その頭痛、原因は顎かも!?顎関節症で頭痛になる?

その頭痛、原因は顎かも!?顎関節症で頭痛になる?

頭痛に耐えかねて内科や脳神経科、あるいは耳鼻科を受診しても、原因を特定してもらえず、ひとまず鎮痛剤を処方されたけど、薬が切れたらまた頭痛が……。そんな経験はないでしょうか? 内科などで「原因不明」とされた頭痛の原因は、顎にある可能性があります。顎関節の不具合によって起こる顎関節症は、顎の不具合だけでなく頭痛を引き起こすことも少なくありません。顎関節症にともなう頭痛の特徴や原因、頭痛を解消する対処法について解説します。

 

この記事の目次

顎関節症が原因で頭痛になることがある

1-1 内科で治らない頭痛、原因は顎かも!

風邪や二日酔いなどによる頭痛から、片頭痛、群発頭痛などの慢性頭痛、あるいは脳出血などの脳疾患による危険な頭痛まで、頭痛の原因はさまざまです。通常、頭の痛みを感じたら、内科や脳神経科などを受診することが多いですが、頭痛は顎が原因で起こるケースもあります。顎関節症は、頭蓋骨と下顎骨をつなぐ顎関節に不具合が起こることで発症しますが、症状のひとつとして頭痛が現れることは少なくありません。

 

1-2 顎関節症の症状は、全身に及ぶこともある

顎関節症のおもな症状として、口が開けづらい、閉じづらいといった開閉の不具合や、顎開閉時の「カクカク」といったクリック音、さらには顎とその周辺の痛みなどが挙げられます。しかし、顎関節症の症状は顎部のみに限りません。顎とつながるこめかみや頭、目や自律神経というように全身に症状が及ぶケースもあります。

 

1-3 咀嚼筋のこりが頭痛につながる

顎関節の周辺には、咬筋(こうきん)、側頭筋(そくとうきん)、外側翼突筋(がいそくよくとつきん)、内側翼突筋(ないそくよくとつきん)の4つの筋肉からなる咀嚼筋(そしゃくきん)があります。これらの咀嚼筋が正しく収縮することで下顎骨はスムーズに動き、咀嚼や発話などの動作が可能になります。顎関節症では下顎骨や関節組織にずれが生じますが、こうしたずれにより咀嚼筋が凝り固まり、この筋肉の「こり」が頭痛を発生させることがあります。

 

1-4 頭痛にめまいや耳鳴りが付随することも

顎関節症による頭痛では、顎関節とつながるこめかみや目の奥などに痛みを感じることも多く、めまいや耳鳴りといった不快症状が同時にあらわれるケースもみられます。

 

顎関節症由来の頭痛、痛み別の特徴と原因は?

2-1 一番多いのは頭を締めつけるような痛み

顎関節症でもっとも多く表れる頭痛が、頭全体を締めつけられるような感覚の痛みです。こめかみの付近が強く痛み、目の奥にも痛みを感じることがあります。また、めまいを併発するケースも少なくありません。

顎関節症患を患った方は、噛み合わせの悪さや噛みしめ癖などにより、顎周辺の筋肉が極度の緊張状態になります。特に咀嚼筋の一種である側頭筋の緊張が続くと、こうしたタイプの頭痛が発生しやすくなります。

 

2-2 頭がずーんと重い痛みは血行不良から

頭部がずーんと重だるく感じるような頭痛も、顎関節症由来の頭痛の特徴といえます。これは、顎の筋肉に由来する頭痛ではなく、顎関節症により頭部への血流が滞ることで起こる頭痛です。顎関節症に関わる顎の骨のずれや筋肉の緊張は、頭部への血流や脳脊髄液の還流を妨げます。このことが貧血のような状態を引き起こし、重だるい頭痛の症状が現れます。こうしたタイプの頭痛には、体全体のだるさといった貧血の症状を併発することもあります。

 

2-3 緊張緩和時には脈打つような頭痛も

常に痛みがあるわけではなく、突然「ズキンズキン」と頭に脈打つような痛みを感じる場合もあります。これは、顎関節症で極度に緊張していた顎周辺の筋肉が解放されることにより、急激に血管が拡張することで起こる頭痛です。

平日の仕事から解放された、週末の会社員の方などに起こることが多いので「ウィークエンド頭痛」や「週末頭痛」とも呼ばれます。こうしたタイプの頭痛ではめまいを併発するため、ふらつくといった症状も多く現れます。

 

顎関節症による頭痛、どう治す?

3-1 顎関節治療で治す

顎関節症を原因とする頭痛の対処法としてもっとも効果的とされるのは、痛みの根源である顎関節症を治すことです。顎関節症の治療にはマウスピースを使うスプリント治療、外科手術、理学療法、心理療法など、さまざまなものがあります。自分の顎関節症にあった治療を受けることで、つらい頭痛の症状を緩和させることができるでしょう。

 

3-2 鎮痛薬で治す

痛みに対するもっとも手軽な対処法としては、鎮痛薬の服用も一般的です。顎関節症の痛みで受診した場合、鎮痛薬を処方されるケースが多いです。根本的な解決とは言えませんが、痛みに対する即効的なアプローチとしては有効といえるでしょう。

 

3-3 ストレスを解消する

頭痛の原因となる顎関節症は、ストレスなどの「精神負担の蓄積」によって起こることもあります。職場や学校などのストレスが原因で、歯を食いしばったり、歯ぎしりをしたりすることにより、顎関節症の症状が進行するケースもよくみられます。上手に気分転換をしてストレスを解消することで、顎関節症にともなう頭痛の解消が期待できます。

 

3-4 温めて治す

顎関節症では顎関節周辺の筋肉が緊張することで、血流が滞り、頭痛が発生します。このような頭痛は、局部を温め血行を促進することで改善がみられるケースも少なくありません。痛みがある頭部だけでなく、痛みの根本原因を抱えている顎周辺部にも、蒸しタオルをあてるなどして温めてみましょう。

 

3-5 マッサージ、体操で治す

顎周辺の骨や筋肉を動かして可動域を広げ、緊張を解きほぐすことで、顎関節症に由来する頭痛が緩和することがあります。顎関節症による辛い頭痛を感じたら、顎関節のマッサージや、顎の開閉運動などを試してみるのもいいでしょう。とはいえ、無理は禁物です。強い力を加えるマッサージや、動きの悪い顎関節を無理に動かすことは、症状を悪化させる可能性もあるので避けるようにしましょう。

 

顎関節症による頭痛を防ぐためにできること

4-1 噛み合わせや噛み癖を見直す

自身の噛み合わせや噛み癖を意識して、正しい方向へと導く努力をすることで、顎関節症を防ぐことができます。顎関節症による頭痛を避けるためには、日頃から噛み合わせや噛み方の癖をチェックして、間違った癖などは正すように心がけましょう。

 

4-2 姿勢を正すことを意識

全身の姿勢を見直すことも、顎関節症やそれにともなう頭痛を予防するうえで有効とされます。姿勢の悪さは顎を歪ませ、歪みによって関節がずれることで顎関節症を引き起こします。顎だけでなく、全身のポジションや身体の動かし方にも、普段から気を配っておきましょう。

 

4-3 生活習慣を見直す

足を組んで座る、頬杖をつく、集中すると奥歯を噛みしめるなどの日常の癖から、顎関節症を発症してしまうことがあります。顎関節症を引き起こす原因と考えられる習慣については、意識して排除するように心がけましょう。

 顎関節の不具合で起こる顎関節症は、顎以外の部位にも症状を引き起こすケースがあります。顎につながるこめかみから目の奥が痛む、頭全体に強い痛みを感じる、というような症状がある場合は顎関節症由来の頭痛が疑われます。

このような頭痛は、顎関節症の治療や予防によってある程度防ぐことが可能です。歯科口腔外科の診療経験を持つ歯医者さんで治療を行い、日常生活でどのようなことに注意すればいいかをアドバイスしてもらいましょう。

今日、求めていた歯医者さんが見つかる

 

監修日:2017年08月08日
髙橋貫之 先生監修
経歴

2003年 大阪歯科大学 卒業
2003年 大阪歯科大学 大学院歯学研究科博士課程 入学
2007年 大阪歯科大学 大学院歯学研究科博士課程 終了
2008年 大阪歯科大学 勤務
2016年 大阪歯科大学(歯周病学 助教)退職
2016年 本町通りデンタルクリニック 勤務