事前に知っていれば納得して受けられる!親知らずの抜歯手術の流れや費用

事前に知っていれば納得して受けられる!親知らずの抜歯手術の流れや費用

親知らずがある方で痛みや腫れなどの症状がある場合はもちろん、今は自覚症状ない場合あっても、放置すると虫歯や歯周病、顎関節症などの原因となる可能性があります。そのため、状態によっては、歯医者さんから抜歯手術をすすめられることがあるでしょう。しかし、抜歯方法や手術費用などがわからない状態では、手術と聞くだけですこし身構えてしまうのではないでしょうか?今回は親知らずの抜歯手術流れや費用など、気になる点を紹介していきます。

 

この記事の目次

親知らずを抜歯するときの5つのステップ

1-1 事前の検査で親知らずの状態を把握して手術計画を立てる

親知らずの手術では、事前検査を行います。レントゲン撮影で、歯の生え方や向き、歯根の状態などの状態を正確に把握します。近年は登場した歯科用CTを使えば、細部まで立体的に撮影することが可能です。神経や血管の位置、あごの内部など骨の状態など、3D画像で正確に把握することができるようになりました。これにより、より精度が高い手術計画を立てることできます。なお、すべての歯医者さんで歯科用CTによる検査が受けられるわけではなく、難易度の高い症例では撮影料が保険内治療となる場合もあります。

 

1-2 麻酔をして、抜歯時の痛みを抑える

親知らずを抜く手術は、表面麻酔と局所麻酔という2種類の麻酔を行います。まず最初に、ジェル状の表面麻酔をガーゼなどで親知らず周辺の歯茎に塗り、注射時の痛みを和らげます。表面麻酔で感覚が鈍くなったら、親知らずが生えている箇所に局所麻酔を施します。近年の注射針は極細で、歯医者さんによっては電動式注射器を使ってゆっくりと定速で注入することもあるため、注射の痛みは少ないでしょう。

下顎の親知らずの周囲の骨は緻密で厚いため、親知らずの周囲の麻酔だけでは効果が不十分と思われる時には、頬の部分から針を刺して、神経の分岐している付け根の部分に注射して、より確実に麻酔効果を得る時もあり、これは伝達麻酔と呼ばれます。また、難易度の高い抜歯では全身麻酔が選択されるケースもあります。全身麻酔を使った手術では、多くの場合で入院が必要になります。

 

1-3 親知らずを抜く ~生え方により手術方法は異なる~

まっすぐに生えている親知らずは、ヘーベルという器具を使い手術を行います。歯と骨の間にヘーベルを差し込み、てこの原理を利用して歯茎から歯を引き離し、抜歯します。麻酔をしているので痛みをほとんど感じませんが、万が一痛みがある場合は麻酔の追加をお願いしましょう。
親知らずが斜めに生えていて一部が歯茎に埋まっている場合や、横向きに生えていて歯の一部が骨に入り込んでいる場合、親知らずが歯茎にすべて埋まっている場合は、難易度の高いケースが多いため「歯茎を切開する」「周囲の骨を削る」「歯を割って小さくしてから抜く」などの処置を施してから抜歯をすることがあります。

 

1-4 抜歯後の止血をして、血餅(けっぺい)ができるのを待つ

抜歯後は止血を行います。まずはじめに、親知らずの手術のあとに残る「歯茎に大きな穴」に、抗生剤と止血剤を配合したスポンジ状のコラーゲンを入れ、化膿を防止します。そのあとガーゼを30分~1時間ほど強く噛んで圧迫止血すると、しだいに歯茎の穴に血液がたまり、血餅(けっぺい)とよばれる血のかたまりができて止血の完了です。

生え方の状態によって歯茎を少し切開して抜歯したような時には、傷口を縫って少し小さくする時とあまりしっかり縫わずにおいておく2つの場合があります。前者は出血が少なく、傷が早くきれいに治る反面、少し術後が腫れやすくなります。後者は逆に少し止血が遅くなりますが腫れが多少は軽減されます。また、溶けない糸を使用した場合には、手術の約1週間後に抜糸します。

 

1-5 翌日も歯医者さんへ行き患部の消毒をして、処方されたお薬を服用する

親知らずの抜歯手術をした翌日も歯医者さんへ行き、止血できているかどうか、感染していないかどうかを確認し、患部の消毒をします。
なお、手術当日に痛み止めの薬や抗生剤が処方されます。痛み止めの薬は、痛みがなければ飲まなくて問題ありません。抗生剤は、感染症を防ぐための大切なお薬です。口内は目に見えない細菌が繁殖しやすい環境にあるため、痛みや腫れなどの症状がなくても自己判断で中断しないようにし、処方された分は最後まで飲み切りましょう。

 

生え方によって異なる抜歯手術の費用について知りたい

2-1 まっすぐに生えている親知らずの抜歯費用や難易度

親知らずがまっすぐに生えている場合の手術は、保険適用で2,000円程度です。親知らず以外の奥歯を抜歯するときとほぼ同額であり、 かかる時間は通常は他の奥歯と同様10分程度ですが、時として親知らずの場合は、幾度か炎症を起こしていたりすると、歯根が顎の骨と強固に癒着していたり、歯根の先の部分が弯曲して骨に引っかかっていたり、また虫歯になっていることが多いせいで、抜歯の器具を当てる部分が崩壊していて、加えて一番奥に生えているために操作が困難な時もよくあります。そのような場合は抜歯時間も30分〜1時間くらい要する時もあります。また、通院は3回程度になる場合が多いです。

 

2-2 横向きに生えている親知らずの抜歯は、手術費用と難易度がやや高くなる

親知らずが横向きに生えており、頭の部分が出てしまっているケースの手術費用は、保険適用で3,000円程度になります。歯茎をの切開後に、歯を分割してから抜歯する必要があるため、難易度はやや高くなります。手術にかかる時間は20分程度とされ、手術後の状態にもよりますが、通院の目安は3~4回程度です。

 

2-3 歯茎の中に埋まっている親知らずの抜歯は難易度が高く、手術費用の負担もあがる

歯茎の中に埋まっている親知らずの手術場合、時間や費用の負担が大きくなります。親知らずに覆いかぶさっている歯茎や骨などを除去し、歯をいくつかに砕いてから抜歯をする必要があるためです。費用は保険適用で4,000円程度、手術時間は30分〜1時間くらいになります。歯茎を切開したり、骨を少し削ったりと親知らずの周囲の組織への侵襲が大きいために、手術後は頬が腫れたり、口が開けにくくなったり、唾を飲み込む時に喉の奥が痛かったりすることもありますが、通常であれば1〜2週間で順調に回復していきます。

 

抜歯手術費用のほかにかかる費用があることを知っておこう

3-1 歯石や歯垢をとって口内をきれいにする歯のクリーニング費用

親知らずの手術をすると歯茎に大きな穴が開いてしまうため、そこから細菌に感染して腫れや痛みを生じる恐れがあります。細菌感染を防ぐために、親知らずの抜歯前に歯石や歯垢などを取り除くクリーニングを行い、口内環境を清潔にします。料金は保険適用で1回につき3,000円前後ですが、歯石が多い場合は何回かにわけて通院しなくてはいけない場合もあります。また、より精度の高い自費によるクリーニングの場合は、5,000円〜20,000円程度かかります。

 

3-2 レントゲンまたは歯科用CTの撮影費用

親知らずの状態を把握するため、手術前にはレントゲン撮影を行います。枚数によって費用は異なりますが、保険適用で1,000~2,000円程度が目安です。ただし、親知らずが歯茎の中に埋まっていたり、大きな神経の近くにある場合には詳細に調べる必要があるため、歯科用CTを使った撮影を行うことがあります。歯科用CTの費用は保険適用で3,000円程度と、レントゲン撮影よりは少し高価になります。通常、難易度の高い症例の場合は保険が適用されますが、場合によっては自費診療となることがあるので、事前に確認をしましょう。

 いかがでしたか?親知らずの抜歯をすすめられたとしても、ここで紹介した手術内容の詳細や費用の目安を把握していれば、抜歯手術への不安が少なくなるのではないでしょうか?ただし、親知らずは一人ひとり状態が違ってくるため、ここで紹介した方法以外の手術が選択される場合もあります。親知らずが原因の腫れや痛みが気になる方は、なるべく早く歯医者さんを受診し、不安なことやわからないことなど逐一相談して、不安を解消するようにしましょう。

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監修日:2017年05月22日
遠藤三樹夫 先生監修
経歴・プロフィール

出身校:大阪大学
血液型:O型
誕生日:1956/11/09
出身地:大阪府
趣味・特技:料理