顎が痛い!原因は顎関節症?考えられる疾患とその治療法

顎が痛い!原因は顎関節症?考えられる疾患とその治療法

「顎が痛い!でもその原因が分からない」。もしかして、それは顎関節症かもしれません。しかし場合によっては、ほかの疾患であることも考えられます。そもそも、顎関節症と一口にいっても、その原因と症状はさまざまで、とても一つにくくれるものではありません。
その顎の痛みが、顎関節症なのか、ほかの疾患なのか、顎関節症だとしたらその原因はなんなのか、とても素人判断で分かるものではないでしょう。
この記事では、顎が痛むさまざまな疾患をはじめ、特に患者さんが増えている顎関節症の原因や治療法について紹介します。症状があらわれたら、ここを参考にしながら、できるだけ早めに歯科口腔外科を受診するように心掛けてください。

 

 

この記事の目次

1章 顎の痛みはどんな疾患が考えられる?

まずは歯科口腔外科に相談してみよう!

一口に顎が痛いとはいっても、その原因はさまざまです。虫歯や親知らずであれば自分でも判別できますが、何科に相談すれば良いか悩んでしまうこともあるでしょう。そんなときは、まず歯科口腔外科に相談してみましょう。歯科口腔外科は、口内や口周辺、頬、顎、顔面などの部位の、さまざまな疾患を扱う診療分野です。

顎の痛みで考えられる疾患

顎の痛みにはどのような原因があるのでしょうか。それには主に下記のような疾患が考えられます。

 

・顎関節症

口を開け閉めする時に、顎にシャリシャリ、カクカクといった異音があったり、口を大きく開けられなかったりする疾患が顎関節症です。顎の痛みを感じる場合には、どちらか片側の関節が痛む場合が多く、主に耳の前辺りに痛みを感じます。

 

・関節リウマチ

免疫の異常により、関節が腫れたり痛くなって、動かしにくくなる疾患をリウマチと言います。主に、手や足の関節が痛くなり、軟骨組織が損傷すると、関節が動かせなくなってきます。このリウマチによっても、顎関節症のように、顎が痛くなったり、口が開きにくくなる場合があります。

 

・顎の骨の嚢胞

顎の骨の中に、嚢胞(のうほう:膿がたまっている箇所)ができて、顎が痛むこともあります。耳の下の顎のラインあたりが痛みますが、唾液を作る部分の炎症である顎下腺炎や耳下腺炎でも、同じような場所に痛みを感じます。

 

・親知らず周囲炎

親知らずの歯周病が、親知らず周囲炎です。親知らず周辺は歯ブラシが届きにくく、不衛生になりがちです。そこに歯周病菌が増殖することで、親知らずの周囲の組織が炎症を起こし、痛みはもとより、腫れたり膿が溜まったりといった症状が出てきます。

 

・虫歯

虫歯の痛みは分かりやすいものですが、下の前歯が重度の虫歯になると、下顎の先端部分が痛むことがあります。

 

・蓄膿症

蓄膿症とは、副鼻腔といわれる鼻に通じた空洞部分が炎症を起こし、膿がたまる病気のことです。痛みが出る場合は、上顎の頬周辺あたりにあらわれます。鼻汁に悪臭を感じるといった症状も出ます。

 

2章 まずは顎関節症を疑ってみよう

顎の痛みをともなう場合、現代人に多い疾患として考えられるのは、顎関節症です。顎関節にはクッションとなる組織がありますが、それがズレていることが顎関節症の主な原因です。また顎の筋肉や靭帯の損傷、顎関節の変形などが原因であることもあります。これにより、口が大きく開けられない、顎の動作で異音があるといった症状が出てきます。

顎関節症の4つのセルフチェック方法

あくまで、簡易的なセルフチェックですが、顎に痛みがある人で、下記に該当するようなら、顎関節症の可能性もあります。歯科口腔外科で診てもらいましょう。

 

1. 口を開けて人差し指から薬指までの3本指が縦に入るかどうか。

2. 口を大きく開いたときに、真っ直ぐ開くかどうか。

3. 口を開け閉めする際に、痛みや異音がないかどうか。

4. 固いものを食べた時に痛みがないかどうか。

 

3章 顎関節症にはさまざまな原因があります

顎関節症は、現代人の特に若い女性を中心に増えている疾患です。思わず噛み締めた時に、顎関節を損傷するというケースもありますが、そうした単純な因果関係ではなく、さまざまな原因が複合的に合わさってる場合もあります。また、原因が突き止められず、慢性化してしまう方もいます。顎関節症には、主に下記のような原因が考えられます。

食いしばりや歯ぎしりの癖

通常、食事中以外は、上下の歯はほとんど接触しないものですが、食事以外でも上下の歯が接触している場合は、顎関節に負担がかかり、顎関節症に至ることもあります。これを上下歯列接触癖といいます。さらに、強く食いしばったり、歯ぎしりをしたりする癖があれば、余計に顎の関節を痛めやすくなります。また、その根本的な原因が、ストレスにある場合もあります。

悪い噛み合わせや偏った咀嚼の癖

顎にかかる力が左右均等でない場合には、顎関節の歪みを引き起こし、顎関節症に至ることもあります。例えば、左右の奥歯の高さが合わず噛み合わせが悪い場合や、左右どちらか片側だけで食べ物を噛む癖も原因となります。

生活習慣や姿勢などの癖

日常生活における姿勢や癖が、顎関節症の原因となることもあります。例えば、いつも横向きで寝る、横向きで寝っ転がってテレビを見るといった姿勢も、顎の片側に負担をかかります。また、頬杖やうつ伏せ寝も、顎には悪影響を及ぼします。これらが要因と考えられる場合は、意識して改善に取り組んだ方が良いでしょう。

 

4章 顎関節症の主な治療法

歯医者さんでの顎関節症の治療には、以下のような方法が用いられます。

マウスピース治療

食いしばりや歯ぎしり、あるいは強く噛まずとも、上下の歯がいつも接触しているなどが原因の場合、マウスピースを用いて治療を行います。マウスピースをはめることによって、接触による負担を軽減し、接触させたり、噛み締めたりと言った癖を解消していきます。

運動療法

顎関節症のおよそ7割程度の方は、顎関節円盤(関節のクッションとなる組織)にズレがあります。これにより、顎が動かしにくくなったり、口が開きにくくなったりといった症状が出てきます。運動療法は、定められた顎の運動を毎日行うことで、このズレた関節円板を元に戻していく方法です。

関節への潤滑剤の注入

マウスピースや運動療法でも効果が得られない場合には、歯科口腔外科にて、顎の関節に潤滑剤を注入して改善することもあります。

噛み合わせの改善

噛み合わせが悪いと、顎に掛かる力が偏り、慢性的な痛みに発展することがあります。その場合、噛み合わせを正すことが解消につながります。

生活習慣や癖の改善

身に付いた生活習慣や癖が原因の場合、一時的に治療を施したとしても、根本的な改善をしないとすぐに再発する恐れがあります。頬杖、うつ伏せ寝、横向き寝、食いしばりなど、顎に悪い癖に自覚があれば、意識して改めるようにしましょう。

 

5章 顎が痛いときの応急処置

虫歯の痛みや顎関節症だと分かっている場合は良いですが、何が原因か分からずとにかく顎が痛いというケースでは、なるべく早期に歯科口腔外科に相談するべきです。ただし、すぐに通院が難しいという場合は、応急処置として以下のような方法が可能です。とはいえ、あくまで緊急対応という程度の捉え方で、できる限り早めに歯医者さんを受診するという点は忘れないでください。

痛み止めの服用

市販の鎮痛剤には、解熱鎮痛剤と消炎鎮痛剤がありますが、顎関節症の場合には消炎鎮痛剤を服用するのが有効です。歯科口腔外科では、まず痛みを取り除いてから、マウスピースや運動療法などで機能を回復する治療に移行するので、消炎鎮痛剤や湿布、塗り薬なども処方されます。

顎の緊張を和らげる

噛み締めや食いしばり、歯ぎしりといった癖を自覚できる方は、できるだけ顎をリラックスさせて、顎の緊張を緩和するように心がけましょう。同時に、痛み止めを服用して、早めに歯科口腔外科に相談することをおすすめします。

冷やすのか?温めるのか?

顎が痛い時に冷やすのか、温めるのか、その判断は難しいところがあります。一般に、炎症が起きている時には冷やすべきです。温めてしまうと、逆に炎症がひどくなるリスクがあるからです。
一方、慢性的に顎が痛むなど、筋肉の緊張緩和が必要な場合には温めた方が良いでしょう。筋肉を弛緩させ血行を促進できます。
ただし、判断に迷うときには、どちらも行わず歯科口腔外科に足を運ぶのが無難です。顎が痛い場合には、さまざまな疾患が考えられます。虫歯や顎関節症など、自分である程度、特定できるものもあれば、そうでないものもあります。どこに相談したや良いか分からない場合は、とりあえず歯科口腔外科に相談してみてください。痛みの原因が分からない場合の応急処置は、痛み止めを飲む程度にとどめ、なるべく早めに診療を受けるようにしましょう。

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監修日:2017年07月17日
飯田尚良 先生監修
経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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