辛い痛みやしびれの舌痛症!治療法や応急処置を紹介!

辛い痛みやしびれの舌痛症!治療法や応急処置を紹介!

女性の発症率が高く特に更年期の女性に多く発症している舌痛症をご存知ですか。口内に痛みの原因となるような疾患が認められないのに慢性的に舌の痛みやしびれ等の症状が現れる病気です。症状が酷くなると痛みにより日常生活に差し支えることさえあります。はっきりとした原因が見当たらないため適切な治療が受けられず、他人になかなか理解されないのが大きな問題となっています。

厄介な病気である舌痛症の適切な治療方法や原因、そして予防法について解説してみましたので、舌痛症の苦しんでいる方や身の回りの方が罹病している方は是非参考にしてみて下さい。

この記事の目次

1.舌痛症の治療方法

1-1 舌痛症は病院の何科を受診すれば良いのか?

舌痛症の治療は一部の医療機関で行われています。痛みの原因が口腔内の物理的なものではない場合は、歯科での治療ではなく心理的な治療が必要となるためきちんと舌痛症に対応した適切な治療を行ってくれる医療機関を受診することが大切です。

まずはかかりつけの歯科医院を受診して物理的な原因が無いかを診断した上で、舌痛症が疑われる場合は専門的に舌痛症を取り扱っている歯科口腔外科、口腔内科やペインクリニックを有する総合病院や大学病院を紹介して貰うのが良いでしょう。

1-2 抗うつ剤を服用する

入れ歯の不整合などの物理的要因が見当たらない舌痛症では、何かしらの原因により神経伝達がスムーズに行われないため痛みが生じると言われており、抗うつ剤を服用ことにより神経伝達が改善することが研究によって明らかにされています。個人差はありますが服用開始から1週間程度で痛みが緩和していき、3~4週間後には7割程度の改善が見込めます。

副作用の少ないSSRIやSNRIをはじめ、NaSSAと呼ばれる新しい抗うつ剤、古くから用いられている三環系抗うつ薬を患者さんの状態に合わせて処方します。場合によっては睡眠導入剤や抗不安薬を併せて服用することもあります。

1-3 漢方薬を服用する

舌痛症の治療に有効な手段として、漢方薬を服用する方法もあります。長期的に服用する必要がありますが、病気の根本となっている体質から改善できるのが漢方薬の大きな特徴です。大きく分けて舌痛症の原因である心理的な原因に対して効果があるものと、口内の乾燥が原因の痛みに対して効果があるものに大別されます。

舌痛症に効果がある漢方薬には多くの種類があり、患者さんの舌の状態や症状、体質に合わせて処方します。舌痛症の治療に用いられる代表的な漢方薬として、心因性の舌痛症には加味逍遥散が、口内の乾燥には白虎加人参湯、麦門冬湯、五苓散がよく処方されます。

1-4 亜鉛の摂取が効果的

舌痛症を罹病している患者さんの約1割程度が血液検査の結果亜鉛が不足していると言われています。割合としては少ないのですが、亜鉛が不足すると味覚障害や皮膚、粘膜の傷の治りが悪くなることにより舌痛症の原因となることがあります。

亜鉛不足が疑われる舌痛症の治療には亜鉛を含んだ薬やサプリメントを服用して摂取量を補います。1日に必要とされる亜鉛摂取量の目安は成人男性で12mg、成人女性で9mgとされています。

ただし、摂取量上限がありますし、たくさん摂取するほど効果が現れるわけではないので、医師の処方に従って摂取することが大切です。

2.舌痛症の応急処置

2-1 こまめに水分補給する

舌痛症の方の多くは口の中が乾燥するドライマウスと呼ばれる状態であると言われています。舌を保護する唾液の量が減ることで炎症を起こしやすい状態にあるため、痛みの原因に繋がります。舌痛症が疑われる方は口内が乾燥していないか確認してみましょう。

乾燥には一般的に水分補給が効果的ですので、こまめに水分補給をして口腔内を潤すことでドライマウスを防ぐことができます。

しかし、重度の乾燥が認められる場合は粘膜が水分を吸収しにくくなっている場合もあります。このような場合は医療機関で処方される保湿剤配合の先口液を用いると効果的です。

2-2 唾液腺のマッサージも効果的

舌痛症の一因であるドライマウスを防ぐには唾液の分泌を促す唾液腺マッサージも効果的です。時間もお金もかかりませんし、即効性がありますので口内の乾燥が気になった時にいつでも手軽に実施できます。

マッサージの方法は唾液の分泌を促進する3か所の唾液腺を指でやさしくマッサージします。唾液腺の場所は耳下腺と呼ばれる耳たぶの前方、上の奥歯の頬骨の内側あたりと、顎下腺と呼ばれる下顎の骨の内側の柔らかい部分、舌下腺と呼ばれる顎の先の内側にある舌の付け根の部分にあります。心地よい程度の力で唾液の分泌を感じることができれば成功です。

2-3 ストレスの原因から離れる

舌痛症の原因にもなるドライマウスは、ストレスと密接な関係にあります。人がストレスを感じることで身体が緊張状態になって交感神経が働きます。唾液の分泌を司る副交感神経よりも交感神経の働きが優位になると、唾液の分泌が抑制されて口内が乾燥してしまいます。

一時的な緊張ではドライマウスの要因には至りませんが、慢性的にストレスを感じて緊張状態が継続するとドライマウスになりやすくなります。

ストレスを感じる原因から離れてリラックスするなど、副交感神経優位の状態にすると唾液の分泌も活発になりドライマウスが改善されます。そうすることで舌痛症を予防にも繋がります。

3.舌痛症の原因

3-1 歯科治療の影響

舌痛症のはっきりした原因は未だに解明されていませんが、虫歯の治療や歯列矯正などの歯科治療を行った後に舌の痛みを訴えるようになった例が多く確認されています。

入れ歯や矯正器具による物理的刺激や金属アレルギーが痛みの原因となっている場合もありますし、確認はされていませんが歯科治療の際に陥られる薬剤に痛みの原因物質が含まれているのではないかとの意見もあります。

舌の痛みが物理的原因や金属アレルギーによる場合は適切な歯科治療を受ければ改善が見込めます。

3-2 神経系統の異常

はっきりとした痛みの原因が無いのに舌に痛みを感じるのは、痛みや感覚を司る神経系統に何かしらの異常が発生しているという考えもあります。人は痛みを感じる時に神経回路に電気信号を発している状態にありますが、外部からの刺激が無くともストレスや疲労、体調不良等の要因によってこの電気信号は影響を受けることが判明しています。

舌痛症は体調やストレスの度合いによって症状に波があることからも、神経系統の異常は舌痛症の原因として有力な説です。

3-3 常用している薬の副作用

何らかの疾患を抱えていて常用薬を服用している方は、薬の副作用で口内が乾燥し、自律神経系の働きが乱れることにより舌痛症になる場合もあるようです。一説では、一般的に処方されている薬の約8割に口内が乾燥しやすくなる副作用があると言われています。

舌痛症の患者さんの多くは口内が乾燥している傾向にあり、口内の乾燥は物理的に舌が傷つきやすくなったり炎症を起こしやすくなったりします。

慢性的に服用しているお薬の中に心当たりがある場合は、主治医と相談して常用薬の内容を変えたり、摂取方法を見直してみるのが良いでしょう。

4.舌痛症の予防方法

4-1 十分な睡眠を取る

舌痛症の予防として最も効果的であると言われているのが充分な睡眠を取るということです。舌痛症の原因の多くは疲労やストレスなどによって神経の働きが乱れることによって痛みが生じると言われています。

実際に舌痛症の方は睡眠不足や忙しい方に多く、精神的肉体的な疲労が舌痛症に及ぼす影響は大きいとされています。疲労やストレスの軽減には十分な睡眠が効果的で、神経の乱れを和らげることができます。舌に異常を感じたらまずは睡眠をしっかりとれているか見直してみることをおすすめします。

4-2 生活習慣を改める

舌痛症にならないためには生活習慣も大切です。不規則な生活や不摂生な食事は心身に負担をかけ、神経の働きの乱れに繋がります。神経の働きが乱れると痛みの原因になるほか、舌の粘膜を保護する唾液の分泌も減ります。すると舌が乾燥して炎症を起こしやすくなって舌痛症になりやすくなります。

また、食生活の乱れによるビタミンや鉄分の不足も舌の粘膜を弱体化させる一因です。規則正しい生活習慣とバランスのとれた食生活を習慣づけて、特にビタミンと鉄分の栄養素を多く含んだ食事を取ることも舌痛症の予防には重要です。

4-3 積極的にストレスを発散する

ストレスを抱えると身体は緊張状態になり、舌の粘膜を保護する唾液の分泌が減ってしまいます。すると舌が乾燥して傷つきやすくなり、また唾液による殺菌作用がなくなることにより細菌も増殖しますので炎症を起こしやすくなります。

このようにストレスは舌痛症と密接に結びついていますので、普段から積極的にストレスを解消して溜め込まないようにすることが重要です。ストレスから解放されてリラックスすると唾液の分泌を司る副交感神経が優位に働き、舌痛症の予防に繋がります。舌痛症は目視できる疾患が見当たらず、はっきりとした診断が付かずに有効な治療を受けられず多くの方が苦しんでいる病気です。

しかし、まだ数は少ないですが、専門医療機関で適切な治療を受ければ十分回復が期待できます。

今日、求めていた歯医者さんが見つかる

監修日:2016年08月29日
飯田尚良 先生監修
経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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