1.唇のできものには種類がある
唇のできものの種類とは
唇のできものと言っても、赤いもの、白いもの、唇が黒く変色するなど様々なタイプがあります。このように症状が異なるのは、発症の原因に違いがあるからです。もし唇のできものがあれば、自分はどの種類の症状を起こしているか特定して、それに見合った対処をする必要があります。
2.白いできもの
2-1 できる原因
唇のできものの中でも、白いものができているケースは多くあります。この白いできものですが、しばしば見られるのは口内炎です。生活習慣が乱れるとか、唇を誤って噛んでしまった時にできやすいです。ただし、その他にもがんなどの重大な疾患の兆候として現れることもあるので、決して油断できません。
2-2 口内炎
唇の白いできものの中でも多いのは口内炎です。ストレスやビタミン不足が起きている、あるいは食事をしているときなどに誤って唇を噛んでしまうことで発生します。口内炎ができると、食べ物を口に入れるとピリピリした痛みが走ります。口内炎は放っておいても1~2週間で治ります。
しかし早めに治したいのであれば、マウスケアをして細菌が繁殖できない清潔な状態をつくることが大事です。また、ドラッグストアで販売されている口内炎用の軟膏を使用すると良くなる場合もあります。
2-3 パピローマウイルス
その他には、パピローマウィルスに感染して発症する事例も見られます。口内炎と違って、できものができても痛みなどの自覚症状はありません。皮膚腫瘍の一種ですが、大半は良性なのであまり心配する必要はないでしょう。
ただし、もしどんどん大きくなっているのであれば、悪性である可能性が疑われるので皮膚科の受診をおすすめします。
2-4 粉瘤
白いできものの正体が紛瘤というケースもあります。あまり聞きなれない名前かもしれませんが、皮膚からはがれた老廃物が、皮膚の内部に溜まってしまうことで起こります。良性の腫瘍で、唇にニキビができたという感じだと思ってください。
ただし放置していると、細菌感染を起こす可能性もあり、痛みが生じる恐れもあります。もしどんどん紛瘤が大きくなっているようであれば、速やかに皮膚科の診察を受けるのが賢明です。
2-5 口唇がん
一見すると口内炎、しかし実際には口唇がんにかかっていたということもあり得ます。口内炎は先ほども紹介したように1~2週間で治まってきます。
ところがこの期間を経過しても痛みが取れない、しびれを感じるようであれば、口唇がんの恐れがあります。早期発見できれば、手術で切除して管理する可能性も十分あります。特に喫煙や飲酒の習慣のある人は、発生リスクが高いと言われているので注意が必要です。
3.赤いできもの
3-1 できる原因
唇のできものの中には、赤っぽいものがあります。この赤いできものですが、唇で炎症を起こしていることが原因というケースが多いです。
3-2 口唇ヘルペス
口唇ヘルペスは日本人の10人に1人は発症経験があるという、割とポピュラーなできものといえます。単純ヘルペスウイルスに感染することで発症します。ちなみに感染しても免疫があれば発症することはないのですが、体調不良やストレスで免疫力がダウンしていると発症しやすくなります。唇周辺に赤い水ぶくれのようなものができ、かゆかったり痛かったりします。病院に行けば抗ヘルペスウイルス薬が処方されます。
3-3 口唇炎
口唇炎とは唇の周辺に湿疹などの皮膚炎症を起こしている症状です。赤く腫れ上がったような感じになって、患部を触ると痛みがあります。刺激物をよく摂取する人や体調不良の人などに起こりやすいです。また子どもが発症するケースが多いのですが、中でも唇の周りを舌なめずりする癖があると起こりやすいという特徴があります。
口唇炎は特別治療をしなくても自然治癒することが多いですが、もし症状がなかなか収まらないというのであれば、まず原因を特定して、唇になるべく触れないようにすることです。その上で保湿剤などを使って唇のケアをするのも有効です。
3-4 口角炎
口角炎は唇の両端におこる炎症で、ひび割れのような状態になり、ひどくなると出血することもあります。口を開けるとヒリヒリするので、食事すら億劫になるという人もいます。カンジダというカビの一種に感染することで発症するのですが、疲労やストレス、生活リズムの乱れなどで発症しやすくなります。
もし口角炎を発症したのであれば、まずは規則正しい生活を心がけましょう。また、しばらくするとかさぶたになるのですが、剥がすと再発するので、剥がしたい気持ちを抑えてそのまましばらく様子を見るようにしましょう。
4.他にも種類がある
4-1 口唇粘液嚢胞
直径5mm前後の水ぶくれのような症状のある人は、口唇粘液嚢胞という疾患にかかっている可能性があります。舌下腺と呼ばれる唾液腺の一種が損傷することによって起こります。この水ぶくれをつぶすと、粘り気の強い唾液が出てきます。水ぶくれの中身がなくなるので、瞬間的には治ったような感じになるでしょう。
しかし数日も経過すると中で唾液が溜まってしまい、結局再発します。自然治癒することはまずないので、歯科口腔外科などを受診して、本格的な治療を受けるのがおすすめです。
4-2 紫外線が原因のものある
紫外線が原因で、できものができるケースもあります。唇は皮膚を保護する膜が体内でも際立って薄いので、紫外線にさらされると大きな影響が出やすい箇所です。
特に夏場の紫外線が厳しい環境で、何もケアをせずに外出すると黒いできものができる恐れがあります。これは紫外線に反応して、紫外線から肌を守るメラニン色素が過剰に作られてしまうからです。もし夏場の日差しの厳しい時期に外出するのであれば、紫外線対策をしっかりしましょう。
5.唇の特徴と対策方法
5-1 唇の特性
唇は皮膚の中でも、刺激をより強く受ける傾向があります。ちょっと油断しただけでも、簡単にできものはできてしまいます。できものができにくい体質にするには、免疫力を高めることが大事です。しっかりと睡眠時間を確保する、栄養バランスのとれた食事を1日3食摂るようにする、ストレスを溜め込み過ぎないよう心がけるなどの配慮が必要です。
5-2 早めの受診が大切
唇にできものができて気になる、痛みがあって何とかしたいという場合は、医者の診察を受けることも大事です。唇のできものを病院で治療する場合には、診療科目に注意しましょう。
一般的に唇の外側にできものがある場合には皮膚科・内側にあれば歯科口腔外科で診療することになります。その他にも耳鼻科や内科でも対処してもらえる可能性があります。先ほども紹介したように、できものの正体ががんだったという事例もあるので、気になったら早めに医師の診断を受けることが大切です。唇のできものは、食事をする時に痛みが走ったり、見た目が嫌などの理由から、早めに治したいと思う人が多いです。それほど深刻な症状ではないと放置する人もいますが、薬を塗ったり、病院の診察を受けるなどの適切な対処が求められます。
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監修日:2016年08月14日
飯田尚良 先生監修
経歴
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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