インプラント手術を成功させるために!必要な準備と注意事項

インプラント手術を成功させるために!必要な準備と注意事項

顎の骨をドリルで削って人口歯根を埋入するインプラント手術に対して、怖いイメージを持つ方も多いでしょう。ただ、インプラントは日々進化を遂げている技術であり、精度も向上したため一般的な治療方法として認知されてきました。しかし、誰もがインプラント治療を受けられるわけではありません。今回は、インプラント治療を成功させるために、手術の前に知っておくべき知識や必要な準備、注意事項をご紹介します。

 

この記事の目次

インプラント治療の方針を決めるまで

1-1 インプラント治療が受けられる条件

インプラントは、歯科口腔外科手術をともなう治療方法です。そのため、手術前にはさまざまな検査を行い、身体的に問題が無いことが明らかになっていることが条件になります。

手術を受けられる条件は大きく3つあります。1つ目は、口腔内が正常であることです。虫歯や歯周病など口腔内の治療が完治していなければインプラント治療は始められません。2つ目は、持病がなく健康体であることです。心臓病や糖尿病などの既往症があり服用している薬がある場合は医師への相談が必要です。3つ目は、治療に適した年齢であることです。20歳以下、70歳以上の年齢の方は、医師に判断を仰ぐ必要があります。

 

1-2 代表的な手術方法

一般的なインプラント治療の手術は、歯肉を切開して顎の骨を削り、金属チタン製のインプラントを埋入する外科技法になります。インプラントは歯根部分にあたるフィクスチャー、人工歯を支える土台になるアバットメント、人口歯の3つのパーツから1本の歯を作ります。フィクスチャーとアバットメントが一体化している「1ピースタイプ」の場合は、1回で手術を行う「1回法」、フィクスチャーとアバットメントが分かれている「2ピースタイプ」の場合は2回に分けて手術を行う「2回法」になります。

 

1-3 手術に必要な心がまえと準備

手術日にあわせて体調を整えておきましょう。発熱や重度の咳や鼻水がある場合は、手術日を延期することがあります。手術後は、止血剤や抗生剤などの服薬が必要になるので、常用している薬がある場合は、飲み合わせに問題がないか事前に医師に確認をとりましょう。治療にかかる期間や費用を確認し、「デンタルローンが使えるのか」「保険が適用されるのか」といった支払いについての打ち合わせをしておくことも重要です。

 

インプラント手術の可否を決める検査項目

2-1 体調を問診

インプラントは、医師の問診を受け、自分の体の情報を伝えてから治療の可否を判断します。問診で医師に伝えておくべきポイントは大きく3つあります。

1つ目は、既往症の病気についてです。手術歴や全身疾患、喘息や糖尿病などの持病で長期間に渡る治療をしている場合については必ず医師に伝えましょう。2つ目は、アレルギーの有無についてです。特に、金属、薬、麻酔のような治療に直接関わるアレルギーを持っている方は必ず伝えましょう。3つ目は、服用中の薬がある方です。常用薬がある場合は、術後に服用する薬との飲み合わせの確認が必要です。

 

2-2 口腔内の診察、CT撮影

口腔内の診察を行い、虫歯や歯周病があればインプラント治療の前に治療を済ませます。口腔内に虫歯などの疾患がある場合、手術で切開した傷口に雑菌が入りこんで、術後感染をきたしてしまうことも考えられます。

また近年は、咬合や顎の診察のために歯科用CTによる撮影を行い、口腔内を綿密に診察する医院が増えてきました。CT画像をもとに、顎の骨のラインや太さなども確認できるので、インプラントの埋入位置を決めるのにも役立ちます。

 

2-3 血液検査、血圧測定

手術による出血でトラブルを回避するために、事前に血液検査をおこない、全身が正常であるかどうかの確認をします。血が止まりにくい体質や血液に関わる薬を飲んでいる場合は、必ず医師に伝えましょう。

 

2-4 アレルギー検査

アレルギー検査はしていない場合でも「ネックレスでかぶれたことがある」といった自覚症状がある方は、皮膚科で詳細な検査を受けるようにいわれる場合もあります。インプラントで埋入する金属は、アレルギー反応が低く生体親和性が高いチタンを使うことが一般的です。しかし、まれにパッチテストで拒絶反応がでる方もいます。その場合、割高にはなりますがメタルフリーの素材に変えるか、ブリッジなど他の技法に治療方法を変更するケースもあります。

 

インプラント手術の手順

3-1 1回法の主な流れ

歯根部分のフィクスチャーと歯の土台にあたるアバットメントが一体化している「1ピースタイプ」のインプラントを使い、1回で外科手術を行う術式が「1回法」です。手術では、歯茎を切開し、顎の骨に穴を空け、インプラント部品を埋め込み、アバットメントが出ている状態で3ヶ月から6か月の安静期間を置きます。

そして、インプラントが骨と結合したことを確認してから、人工歯を取り付けます。「1回法」の手術は、治療期間の短縮でき、インプラントのパーツや手術回数が少ない分だけ費用が抑えられるメリットがあります。

 

3-2 2回法の主な流れ

歯根部分のフィクスチャーと歯の土台にあたるアバットメントが分かれている「2ピースタイプ」のインプラントを使い、2回に分けて外科手術を行う術式が「2回法」です。手術では、歯茎を開き顎の骨に穴を空け、インプラント部品を埋め込んだ後、一度歯茎を縫合して、骨とインプラントが結合する3ヶ月から6か月の間安静期間を置きます。

しっかりとインプラントが骨と結合したことが確認できたら、再度歯肉を切開し、必要に応じて骨を削る手術をしてからアバットメントを取り付けて人工歯を設置します。「2回法」の手術は、治療期間は長くなりますが、骨とインプラントがしっかりと結合しやすく、雑菌感染のリスクが低いメリットがあります。

 

3-3 手術にかかるおおよその所要時間

手術にかかる時間は、施術する歯の本数や個人の体質によって大きく差があります。一般的に、1回法の場合は1本の治療にあたり15分から20分、2回法の場合は1回目の手術が10分から15分、2回目の手術が5分から10分が目安です。また、顎の骨を増やす手術を併せて行う場合は、手術時間が長くなります。

骨を増やす部位や方法、骨を移植するなどにより、10分で済むこともあれば、2時間かかる場合もあり、所要時間は大きく異なります。

 

3-4 難症例や特殊ケースの対応

歯茎のトラブルで炎症がひどい場合や歯茎とともに顎の骨まで痩せてしまっているケースなど、インプラントを埋入することが難しい場合、特殊な対応をとるケースがあります。例えば、骨補填材を使い、骨を再生しインプラントを埋入できる骨の幅や高さを確保する手術が行われる場合があります。

また、骨粗しょう症のように、骨がもろくなるなどの全身疾患をともなう難症がある場合は、インプラント治療ができない場合もあります。

 

インプラント手術後のケア

4-1 手術直後の痛みや腫れ

手術後、切開した傷口が腫れたり出血したりする状態が数日続きます。また、骨を再生する大掛かりな手術をともなう場合は、痛みの強さが変わることもあります。

およそ1週間から10日で強い腫れや痛みは治まりますが、それでも違和感を覚える場合は早めに診察を受けましょう。また、食事のとき咬むと痛みを感じる、歯茎が締めつけられる感覚がある、インプラントの歯がグラグラする、発音がしにくい、などの症状がある場合にも調整や治療が必要になります。

 

4-2 手術後の抜糸や消毒

手術直後の口腔内は、傷口が開きやすく過敏な状態です。そのため、勢いよくうがいをしたりハブラシがあたったりすると、出血したり雑菌が入ったりして治りが悪くなります。縫合した糸が残っている場合は、1週間程度で抜糸と消毒を行います。

その際、口腔内の状態を診察してもらい、自宅で行うブラッシング方法やフロスなどを使ったケア方法の指導を受けましょう。インプラント治療をした以外の歯は、通常どおり歯みがきを行い、清潔を保つよう心がけてください。

 

4-3 定期メンテナンスについて

インプラント装着後は、定期的な検診が必要です。特に、インプラントに慣れてきた6か月くらいの時期に、咬合に違和感があったり、食べ物を咬むと痛みを感じたりするトラブルが出てくることもあります。インプラントは、治療に対して保証制度を設けているところもあるので、手術前に保証範囲と保証期間、保証範囲外のメンテナンスにかかる費用などを確認しておくようにしましょう。

 インプラント治療は、虫歯などの歯科治療の延長ではなく、身体に負担のかかる口腔外科手術をともなう治療です。手術内容をきちんと理解し、インプラントのメリットと手術のリスクを把握することがとても重要になります。また治療の可否は、体調、費用、メンテナンス、治療後のケアなど、総合的な判断が必要です。インプラント治療に対して不安なことがある場合は、些細なことでも相談するようにしましょう。

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監修日:2017年06月19日
遠藤三樹夫 先生監修
経歴・プロフィール

出身校:大阪大学
血液型:O型
誕生日:1956/11/09
出身地:大阪府
趣味・特技:料理