親知らずが成長してくると、歯茎の腫れやかゆみ、痛みなど、不快な症状が現れてくるものです。ただし、親知らずを抜くべきか否かは、一般歯科ではなく、抜歯ができる医師のいる歯科口腔外科で診察してもらうのが早いでしょう。この記事では、生えかけの親知らずの歯茎に感じる症状をはじめ、抜くべき親知らずや抜かなくても良い親知らず、さらに、歯科口腔外科で診てもらうべき理由などについて、詳しくご紹介いたします。
親知らずが成長してくると、歯茎の腫れやかゆみ、痛みなど、不快な症状が現れてくるものです。ただし、親知らずを抜くべきか否かは、一般歯科ではなく、抜歯ができる医師のいる歯科口腔外科で診察してもらうのが早いでしょう。この記事では、生えかけの親知らずの歯茎に感じる症状をはじめ、抜くべき親知らずや抜かなくても良い親知らず、さらに、歯科口腔外科で診てもらうべき理由などについて、詳しくご紹介いたします。
この記事の目次
生えかけの親知らずは、かゆみ、痛み、腫れや膿など、まず周囲の歯茎に自覚症状が現れることが多いものです。こうした症状は、ただちに抜歯すべき判断材料ではありませんが、早期に親知らずの抜歯をすべきか否か、歯科口腔外科で診てもらうためのきっかけとしましょう。
・かゆみ
生えかけの親知らずには、いわば、乳歯が抜けて、永久歯がはえてくるようなムズ痒い感じがあるものです。覆っていた歯茎が押されて、親知らずが生えようとしている、初期の段階の症状です。
・痛み
親知らずが生えてくると、歯茎が押されてムズ痒さを感じ、やがて歯茎を突き破って、痛みが出てきます。もし、親知らずが真っ直ぐ正常に生えているなら、この痛みは一時的なもので、持続しないものですが、斜めに生えたり、隣の歯を圧迫すると、痛みや違和感が続きます。
・腫れや膿
親知らずが歯茎を突き破って出てくる過程では、歯茎と歯の間に、汚れや歯垢がたまりやすくなります。歯茎の間にブラッシングが行き届きにくくなるからです。そのため、その周囲が不衛生になって、炎症を起こし、腫れや膿を生じることもあります。歯肉炎を引き起こしている状態です。
生えかけの親知らずでは多かれ少なかれ、1章でご紹介したような症状が現れるものです。ただし、こうした症状が現れたからといって、早急に抜くべき判断材料とはいえません。抜かない方が良い親知らずもあるからです。一番虫歯になりやすいとされている第二臼歯(親知らずの手前に生えている歯)を将来失うことになっても、親知らずを移動させる治療法方があるのです。
・真っ直ぐ生える可能性のあるもの
親知らずが真っ直ぐ健全に生えるなら、乳歯が生え変わった永久歯28本に加えて、4本の親知らずが加わり、トータル32本の永久歯を得ることになります。真っ直ぐに生えており、将来的に悪さをしない可能性があるなら、早急に抜く必要はなく、経過観察をすべきです。
・歯が完全に露出する可能性が高いもの
欧米人と比較すると日本人は親知らずが正常に生えないケースが多いものです。それは、顎が小さく、歯の生えるスペースがもともと狭いからです。しかし、まっすぐ生えていて、そのまま成長すれば、親知らずが完全に歯茎から露出して、通常の健康歯のように生える可能性があるなら、やはり抜歯を急がず、経過観察をするのが賢明です。
・上下の親知らずがしっかり噛み合うもの
真っ直ぐに生えて、歯茎からしっかりと露出しできたなら、あとは、向かい合う親知らずとの噛合せが問題になります。上下の親知らずが、しっかりと噛み合うなら、まったく問題がなく、既存の奥歯と同様の機能を果たします。わざわざ抜く必要のない、残すべき親知らずといえます。
前述したように、健全に生えている親知らずは、抜くべきではありませんが、生え方や近接する歯の状態によっては、保存しておいた方が良いケースもあります。第二大臼歯(親知らずの手前に生えている歯)が重度の虫歯で抜髄をしており、その寿命が短いとわかっていた場合には、親知らずが新たな奥歯として機能できる可能性があるからです。また、親知らずが顎の骨の深くにとどまっていて、将来的に実害がないと見られる場合も、敢えて抜く必要がないものです。
抜くべき親知らずとは、すでに口内に悪い影響を及ぼしているもの、あるいは、将来確実に悪さをする可能性のある親知らずです。顎のスペースや、親知らずの生える方向などを踏まえ、歯科口腔外科で、総合的に判断する必要があります。
・斜めや真横に生えているもの
斜めや真横に生えている親知らずは、隣の歯(第ニ大臼歯)を圧迫したり、歯列を乱したりする可能性が高いものです。自然に真っ直ぐ成長するという可能性が低く、大きな実害を及ぼさないうちに、抜歯をするのが賢明です。
・一部しか露出できないもの
歯肉を突き破って、完全に露出できない親知らずも、抜く方が良いものとなります。歯冠が露出せず、部分的に歯肉が覆ってしまうと、その隙間の汚れや歯垢をセルフケアでは除去できず、細菌が増殖して、虫歯や歯周病になるリスクが高くなるからです。
・歯並びを乱すリスクがあるもの
すでに、親知らずが真横や斜めに成長して、第二大臼歯を圧迫しているケースでは、早急な抜歯を検討すべきです。歯列全体を乱して、歯並びや噛合せを狂わせる原因にもなりますし、圧迫された第二大臼歯が、歯根吸収(歯根が痩せること)を起こすリスクもあります。
親知らずにより、歯茎にすこしでも違和感を感じたら、それをきっかけになるべく早期に、歯医者さんで診てもらうのが懸命です。できれば、歯科口腔外科で的確な診断を受けることをおすすめします。
歯科口腔外科は、歯科と口腔外科を扱っている歯医者さんです。口腔外科とは、口内から口の周囲、顎、頬など、お口の周囲のさまざま疾患を幅広く手がけ、疾患によっては外科手術も扱える診療分野で、親知らずの難しい抜歯にも対応可能です。親知らずを抜くべきか、経過観察をすべきか、適切な判断ができる診療科目となります。
一般歯科でも親知らずの抜歯を行いますが、抜歯が難しいケースでは、口腔外科に委ねるケースもあります。口腔外科で扱う親知らずの抜歯は、主に抜歯が難しいケースですが、親知らずの抜歯全般は、最初から歯科口腔外科に任せると考えても良いでしょう。歯科口腔外科で扱うべき、主な難抜歯は下記の通りです。
・顎の神経に近い場合
下顎の親知らずは、顎の骨の神経の管に近接している可能性があり、歯科用CTなどで、神経組織の位置関係を把握した上で、神経を傷つけないように配慮した手術が必要となります。下顎の神経は知覚神経なので、万一傷つけた場合には、しびれや感覚の鈍化を引き起こすリスクがあるからです。大きく傷つけてしまった場合には、ずっとしびれが残るリスクもあるのです。
・顎の骨の深くにある場合
親知らずが顎の骨の深くに埋まっていて、摘出しにくいケースもあります。摘出するには、顎の骨を削るといった処置が必要があり、安全で確実な親知らずの摘出のためには、口腔外科の外科手術の技術が必要となります。
・手術に全身の管理が必要な場合
高血圧や糖尿病といった、全身の管理が必要な手術では、口腔外科の外科手術のノウハウが必要となります。必要に応じて、全身麻酔を施し、生体モニターで体の状態をチェックしながらの手術が求められます。
親知らずによる、歯茎の腫れや痛みが繰り返す前に、少しでも周囲の歯茎がムズムズするといった違和感を感じたなら、一度、歯科口腔外科で診察してもらうのが懸命です。親知らずの診察や、簡単な抜歯は一般歯科でも可能ですが、抜くべきか否かの的確で総合的な判断ができ、さらに難しい抜歯にも対応できるノウハウがあるからです。もし、かかりつけの歯医者さんが一般歯科であるなら、親知らずに関しては、改めて歯科口腔外科を探してみましょう。
出身校:大阪大学
血液型:O型
誕生日:1956/11/09
出身地:大阪府
趣味・特技:料理