部分入れ歯には保険が使える?具体的な適応範囲を知ろう!

部分入れ歯には保険が使える?具体的な適応範囲を知ろう!

歯が1本または複数なくなってしまったとき、かわりに部分入れ歯を入れることで、歯が揃った状態に戻すことができます。しかし保険が使えるものと使えないものがあり、治療方法もさまざまです。部分入れ歯には、いったいどんな種類があるのでしょうか。また、保険が使えるのはどのような場合でしょうか。ここでは部分入れ歯の種類や保険適応範囲について解説します。部分入れ歯を選ぶ際の参考にしてください。

 

この記事の目次

部分入れ歯は保険対象になる?

1-1 あつかう部分入れ歯によって対象はさまざま

部分入れ歯には、保険を適用することができます。ただし、部分入れ歯は種類によって保険が適用されないものがあるため、注意が必要です。保険適用の場合はプラスチック(レジン)の入れ歯、クラスプと呼ばれる金属の留め具を使用したものに限定されますが、保険適用外であれば、素材を自由に選べます。白いクラスプを使ったり、クラスプ未使用のノンクラスプデンチャーを使ったりするなど、患者の希望に合わせて対応してもらえます。これらを使用すると高価にはなりますが、入れ歯が目立たなくなるなどのメリットがあります。

 

1-2 本数によって値段も異なる

部分入れ歯は1~数本程度の歯を失ったときだけでなく、歯が1本でも残っている状態であれば、部分入れ歯を挿入することになります。用いる歯の本数によって費用にも差が出るため、保険適用のものを少ない本数で作れば5000円ほどですが、ほぼ総入れ歯の状態にすると、倍ほどの費用がかかることもあります。保険適用外ではさらに高価となり、10万円を超えることも多くあります。

 

1-3 保険が適用される部分入れ歯の特徴

保険が適用される部分入れ歯は素材が限定されており、人工歯はプラスチック(レジン)のみです。見た目には違和感がないですが、少し厚めで装着時に多少の違和感を覚えることがあります。また、クラスプと呼ばれる留め具の部分も金属に限定されているため、金属の部分が見えて少し目立つのがデメリットでしょう。ただし、保険適用外の素材に比べて格段に安くなるところは大きなメリットといえます。

 

保険対象内の部分入れ歯の特徴

2-1 具体的な費用

保険を適用して部分入れ歯を取り付ける場合は、手ごろな値段で仕上げられます。しかし、その費用は部分入れ歯の本数によっても変わるため、一律の金額ではありません。部分入れ歯の本数が少なければ5000円程度、ほとんど総入れ歯に近い本数であれば、13000円程度はかかることになります。

注意しておきたいのは、入れ歯を一度作ると、そのあと半年は作り直しがきかないということです。使用しはじめたのちに作り直すとなると、保険の適用ができません。ただし、部分入れ歯に不備があった場合や壊れた場合、明らかに合わなくなった場合などについては保険を適用できるので、歯医者さんに相談してみるとよいでしょう。

 

2-2 修理が簡単

保険を適用した部分入れ歯は、手ごろな金額で作れるほかにもう一つメリットがあります。それは、万が一壊れたり合わなくなったりした場合も、簡単に修理できるということです。保険適用外の部分入れ歯はほぼオーダーメイドになるため、再度素材を購入するには高額になってしまったり、作り直すのに時間がかかったりすることがあります。しかし、保険適用の部分入れ歯は構造が簡単で同じ素材を使っているため、修理にもさほど時間がかかりません。また、壊れてしまった場合は使用期間が短くても保険が適用できるので、費用も手ごろな金額ですみます。

 

2-3 汚れやすいのがデメリット

保険適用の部分入れ歯は、留め具を使って義歯を入れているということもあり、汚れが溜まりやすくなってしまうことがデメリットです。留め具であるクラスプの部分は汚れやすく、水で洗い流しただけでは汚れを落とすことができません。汚れを放置すると菌が繁殖し、ほかの歯にも悪影響を与えることがあるので注意しましょう。入れ歯専用のブラシで磨いたり、入れ歯専用の歯磨き粉を使用したりするなど、お手入れに手間がかかります。

 

2-4 装着時に違和感を感じることもある

保険適用部分入れ歯のもう一つのデメリットとして、使用しているときにどうしても違和感が生じやすいということが挙げられます。なぜなら義歯や義歯床で使われるプラスチックでは、個人の細かい噛み合わせに対応しきれないからです。また、食べ物を噛んでいる感じがしない、暖かさや冷たさを感じにくくなるなどもデメリットとして挙げられます。

この点に関しては、保険適用外で金属床の部分入れ歯を作ることで解消が期待できます。また、人工歯も保険適用外の材質で作ると薄く作れるため、装着中の違和感を減らすことができるでしょう。

 

保険対象外となる部分入れ歯の特徴

3-1 予算はいくらくらいか

保険適用外の部分入れ歯であれば、自分で好きな素材を選び目立ちにくくしたりなど、自由度が高くなります。たとえば、留め具のクラスプを使用しないスマイルデンチャーは、部分入れ歯を目立ちにくくしてくれますが10万円ほどかかります。ほかにも、人工歯を金属に変更すると30~100万ほどかかることがあります。

 

3-2 アレンジがしやすい

素材を選べる部分入れ歯は、自分で好きなものを選んでアレンジすることが可能です。適用外の素材では保険適用時と同様にプラスチックのものもありますが、適用時のものより汚れがつきにくいものや壊れにくいもの性質を持っているので、使いやすく長持ちする部分入れ歯が作製できます。また、金属の人工歯を利用すればプラスチックに比べて薄く作ることができるため、個人の噛み合わせに合わせやすくなり、違和感も軽減されます。

 

3-3 見た目が良い

保険適用外の部分入れ歯を利用することの大きなメリットのひとつは、適用時のものよりも目立たないということでしょう。

スマイルデンチャーやノンクラスプデンチャーと呼ばれるものを利用すれば、より目立ちにくくすることが可能です。スマイルデンチャーはまるで歯茎のような色や素材を使って歯を固定しており、また個人の歯にぴったりと合わせて作るために、部分入れ歯をつけているようには見えないでしょう。

また、ノンクラスプデンチャーも金属を使わない部分入れ歯ですが、こちらは歯茎につける義歯床の部分を広めにとることで、歯茎にしっかりと固定するものです。スマイルデンチャーに比べて少し厚めですが、ノンクラスプデンチャーのほうが安くすませることができます。

 

より安定性を求めるならテレスコープデンチャー

4-1 コーヌスクローネ

クラスプを使わない部分入れ歯には、テレスコープデンチャーと呼ばれるものがあります。これらはクラスプを使わず、代わりに残っている歯ごと覆う冠を使用することで、取り外しが簡単にできる部分入れ歯のことです。

テレスコープデンチャーにはいくつか種類がありますが、コーヌスクローネは残されている歯に金属の内冠をかぶせ、そのサイズに合わせて作った外冠(内冠にかぶせるもの)を部分入れ歯側に取り付けます。コーヌスクローネは取り外しが簡単にできるほか、金属が外に出ないので目立ちにくいという特徴があります。

 

4-2 リーゲルテレスコープ

リーゲルテレスコープは、テレスコープデンチャーのひとつで、レバーつきの部分入れ歯です。リーゲルというレバーを開け閉めすることで入れ歯を固定したり、取り外したりすることができます。レバーで閉じてしまうと歯に負担がかかりやすくなると思う方もいるでしょうが、コーヌスクローネよりも力を使わずに簡単に固定や取り外しすることが可能です。また、適応できる範囲も広く、調整しやすいところも大きな特徴といえるでしょう。

 

4-3 安定性の高さはピカイチ

部分入れ歯はクラスプや歯肉に似せた素材で歯に固定することが多いですが、これらはあくまで入れ歯部分のまわりのみを固定していることになります。テレスコープデンチャーは、残っている歯ごと固定して安定させるため、ほかの部分入れ歯よりも安定感があります。

 

4-4 取り外しがラクラク

そのほか、取り外しが簡単であることもテレスコープデンチャーのメリットとして挙げられるでしょう。ほかの入れ歯は部分的に固定しているため取り外しに多少の手間がかかりますが、テレスコープデンチャーは上からかぶせるだけなので簡単に外せます。また、まるごと洗えるため、洗浄にも手間がかかりません。

 

より丈夫な部分入れ歯を使うなら金属タイプ

5-1 薄くて軽い部分入れ歯

保険を適用して入れ歯を作る場合、素材はプラスチック製のみに限られています。手ごろで簡単な点はおすすめですが、体質によっては入れ歯の重さで肩が凝ってしまう人もいるでしょう。そこで注目したいのが金属製の入れ歯です。これはプラスチック製と比べて軽いものが作れるため、重さによるストレスを軽減することができます。しかし保険が適用できないため、費用は15~50万円かかってしまいます。

 

5-2 汚れもつきにくい

金属の部分入れ歯のメリットは重さの軽減だけではなく、汚れにくいということも挙げられます。保険適用内のプラスチックは汚れやすい素材のため、においや汚れが気になりやすいです。しかし金属であれば汚れもつきにくいため、手入れの手間を軽減できて、においや汚れに関する不安も減らすことができます。

 

5-3 歯肉にあった入れ歯作りが可能

金属の部分入れ歯は、個人の歯並びや噛み合わせに適した状態に歯を調整することができます。保険適用のプラスチック製部分入れ歯は、細かな調整できないため、噛み合わせが悪くなる場合や装着時に違和感が生じるトラブルも起こりやすいです。しかし金属であれば、プラスチック製に比べて薄く作ることができるため、噛み合わせに関するトラブルなどが起きにくくなるでしょう。

 

5-4 治療費はやや高い

デメリットとして、保険が適用できないため治療費が高額になることが挙げられます。また、保険適用内であれば壊れたり不備があったりしても簡単に直せますが、適用外のものは個人に合わせて作っているために修理にも時間や費用がかかってしまいます。

 部分入れ歯は保険を適用できますが、自分で素材を選びたい場合や目立たないようにしたいときには、適用外の治療を選択しましょう。ただし、適用外の治療は個人の好みに合わせてできる反面、高額になってしまうため、どこまで支払えるかなどをきちんと考えて選ぶことが重要です。費用や使用感をきちんと調べて、歯医者さんと相談しながら、自分にとって適切なものを選んでください。

お口の粘膜異常、外傷などの相談・治療ができる歯医者さんを予約

 

監修日:2017年06月19日
飯田尚良 先生監修
経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

医院情報
住所:東京都中央区銀座1-14-9 銀座スワロービル2F
電話:03-3563-8000