親知らずを切開して抜歯した場合の、痛みや腫れ、注意点とは?

親知らずの抜歯は、普段歯医者さんに行くことに抵抗のない方であっても、気が進むものではありません。できれば後回しにしたい、あわよくば抜かずにそのままで過ごしたいと思う方も多いのではないでしょうか。
それはなぜかというと、親知らずはその生える位置から、まっすぐに生えることは少なく、横向きに生えたり、そのほとんどが歯茎の中に埋没していたりして、抜歯するためには歯肉を切開し抜かなければならないことが多く、そのため通常の抜歯よりも、痛みを伴ったり顔が腫れるといったことが起こりやすいからです。
そこで今回は、親知らずを切開して抜歯する際の治療の流れをお伝えするとともに、痛みや腫れ、かかる費用や注意点などをまとめました。

 

親知らずを切開して抜歯した場合の、痛みや腫れ、注意点とは?


この記事の目次

1.親知らずを切開して抜歯するケースとは

親知らずの抜歯の際に切開するかどうかは、親知らずの生え方にもよっても変わりますが、どのような生え方をしていても、ほとんどのケースで大なり小なり切開することが多いといえます。
親知らずの生え方について詳しく知りたいかたはこちらを参照して下さい。

親知らずの生える年齢は?生え方で見る!抜くか抜かないべきかの基準も

 

1-1 切開時の痛みは?

歯肉をメスで切る切開には、怖いイメージを持つ方も少なくないかもしれません。もちろん抜歯の前には、しっかり麻酔を行いますが、切開の痛みは実はほとんどありません。
むしろ切開をしないことにこだわり、無理に抜歯を行い、却って歯肉が裂けてしまう方がその後の経過に関わってしまうため、医師の判断に従った方が良いでしょう。

 

1-2 切開後の痛みは?

唾液にはリゾチームという抗菌作用のある成分が含まれています。また、お肌のターンオーバー(再生サイクル)は約28日と言われていますが、歯肉はそれよりも短い二週間程度で生まれ変わると言われています。
ですから、口の中の粘膜である歯肉を切開しても、一時的に出血することはあれ、肌よりも回復は早いといえるのです。また、切開後一週間ほど立つと、縫合した糸の抜歯を行いますが、その際も麻酔は行わずに進めます。
ただ、当然のことながら、切開する範囲が広ければ広いほど、痛みや腫れが伴います。
切開するにしてもごくわずかな場合は、抜歯の翌日でもそれほど痛みや腫れを感じないこともありますが、埋没歯など歯肉が歯の全体に覆い被さっているようなケースだと、大きく切開をして取り出す必要があるため、2.3日口が開きにくくなる人もいます。
人によっては骨を削る必要もありますが、骨を削ると顔が大きく腫れやすいため、顔が膨れあがってマスクを手放せない、仕事を休まざるを得ない方もいます。しかし、大抵は抜歯後一週間もすると痛みや腫れは次第に落ち着いてきます。

 

1-3 歯科治療に使用するメスの種類

歯肉の切開は歯科治療において珍しくなく、よく行われている治療といえますが、医療の進歩に伴いさまざまなメスが使われるようになりました。ほとんどの医院で使われている金属メスの他にも、電気メスや、レーザーメスがあり、それぞれ効果や注意点が異なります。

 

金属メス
現在ほとんどの医院で歯肉の切開時に使われているものがこちらのメスです。

 

◆電気メス
電気メスには刃物がありません。先端には細い針金があり、電気を放電することにより、歯肉を瞬時に焼いていきます。医師の治療技術を必要とし、ペースメーカーを使用されている方には使うことができません。

 

レーザーメス
さまざまな種類のレーザーがありますが、一番多く出回っているレーザーに炭酸ガスレーザーがあります。金属メスや電気メスと比べて、レーザーメスを使用した場合、出血は少なくなるため、術後の回復は早まります。

 

また殺菌や消毒、腫れを抑える効果も期待できます。しかしレーザー治療が保険適用されるかは症例によって異なり、自由診療となることがあります。

 

2.親知らず抜歯の流れ

2-1 抜歯をする前

親知らずは、その生え方で抜歯の難易度が変わることや、神経の近くにあることから、歯医者さんに行った当日に抜くことはほとんどありません。
抜歯前の準備としては、以下のようなものがあります。

 

①レントゲンやCTなどで親知らずの生え方を確認する

 

通常はレントゲンで、親知らずの生え方や、埋没している場合は深さがどの程度あるか、親知らずの根が神経に近いかどうかなどを見ていきます。レントゲンで神経に近いと判断された場合は、歯や骨を三次元の画像で見ることのできる歯科用CTを撮影して詳細に見る場合が多いですが、歯科用CTの設備がない、あるいは難易度の高い親知らずの抜歯に対応している大学病院などを紹介してもらうことになります。

 

②歯肉の状態を調える

 

親知らずの抜歯は、歯肉炎になっていたり、歯周病になっていたりすると細菌感染を引き起こしてしまいます。ですから抜歯の前に、歯肉炎や歯周病の治療を行うことで、歯肉の状態を落ち着かせてから行います。

 

③予約

 

上顎は重要な血管が多いため、傷口が血液に守られることで治癒も早いといえます。一方、上の親知らずよりも下の親知らずの方が大きく切開することが多く、縫合を伴うため、痛みや腫れは長引きやすいといえます。ですから手術日を決めるにあたっては、もし痛みや腫れがしばらく引かなくても、問題のないよう、日程に余裕をもたせることが大切です。

 

2-2 抜歯当日

①麻酔

 

医院によっても異なりますが、無痛治療を標榜している医院などはまず麻酔の前に表面麻酔といって歯肉の痛みを緩和させる薬を使います。その後、局所麻酔を行い、歯の内側一カ所と外側一カ所に麻酔を刺す浸透麻酔か、あるいは歯の大元の神経に作用させて歯全体に麻酔を行き渡らせる伝達麻酔を行います。
下顎の親知らずは浸透麻酔が効かない場合もあるため、その場合は伝達麻酔を追加することで麻酔を確実に効かせてから手術を行います。

 

②歯茎の切開

 

完全に埋没している、あるいは一部が表出している親知らずは、メスで歯肉を切開し、歯を露出させる。

 

③歯の分割

 

横に生えていたり、斜めに生えていたり、根の形が複雑だったり、一度でつまめない場合は、歯を2分割、3分割することで歯を分割する。

 

抜歯

 

分割を終えると、鉗子(かんし)で親知らずを抜いていく。
※鉗子とは、物をつかんだりするための手術器具

 

⑤消毒

 

親知らずを抜歯すると、大きく空いた穴にも食べものがつまりやすいため、精製水で傷口をよく洗い、汚れやゴミが入らないようにする。

 

⑥レントゲン

 

消毒を終えたら、レントゲンを撮り、折れやすい歯の根や破片などが残っていないか調べる。

 

⑦縫合

 

レントゲン確認後、問題がなければ傷口を縫合する。縫合糸には大きく分けて2種類、抜歯の必要がある糸と、抜歯の必要がない糸(溶ける糸)がある。抜歯の必要のある糸の方が強度は強い。また、抜歯の必要のある糸の中でも、シルクなどの天然素材と、ナイロンなどの合成素材がある。

 

⑧抜糸

 

手術から1週間から10日後、傷口の状態を見て問題がないようなら抜糸をする。

 

 

3.親知らずの生え方別・抜歯費用

3-1 まっすぐに生えている

費用は3割負担で2000円程度です。上顎の親知らずはほぼこのタイプといえます。麻酔から縫合までで、10分程度で終了します。

 

3-2 斜めに生えている

費用は3割負担で3000円程度です。歯茎の切開と歯の分割、歯と根の部分それぞれに対する抜歯を行います。時間にして20分程度で終了します。

 

3-3 歯肉の中に完全に埋まっている

費用は3割負担で3000円から4000円程度です。時間は30分程度で終了することが多いです。
ただ完全に埋まっている場合、レントゲンや場合によっては歯科用CTで撮影し、抜歯をして空いた部分から細菌が入らないように、事前に歯石取りなども行う必要があります。
歯科用CTが3000円ほど、歯石取りが1000程度別途かかる場合があります。

 

3-4 医療保険は適用される?

歯の治療は基本的には医療保険の対象にはなりません。
医療保険は通常、入院・手術のための保険となります。ですから、親知らずの抜歯においても、入院を必要とする手術であったり、日帰りであっても全身麻酔を行ったりするような大がかりな手術になるのであれば保険が適応されることになります。そうでない場合は支払い対象とならないことがほとんどです。
難しいケースの親知らずで、大学病院などで抜歯した場合は、一応その旨を保険会社に問い合わせてみたら良いでしょう。
最近では、医療保険ではカバーされることがほとんどない歯の治療費をカバーする専用の保険も出ているので、頻繁に歯科治療に行かれる方は検討してみても良いかもしれません。

 

4.抜歯後の注意点

4-1 生活面

口をゆすいだりうがいをしたりしない

口をゆすいだり、うがいをしたり、つばを飲み込んだりすることで、抜歯後の穴にたまった血液を洗い流してしまうことがあります。そうすると治りが悪くなってしまい、傷口が塞がらず歯槽骨が剥き出しになる「ドライソケット」になる場合があります。

 

舌先や指、歯ブラシなどで抜歯をした部分に触れない

触れることで、出血をしたり糸が外れたりしやすくなります。

 

お風呂や運動など血の巡りが良くなることは避ける

親知らずを抜いて腫れているところに、お風呂や運動など血の巡りが活発になるようなことをすると、さらに腫れは強く出てしまいます。

 

タバコを吸わない

抜歯後の喫煙は血の巡りを悪くします。できるだけ抜歯当日は避けましょう。

 

処方された抗生剤はすべて飲みきる

抗生物質は、たとえ症状がなくなったとしても処方された分はすべて飲みきるようにしましょう。症状がなくなったからといって体の中からその症状が消えたわけではなく、またいつ増殖するかわからないためです。しっかり最後まで飲むことで、ばい菌を少なくすることができます。

 

患部を冷やしすぎない

親知らずの腫れは、抜歯後2~3日、およそ48時間がピークだといわれています。腫れたら冷やすと考えている人も少なくありませんが、氷やアイスノンなどを患部に直接あて、感覚がなくなるほど冷やすのはおすすめできません。

それは逆に患部の血流を悪くし、回復を遅らせてしまいます。でも痛みがありどうしても冷やしたい場合は、水に濡らしたタオルや、保冷剤にタオルを巻くなど、冷やしすぎには工夫をしてみてください。

 

4-2 食事面

麻酔が切れてから食事をする

1~3時間程度で麻酔は切れるため、その間に痛み止めを飲むようにします。

 

飲酒は控える

お酒は、体の血流を活発にしてしまいます。抜歯当日は控えるようにしましょう。

刺激物は食べない

抜歯後は腫れて痛みもあるため、なるべくスパイスや香辛料などの刺激が少なく、柔らかく食べやすいものを摂るようにしましょう。

 

吸い込むものは避ける

吸い込むという口の動きが、抜歯後の穴にできる血餅を押し流してしまうことがあるため、すすって食べる麺類、吸ってのみこむゼリー飲料などは控えましょう。

 

5.抜歯後に起こりやすいトラブル

5-1 食べものが詰まった

親知らずを抜いたばかりの穴はとても大きく、しばらくは食べものが挟まりやすくなっています。食べものが挟まると気になってしまいますが、口を揺るいだり指でつついたりなど、無理に取ろうとしてはいけません。
無理にとって傷口を塞いでいた血餅が取れてしまえば、ドライソケットになるリスクが高まります。気になるかもしれませんが自然に外れる時を待ちましょう

 

5-2 出血した

食事中などに再出血した場合、清潔なガーゼやティッシュを細かくし、患部に押し当てて噛むことで圧迫止血を行います。口の中が気持ち悪いからといって口をゆすがないように気をつけましょう。

 

5-3 縫合糸がとれた

縫合した糸が取れてしまうことがあります。傷口が塞がりきらないうちに糸が取れてしまうと、傷口が開いてしまうことがありますので、できるだけ早く歯医者さんを受診するようにします。

 

5-4 3日過ぎても痛みがますますひどくなる

通常、親知らず抜歯後の痛みは48時間がピークといわれ、3日くらいで落ち着く人が多く、1週間以上痛みが続くことは稀です。
しかし、3日過ぎても痛みが収まるどころか、ますます痛みが増してくる場合、何らかの原因で抜歯した穴を塞いでいた血餅が剥がれ落ち、歯槽骨が剥き出しになるドライソケットになっている可能性があります。まず痛み止めを飲んで痛みを和らげ、なるべく早く歯医者さんを受診しましょう。

 

 

まとめ

親知らずを抜歯するのは勇気がいることですが、虫歯や歯周病になったり、生え方が悪かったりする親知らずをそのままにしていても良いことはありません。
そうしたトラブルを抱えている親知らずを早めに抜くことは、ひいては全体の歯の健康にも影響してしまいます。まずは、信頼できる歯医者さんを見つけることから始めてください。

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