減す効果も期待できます。

ただし、マウスピースは市販のものではなく、必ず自分専用に作ったものを使いましょう。歯医者さんや歯科口腔外科で作ってもらえますので、歯ぎしりなどの可能性がある人は伝えてみましょう。費用も保険適用内なら5,000円程度のため、比較的取り入れやすい治療法といえます。

 

1-4 手術をするケース

上記に挙げた運動療法やマウスピースの装着を行い、一般的には3ヶ月から半年間様子をみます。この期間治療をしても改善が見られない場合は、外科手術での治療が検討される場合があります。顎関節症は、関節部分などの状態をMRIなどで撮影して検査していきますが、最初は運動療法やマウスピースで治療を行い様子をみるのが一般的です。ただし、検査段階で手術が必要だと判断されることもあります。

繰り返しにはなりますが、顎関節症の治療で手術が必要になるケースは非常に稀です。顎関節症の手術には周辺の神経の走行などを詳細・正確に把握し、きわめて慎重な症例の選択が必要になり、また偶発症が発生するというリスクも伴います。

 

原因は何?顎関節症とは

2-1 顎の関節に問題がある

顎関節症は、顎の関節や筋肉に異常があるときに診断されます。口を動かしたときにカクカクと振動が伝わったり、音が鳴る症状がみられるのが特徴です。何らかの原因で顎が歪んだり、片方の奥歯だけで噛むなど、ちょっとした癖が原因で発生することもあります。

痛みがある場合などは、それが原因で口が大きく開けられないこともあります。痛みが無かったとしても、顎に不具合が起こりその影響で十分に食事が取れないこともあります。口が開かずに食べ物が入らなければ、日常生活に大きな支障をきたすでしょう。顎の関節に異常が出るということは、とても不自由なことです。

 

2-2 顎関節症の原因

固いものを食べ続けた、噛合せが悪いなど、物理的なことが顎関節症の原因として挙げられます。噛合せが悪いとどうしても顎の関節にかかるバランスが偏ることがあり、それが長期間繰り返されることで関節に異常が出てしまいます。

また、物理的な理由以外にも、心理性の原因が考えられることがあります。強いストレスなどを感じている人は歯を食いしばることがため、歯ぎしりもしやすく、それが原因となって顎関節症を発症してしまいます。

 

顎関節症の外科手術

3-1 関節腔内穿刺

この手術はパンピングとも呼ばれる方法です。顎関節部分に局部麻酔をかけ、患部に生理食塩水などを注射して行います。関節腔内に針をさし、生理食塩水の注入・吸引を繰り返し、患部の炎症性発痛物質を洗い流す手術方法です。

 

3-2 関節腔内洗浄療法

こちらも、生理食塩水で患部の炎症性発痛物質を洗い流す治療法です。上に挙げた治療との違いは、洗い流す方法にあります。まず、関節腔内に複数本の針を指して、生理食塩水を注入して還流させます。食塩水を患部に巡らせることで、その部分の炎症性発痛物質を洗い流す治療法です。

 

3-3 関節鏡手術

内視鏡を使用して手術を行います。関節に癒着などが見られる場合に利用する治療法です。内視鏡を関節内に入れ、観察しながら器具を使って癒着部分を剥がします。その後は、癒着部分の洗浄を行います。ここまでの手術工程をすべて内視鏡手術だけで行えるため、傷口が小さく術後の回復も早いことがメリットとなります。

 

3-4 開放性関節手術

炎症などがみられる患部が広い範囲におよぶときに用いる治療法です。上に挙げた関節鏡手術では対処できない場合に用いる手術方法になります。メスを用いて患部を切開しますので、切開する範囲は広くなり、内視鏡に比べて術後の回復に時間がかかるという特徴があります。

 

入院は必要?顎関節症の手術

4-1 数日の入院が必要

一般的に、顎関節症の手術は数日間の入院が必要です。手術直後は安静が必要という理由もありますが、顎関節部分に負担をかけないように咀嚼のいらない流動食を摂取する必要があることが、大きな理由になります。自宅では食事の管理なども難しいため、数日間は入院する必要があることを心得ておきましょう。

 

4-2 長期間のリハビリが必要なケースも

退院したあとは、機能回復のためのリハビリテーションが必要になります。長いときは1年以上かかる場合もあり、その後も顎関節を健康に保つためには続ける努力も必要です。手術を行えばそれだけで終わりということではなく、通院期間が必要であることも念頭に入れましょう。

 

4-3 抗生剤の投与も

手術した患部に炎症や感染症が発生しないように、抗生剤の投与をする場合があります。きちんと定められた通りに服薬しなければ、細菌感染などで炎症を起こしてしまう可能性があるので注意しましょう。手術後の抗生剤は医師の指示通りに服薬する必要があります。手術したらそれで終わりということはありません。患部の傷口の状態などが回復してくるまで、気を抜かないことが大切です。

 顎関節症で最初から手術を行うことは非常にまれなケースです。まずは運動療法やマウスピース、歯科矯正などを行いながら、症状をやわらげていく方法が主流となります。自己判断で間違った治療をすると、逆に症状を悪化させてしまうことになりかねません。顎関節症の治療に詳しい歯医者さんや、歯科口腔外科の専門医に早めに診てもらうようにしましょう。また、顎関節症は自己流のセルフケアでは改善されないことが多いです。セルフケアは、必ず医師に確認してから行うようにしましょう。

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監修日:2017年05月30日
遠藤三樹夫 先生監修
経歴・プロフィール

出身校:大阪大学
血液型:O型
誕生日:1956/11/09
出身地:大阪府
趣味・特技:料理