「最近、顎の関節から音が鳴る…。これって顎関節症?」と、不安に思っている人も多いのではないでしょうか。とはいえ音が鳴るだけで痛みがないケースも多いので、それほど重症とは思わず特に対策をしていない方もいるかもしれません。
この記事では、まず顎関節症の音がなるのはどんな状態なのかを解説します。そして、音が鳴るようになっても治療が可能なのかを、顎関節症の原因や治療法なども含めて紹介していきます。
「最近、顎の関節から音が鳴る…。これって顎関節症?」と、不安に思っている人も多いのではないでしょうか。とはいえ音が鳴るだけで痛みがないケースも多いので、それほど重症とは思わず特に対策をしていない方もいるかもしれません。
この記事では、まず顎関節症の音がなるのはどんな状態なのかを解説します。そして、音が鳴るようになっても治療が可能なのかを、顎関節症の原因や治療法なども含めて紹介していきます。
この記事の目次
顎関節症になると、口を開閉して音が鳴ることがあります。音の大きさは様々で、周囲の人がびっくりするような大きな音がするケースもあれば、本人にしか分からないほど小さな音である場合もあり、一様ではありません。音とともにガクッと衝撃があったり、痛みがあったり、口がスムーズに開かなかったりといった症状が同時に見られることもあります。
音が鳴るだけならまだしも、痛みまでともなっていると少し不安になってしまうかもしれません。実は音が鳴り始めた場合、その顎関節症は症状が第2段階にまで進んでしまっているサインです。自覚がなかったとしても、すでに初期段階の顎関節症から一歩進んでしまっているのです。
顎関節症では、カクっという軽めの音がすることが多いですが、これをクリック音と呼びます。もし、この軽い音がずっしり重い音になったり、ジャリッとした音に変わったら、それは顎関節症の最終段階、第4段階まで進んだ証拠です。
このように、音の種類によって顎関節症の進行度合いがある程度判別できます。もし顎がよく鳴るのであれば、どんな音なのか一度思い返してみましょう。
ここでは、顎関節症の症状を段階別に紹介します。
・第1段階
口の開閉時、顎の関節部分に違和感や痛みがある。
・第2段階
関節円板の軟骨がずれたり、戻ったりしている段階。関節円板の動きによっては、口の開閉でクリック音がする。
・第3段階
口を大きく開けようとすると痛みが発生する。関節円板がずれたまま動かなくなるので、この段階になるとクリック音はしなくなる。
・第4段階
口は開くが、大きく開けることができない状態。場合によっては痛みもある。顎関節が変形してしまったり、癒着を起こしている可能性も高く、ジャリッと鈍い音(クレピタス音)に変わる。
顎関節症は罹患者(りかんしゃ・病気にかかった人)が多い疾患です。口の開閉で音が鳴る人は2割ともいわれていて、珍しい疾患ではありません。また、すべての人に痛み出るわけではないため、放置してしまっている人も多く、治療できていない人が多いことも罹患者が多い理由です。痛みは進行度合いに関わらず、ある場合もない場合もあるため、実は顎関節症が進行しているのに、心に留めていない人も大勢いるのです。
音がするだけなら、手術などの大がかりな治療は必要ないと診断されることが多いでしょう。また、歯医者さんへ行けば完治させてもらえるというものではなく、さらに、症状が軽くなってもすぐに再発してしまうこともあります。
ストレスによって筋肉が緊張することも、顎関節症の大きな原因となります。顎周りの筋肉の緊張が一つの原因となるためです。
ストレスから来ることが多い歯ぎしりも、顎に負担がかかるため顎関節症の原因になります。特に、寝ている間に起こる歯ぎしりは、起床時には考えられないほどの強い力で上下の歯をすり合わせます。それによって、顎や歯など全体に負荷がかかり、顎関節症になってしまうのです。
また、生活の中でよく食いしばることがあれば、それも原因になります。よくパソコン作業をしたり、力を入れて荷物を運ぶ作業が多い方などは、知らない間に歯を食いしばっていて、想像以上に負担がかかっている可能性があるのです。
頬杖は顎の関節に負担をかける行為です。特に、左右どちらかだけ頬杖をついたりすれば、左右の顎のバランスが崩れます。両手で頬杖をついても、下顎が上に押し上げられるような力が入るので、これも顎には負担です。頬杖は知らぬ間に癖になっていることが多いので、自分自身で振り返ったり、周囲の人に聞いたりして、頬杖の癖がないかを確認してみましょう。もし、頬杖をつく癖を自覚したら、すぐに直すようにしてください。
うつ伏せに寝ると、顔全体が圧迫されます。また、うつ伏せの場合の多くは、息がしやすいように左右どちらからに顔を傾けていることが多いです。このような寝方をしてしまうと、片方の顎の骨に負担がかかります。睡眠は長時間に及びますので、毎日うつ伏せを続けている人は、他の人よりも顎に負担がかかっています。すぐに寝方を変えるようにしましょう。
事故などで顎や顔面の骨格を怪我することがあります。それが直接的な原因となって、顎関節症を起こしてしまう可能性も少なくありません。
その他、入れ歯や被せ物などが合っておらず、それが顎への負担になっているケースもあります。硬いものをよく噛んだり、大口で歌うなどの習慣があると、それも顎には負荷がかかります。片方だけでものを噛む習慣も、左右の顎のバランスが崩れるので注意しなければなりません。
顎関節症になったら、歯科口腔外科を受診します。顎関節症は歯ぎしりやちょっとした日常の癖が原因となっていることが多いので、まずは問診で生活の状況を聞きながら原因を探っていきます。
触診では、関節部分の筋肉に触れ、痛みがないかなどを確かめていきます。口の中から手を入れたり、その状態のまま少し顎を動かしてみることもあります。クリック音がないかどうかのチェックも行います。
視診では、口がまっすぐ開閉できるかどうか、顔が歪んでいないか、全身の姿勢が悪くないかを調べていきます。顎関節症は、左右の顎の負荷が違ったりしていることが多いので、まずは見た目で左右の差が無いかを確かめます。
また、口の大きさがどれくらい開くのか、開口量もチェックします。口を大きく開いたら、40mm程度開くのが正常です。
最終的には、顎関節に問題がないかどうかをレントゲンで撮影してチェックします。顎の歪みや噛み合わせ、歯並びなども調べられます。しかし、顎の開閉をスムーズにしている関節円板を見るためには、MRIで撮影をしなければいけません。MRIを用いれば関節円板のズレが把握できます。
顎関節症の原因となる癖を排除して、顎関節への負担を和らげていきます。切開などの外科手術は行いません。
顎の開閉などで痛みがひどい場合は、鎮痛剤を処方されます。
寝ている間に歯ぎしりをしている場合は、マウスピースをして顎に負担をかけないようにします。また、食いしばりが癖で、ついつい力が入りがちな人にも効果を発揮します。
顎に違和感がある場合は、リハビリとして開閉の運動訓練も有効です。すでに痛みが強かったり、これによって痛みが発生したりした場合は控えるようにしましょう。そのあたりの判断も含めて、医師の指導通りに行ってください。
顎関節付近の筋肉をマッサージすることで、緊張がほぐされ血行も良くなります。それによって、症状の緩和をうながします。ただし、独自のやり方などはせず、ちゃんと医師の指導を受けたうえで行うようにしましょう。
関節円板が癒着したりし、必要と判断された場合は、外科手術が必要な場合もあります。とはいえ、この外科治療を行うのは非常に稀なケースです。まずは運動訓練やマウスピースなどで治療し、それでもだめな場合や特殊な状況に限り行われます。
顎から音がしはじめたら、顎関節症のサインかもしれません。ただちに治療が必要とは限りませんが、現在進行形で悪化している可能性も十分あり得ます。どちらにしても自分では判断せず、歯科口腔外科のある歯医者さんで一度診てもらった方が良いでしょう。
顎関節症は痛みがないと放置しがちですが、軽い音でもすでにある程度進行していることもあります。やはり医師に診てもらって、現状を知っておくことが大切です。もし顎関節症が悪化すれば、外科手術の可能性も出てきます。早期に治療すれば悪化を防ぐこともできますので、早めの対処を心がけましょう。
【顎関節症の相談・治療ができる歯医者さんを予約】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る