事故で歯がなくなったり、虫歯や歯槽膿漏などの歯科トラブルで抜歯しなければいけない事態になることは誰でもありえるでしょう。このとき、手軽な治療法のひとつとして挙げられるのが「部分入れ歯」です。20〜30代などの若い世代の方の中には「部分入れ歯は目立つし、入れ歯なんて…」と抵抗感を感じる方もいらっしゃるでしょうが、最近は目立たない審美性に優れた部分入れ歯も登場しています。ここでは、おすすめの部分入れについてご紹介します。
事故で歯がなくなったり、虫歯や歯槽膿漏などの歯科トラブルで抜歯しなければいけない事態になることは誰でもありえるでしょう。このとき、手軽な治療法のひとつとして挙げられるのが「部分入れ歯」です。20〜30代などの若い世代の方の中には「部分入れ歯は目立つし、入れ歯なんて…」と抵抗感を感じる方もいらっしゃるでしょうが、最近は目立たない審美性に優れた部分入れ歯も登場しています。ここでは、おすすめの部分入れについてご紹介します。
部分入れ歯には、歯を固定する「クラスプ」という留め具がついています。クラスプは、一般的に金属で作られているため、装着中に目立ってしまい「部分入れ歯を付けている」ということが周囲に知られやすくなります。
最近では、留め具が目立ちにくい「ノンクラスプデンチャー」や、「コーヌスクローネ義歯」という部分入れ歯が登場し、部分入れ歯の抵抗感も少なくなってきたのではないでしょうか。特にノンスクラプデンチャーは、自然な笑顔が作れる部分入れ歯として知られています。
ノンクラスプデンチャーは、クラスプの素材に樹脂を使用しています。樹脂の色は歯茎の色に似ているため目立ちにくく、周囲に部分入れ歯を装着していると気づかれにくいことがメリットです。また、前歯にも奥歯にも使えるという特徴も持っています。
他にも、樹脂は金属にくらべ弾力性が高いため、レジン床の部分入れ歯をよりも装着時の違和感が少なく、異物感を大幅に軽減できます。また、軽く薄く製作できることも違和感を少なくすることに役立ちます。違和感があると口元の動きが不自然になることもあり、そのことが不安やストレスにつながるケースもあります。部分入れ歯を装着することの不安やストレスの解消に役立つでしょう。
ノンクラスプデンチャーの費用は自由診療になるため歯医者さんによって差があります。一般的には、1床1〜3歯で8万円程度、4〜7歯で10万円程度、8〜13歯で13万円程度が目安となります。「治療費はいくらかかるだろう…」と不安な場合は、受診する歯医者さんに事前に確認するようにしましょう。
コーヌスクローネは留め具がない部分入れ歯です。テレスコープデンチャーと呼ぶこともあります。コーヌスクローネは、残っている歯に金属キャップを装着し、その上に義歯をかぶせて固定します。留め具自体が見えないので審美性が高く、薄さと安定性をかねそなえているため咀嚼に違和感がでにくいという利点があります。雑菌がつきにくく口腔ケアも比較的しやすいです。発音などに支障が出にくい特徴も持っています。
コーヌスクローネにかかる費用は、約40万円〜120万円といわれています。ただし、歯の本数によって費用は変動します。また、保険が適用されない自由診療のため、歯医者さんそれぞれで費用に差があります。
ここでは、上記以外の部分入れ歯についても触れていきます。
・マグネットデンチャー
固定するためにクラスプを使わず、磁石を使います。歯根部分に磁石をつけ、入れ歯にも超小型の磁石を埋め込みます。クラスプがないので、非常に目立ちにくい部分入れ歯です。
・金属床
金属の床で入れ歯を支える部分入れ歯です。金属床義歯とも呼びます。素材としてゴールドやチタン、コバルトクロムなどの金属があり、目的や要望にあわせて使いわけられています。
ノンクラスプデンチャーはとても魅力的ですが、デメリットもあるので注意しましょう。
通常の部分入れ歯は保険が適用され、5,000円〜13,000円程度の費用で治療できますが、ノンクラスプデンチャーは審美的な要素が強く保険が適用されません。そのため、経済的な負担が大きくなることがデメリットです。
取り外しが可能な部分入れ歯のため、強く噛むときに少し不安定さを感じることがあります。しっかり噛みたいという要望がある方は、ブリッジ、インプラントなどを検討したほうがいいでしょう。
部分入れ歯は定期的に作り直す必要があります。何度も作り直した場合は、結果として治療費が高価になります。
特殊な樹脂を使っているため、お手入れをするには専用の洗浄剤が必要になります。
部分入れ歯は取り外しができるため、不意に落としてしまったりして故障させてしまうことがあります。この場合、補修できないことが多く、一から作成する必要が出てきます。
通常の部分入れ歯であれば保険が適用されますが、コーヌスクローネは審美的な要素もあり、保険が適用されません。つまり、ノンクラスプデンチャー同様、コーヌスクローネも費用が高価になります。経済的な負担が大きくなるのがデメリットです。
コーヌスクローネは歯を削る必要があるため、使える人が限定されてしまう部分入れ歯です。場合によっては神経を抜かなければいけないことも出てきます。また、歯をすべてなくしてしまった方も使えません。
残された歯に負荷がかかるため、残された歯が折れてしまう可能性があります。健康な歯に負担をかけるということは、大きなデメリットといえるでしょう。
初めての部分入れ歯を作るときは、戸惑いを感じる方も多いのではないでしょうか。ここからは部分入れ歯ができるまでについて紹介していきます。
部分入れ歯完成までは3〜5回の通院が必要なケースが多く、作成までには時間がかかるためすぐに手元に届くわけではありません。
歯の表面、エナメル質を少しだけ削ります。痛み感じない部分のため麻酔はしません。この工程は、クラスプをかける隙間づくりのために行われます。
噛合せに適した入れ歯を作るために、歯型を取っておきます。
いつもの噛合せを記録しておきます。
歯ならび、歯茎の位置などを確認するため、実際に義歯をあてて口の中で調整します。
入れ歯が完成したら、実際に歯にはめて微調整をします。噛合せに違和感がないか、歯茎の痛みがないかなど、毎日つけ続けられる入れ歯に仕上がっているかを確認します。取り外しになれていないと、入れ歯を壊してしまう可能性があるため、扱い方や手入れの仕方などについても指導を受けます。
入れ歯を入れてからも、違和感がなく使えているかの確認・微調整をします。この調整のために、数回は通院が必要になります。
部分入れ歯を使うようになったら、基本的に毎日のお手入れが必要となります。一部の部分入れ歯は、部分入れ歯用洗浄剤に浸けて洗浄する必要があります。専用の洗浄剤(錠剤)を溶かした水の中に一晩浸けておく処方になっています。
ただ、入れ歯洗浄剤で完全に殺菌をすることは不可能で、生き残った菌が繁殖し、一晩中浸けておくと液が濁ります。入れ歯洗浄剤だけに頼るのではなく、きちんと歯磨きをしてお手入れをして入れ歯を清潔に保つことが大切です。
費用は、約50回分で5〜600円程度で売られており、安いものでは約100回分が800円前後です。メーカーや商品によって差はありますが、大きな価格負担にはならないでしょう。
入れ歯によっては使用できないものもあるので、メンテナンス方法について必ず歯医者さんに確認しましょう。
部分入れ歯は、食後の歯磨きも行います。このとき、部分入れ歯によっては研磨剤で傷や汚れが溜まることがあるので、医師に使用を禁止された場合は、歯みがき粉は使用しないでください。
部分入れ歯が割れたり、ゆるくなったりした場合、自分で調整することはできません。そのため、完成後も調整で定期的な通院が必要になることがあります。
治療後にかかる費用の目安としては、保険適用で300〜1,000円程度です。保険適用外であれば自由診療となり、費用は歯医者さんによって変動します。
入れ歯にはそれぞれ耐用年数があります。コーヌスクローネやマグネットデンチャーなどは、メンテナンスをしていて歯や噛み合わせに不具合がなければ10年以上使い続けることができますが、ノンクラスプデンチャーの耐用年数の目安は3年程度です。これは義歯の中でも短い耐用年数になります。作り直すコストを、きちんと認識しておく必要があるでしょう。
20〜30代の方が部分入れ歯する場合、少し抵抗感があってもおかしくないでしょう。しかし、義歯の技術の発展により、目立たない審美性の高い部分入れ歯も普及してきています。歯がない状態のままでいると、咀嚼に関する問題が生じ、それが原因で身体全体のバランスを崩す可能性もあります。安価ではありませんが、目立たない部分入れ歯は精神的な負担も軽減につながります。歯医者さんと相談しながら、自分の状態と要望に適した治療方法を選択しましょう。
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る