歯が動いた!? 危険な動きの歯の見分け方や治療法とは

歯が動いた!? 危険な動きの歯の見分け方や治療法とは

グラグラと動く歯を見つけたら、ちょっと慌ててしまうものです。痛みがないからといって、必要以上に揺すったり、あるいは放置したりせずに、歯科口腔外科で歯が動く原因を診てもらい、治療を行うべきです。この記事では、歯が動くさまざまな原因や、正常な歯の動きとそうでない歯の動きの見極め方、歯が動く原因別の治療法などについて詳しくご紹介します。

 

この記事の目次

1章 気になる歯の動きやグラグラ、その原因は?

歯はガッチリと固まって動かないものではなく、実はある程度の弾力性を持ちながら、多少は動くものです。しかし、大きくグラつくようであれば、何らかの疾患が考えられます。歯がグラグラするさまざまな原因について、ご紹介しましょう。

 

進行した歯周病

歯周病菌は、歯茎の炎症を引き起こすだけでなく、歯を支える骨を痩せさせてしまうものです。歯周病が重度に進行すると、歯がグラグラし始め、そのまま放置すると歯が抜けてしまう怖い疾患です。日本人が歯を失う原因のひとつとなっています。

本来は歯周病はお口の中全体の病気ですが、そこへ下記に挙げる歯ぎしりやかみしめなどの習癖、歯並びの悪化によるかむ力の不均衡、高さが合っていない詰め物やかぶせ物…などのいくつかの要素が絡まって、部分的に何本かの歯への負担が大きくなってしまっている場合にその歯が動揺してくる事が多いのです。そのためお口全体から見たチェックが必要です。

 

強い歯ぎしりなどの癖

強い歯ぎしりの癖がある場合、強く力のかかる歯の表面・エナメル質がすり減り、歯が強く揺すられると、グラグラしてくることがあります。歯は通常、食事中以外はほとんど接触しないものです。歯ぎしりだけでなく、食事以外で歯が接触する状態が多いと歯に大きな負担がかかります。

 

かみ合わせのバランスが悪い

かみ合わせのバランスが悪いと、歯の揺れを招くこともあります。左右のかみ合わせのどちらかが高いと、かみやすい方だけでかむ癖がつき、その歯に大きな負担がかかるからです。歯の揺れだけでなく、使うあごの筋肉に左右差が生じて、顎(がく)関節症につながることもあります。

 

かぶせ物の不具合

虫歯や接着剤の劣化などで、かぶせ物と歯の接着が悪くなると、歯が揺れるように感じることがあります。虫歯を処置して新たにかぶせ物を付け直すことですぐに改善できますが、そのまま放置しておくと虫歯が悪化する可能性があります。

 

歯根の破損

歯根が割れてしまうと歯が揺れる原因になります。神経がある場合には、歯が動揺するだけでなく強い痛みが伴いますが、抜髄(歯の内部の神経や血管組織を取り除くこと)を施した歯は痛みがないので注意が必要です。

 

歯根嚢胞

歯根嚢胞とは、歯の根っこの先にある、あごの骨の部分にうみがたまる疾患です。歯髄(歯の神経や血管組織)が細菌に感染し炎症を起こすと、このようにうみがたまります。嚢胞が大きくなると、歯の根やあごの骨が溶けて歯がグラグラするようになります。

 

歯の脱臼

歯はあごの骨と歯根膜という組織でつながっています。事故などで歯に強い力が加わると、この歯根膜が部分的にはがれることがあります。これを歯の脱臼といい、歯が揺れることになります。また、歯がすべて取れてしまうことを歯の完全脱臼といいます。

 

2章 危険な歯の揺れはどう判断する?

実は、健康な歯でも指で押すと、多少は動くものです。この健全な歯の動きと、治療を要する歯の動きの違いについて、詳しくご説明しましょう。

 

健康な歯でも多少動くもの

健康な歯でも指で力を加えると、前後左右に0.2ミリから0.3ミリ程度動くものです。ただし、歯は隣の歯と接触して支え合っているので、歯のアーチに沿った左右方向には動きにくく、主に前後に動きます。健全な歯でも指で動かすと、鏡で見て確認できるくらい動くものです。

 

かんだときに歯が動くのは要注意

歯が動く何らかの問題があれば、指で動かしたときに健康な状態以上に大きく動きます。大きく揺れる歯があるときには、鏡の前で歯をかみ合わせただけでも、歯の動揺が目で見て分かるものです。この二つを試してみて、大きく動くようであれば、すぐに歯科口腔外科で診てもらうべきです。

 

特に上下へ動く歯は要注意!

アーチに沿って指で前後に動かし、鏡でかんだ時の動きを確認したら、今度は大きく動く歯を軽くつまんで上下に動かしてみてください。上下に動く場合には、歯周病がかなり進行している可能性があります。このような状態では痛みを伴っているケースも多く、歯科口腔外科で診てもらう必要があります。

 

3章 歯が動くときは歯科口腔外科に相談を!

危険な揺れを感じたら歯科口腔外科へ

指で押して前後に大きく動いたり、鏡の前で歯をかみ合わせたときに歯が動いたり、指でつまんで上下に動く場合には、できるだけ早く歯科口腔外科で診てもらうべきです。1章で前述した通り、歯のグラグラにはさまざまな疾患が考えられます。歯科口腔外科は、そのほとんどの疾患に対応できる歯医者さんといえます。

 

歯のグラグラを引き起こす疾患の治療法

・歯周病

歯茎の炎症や、歯を支える骨を痩せさせる歯周病は、歯周病菌が原因となっています。歯周病菌は、一種類ではなく数百種類あるものですが、これらを低減することが歯周病の基本治療となります。歯周病菌のすみかとなる歯垢(しこう)や歯石の除去をはじめ、薬剤を用いて菌の繁殖を抑えるといった治療法が主体となります。また、歯のグラグラが大きい場合には、隣の歯と接着剤で固定するか、かぶせ物で隣の歯と連結します。

 

・歯ぎしりやかみしめの癖

歯ぎしりやかみしめる癖は、歯をすり減らしたり、歯に必要以上の力をかけたり、大きく揺すったりといったダメージを与えるものです。まず、スプリント療法と呼ばれるマウスピースを使った治療で、歯に掛かる力を軽減することなどから始めます。根本的な治療は癖の改善となります。無意識に行ってしまう癖を自覚する認知行動療法などによって、悪い癖を改善していきます。

 

・歯根の亀裂

亀裂が歯根の先まで入っていて、しかも細菌が歯の内部に侵入している場合には抜歯が必要となることもあります。亀裂が歯根に達していない場合には、接着剤などで修復することも可能です。

 

・歯根嚢胞

歯根嚢胞は主に、根管(歯の内部の神経や血管の通う部分)に細菌が侵入し、歯の根っこの先を通じてあごの骨に嚢胞を作っているので、まず根管の治療が必要となります。それだけでは改善が見込めない場合には、歯の根っこの部分を切除する手術が必要となります。

 

・悪いかみ合わせやかぶせ物の不具合

歯並びが原因で悪いかみ合わせになっている場合には、矯正歯科で歯の矯正治療をすることが必要となります。かぶせ物の高さが合わない場合や、接着が悪い場合などではかぶせ物の調整や作り直しが必要となります。

 

・歯の脱臼

歯とあごの骨をつなぐ歯根膜が再生するまで、歯を接着剤などで固定して経過を見ます。歯のすべてが抜けた場合(歯の完全脱臼)でも、すぐに元の位置へ固定する処置ができれば、元通りにくっつけることもできます。ただし、歯髄壊死(歯の内部の神経や血管組織が死んでしまうこと)を起こし、元通りにならない可能性もあります。

 

4章 治療を受ける前の注意点

舌や指で故意に動かさないように!

グラグラしている箇所が見つかると、そこが気になって舌で揺すってしまったり、指で何度も動かしてみたりしてしまうものです。こうした行動は症状を悪化させることになるので、控えるように心がけ、できるだけ速やかに歯科口腔外科で診てもらうべきです。

 

固いものやくっつく食べ物を避ける

舌や指で揺するのを控えると同時に、固いものやくっつく食べ物なども控えましょう。こうした食べ物も、グラグラする歯をさらに揺する結果になるからです。歯科口腔外科で原因を突き止め処置を行うまでは、柔らかい食べ物を取るようにしましょう。

 

痛みがあるなら市販の消炎鎮痛剤を

歯根の破損や歯根嚢胞などによって歯が揺れる場合には、大きな痛みも伴うものです。すぐに治療を受けるべきですが、歯医者さんに行くまでの間、痛みが我慢できないときには、市販の消炎鎮痛剤を服用しましょう。ただし、痛みが和らいでも放置せず、歯科口腔外科で診てもらうことが肝心です。

 

脱臼で抜けたら牛乳で保存

3章でお伝えした通り、外傷によって歯が抜けてしまった場合でも、迅速に歯医者さんで治療を受ければ再建できる可能性が高くなります。その際、抜けた歯をティッシュやハンカチなどで包むのではなく、牛乳に入れて保管するようにしましょう。もし牛乳がない場合には、口内に入れて唾液に浸しながら、速やかに歯医者さんに向かいましょう。

 グラグラしている歯があることに気付くと、誰でも動揺してしまうものですが、どんな風に動くのか冷静に見極めましょう。もし、前後に0.5ミリ程度の幅以上に大きく動く、または上下に動くようであれば危険な揺れです。ただし、歯の揺れは確かめる程度にとどめ、舌や指で必要以上に揺すったりしないよう心がけて、速やかに歯科口腔外科で診てもらいましょう。歯科口腔外科であれば、外傷をはじめ、手術を必要とする疾患など幅広く対応可能です。

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監修日:2017年09月24日
遠藤三樹夫 先生監修
経歴・プロフィール

出身校:大阪大学
血液型:O型
誕生日:1956/11/09
出身地:大阪府
趣味・特技:料理