インプラントが割れたのは施術ミス? それとも寿命?その原因とは

インプラントは割れないものと思っていませんか? 人工歯根であるインプラントの本体部分が割れることはめったにありませんが、上部構造は使っているうちに割れたりずれたりする可能性があります。
インプラントは高額なこともあり、治療を一度受ければ永久に使い続けられると思いがちですが、医療器具には寿命があることを理解しておきましょう。ここでは、インプラントが破損する原因や再手術が必要となるケースなどをご紹介します。

 

この記事の目次

インプラントが割れたら再手術は必要か?

1-1 インプラントの構造

まずインプラントの構造がどうなっているのかを理解しておきましょう。インプラントは人工の歯の根として骨に埋め込む「インプラント体」と埋め込まれたインプラントの上に被せて実際の差し歯のように機能する「上部構造」、それからインプラント体と上部構造をつないでいる「アパットメント」で成り立っています。

 

1-2 再手術が必要になるライン

インプラント体は歯の根としての役割があり、顎の骨に埋められます。そのインプラント体が破損してしまうとインプラントそのものが使い物にならなくなってしまうので、再びインプラントの手術を受けなければならないでしょう。
しかし、上部構造が破損した場合には基本的にその部分を作り直すだけで対処できるので、手術をする必要はありません。
インプラントの上部構造は、インプラント体を守る役目も兼ね備えています。ですから、インプラントになにかしら大きな力がかかったときには上部構造が割れてしまうことはよくあります。
インプラント体や顎の骨へかかるはずの衝撃をやわらげるために、上部構造が大きな力を吸収して破損するのです。

 

1-3 割れやすい上部構造、割れにくい上部構造

インプラントの上部構造に用いられる素材は何種類かありますが、特にセラミック素材のものは破損しやすいと覚えておくといいでしょう。金属はセラミックよりも硬く、割れたり破損したりする心配はほとんどありません。
しかし、金属は見栄えが悪いのが欠点です。また、大きな力がかかったときにセラミックであれば衝撃を受けとめて割れることができますが、金属の場合には衝撃をそのままインプラント体や顎の骨に伝えてしまうおそれがあります。
丈夫さと見栄えの両方を兼ね備えているのがジルコニアという素材です。ただし、絶対に破損しないわけではないので過信は禁物です。
素材にこだわらなくても、インプラントが割れる仕組みを理解しておけば破損を未然に防ぐ対策をとることもできます。さらに、実際にインプラントが割れたときの対応の仕方を知っておく必要もあります。次の章では、インプラント破損の原因をみていきましょう。

 

インプラント破損したときに考えられる原因

2-1 かみ合わせのバランスが悪かった

かみ合わせが悪い状態では、インプラントの上部構造に余計な負担がかかり続けてしまいます。インプラントは顎の骨に固定されているので移動しませんが、天然の歯は数十ミクロンという非常にわずかな単位ではありますが動いていくものです。
ですから、力を込めてかんだときにインプラントと天然の歯がしっかりとかみ合うように調整しなくてはいけません。軽くかんだ状態に合わせて調整していたのでは、グッとかみ込んだときにインプラントと正常にかみ合う歯がなくなってしまうのでインプラントに過度な負担がかかります。
また、虫歯や歯周病はかみ合わせの悪さを引き起こすので注意してください。インプラントの知識が薄い歯医者さんが虫歯や歯周病の治療を行うと、こうしたインプラントと天然の歯のかみ合わせを考慮しない可能性が高いでしょう。
そのため、虫歯や歯周病の治療後にインプラントに大きな力がかかる状態になってしまったケースもあるのです。

 

2-2 メンテナンスを怠っていた

インプラントは手術が完了したら終わりというわけではありません。インプラント手術を受けたら、定期的な検診とメンテナンスを継続していきましょう。
検診を定期的に受けていれば、かみ合わせがずれてきてもすぐに調整できます。さきほどお伝えしたようにかみ合わせの悪さはインプラントの上部構造に大きなダメージを与えるので、歯医者さんでこまめにチェックしてください。
自宅で行っているブラッシングだけでは除去しきれませんから、歯医者さんでクリーニングしてもらわなければなりません。特に歯周病はインプラント体を支える周囲の骨にダメージを与えるので、しっかりとケアをしていきましょう。

 

インプラントには寿命があることを忘れずに

3-1 インプラントは永久に使えるとは限らない

九州インプラント研究会が行った調査では、治療から10年後にインプラント体が存在している割合である「10年累積生存率」は約93%でした。つまり、7%ほどのインプラントは10年もたないということになります。
ただし、ブリッジの10年累積生存率は約90%、義歯にいたっては約50%という報告と比べると、インプラントは長持ちしやすい医療器具であるといえるでしょう。
一度入れたインプラントを一生使い続けている人も少なくありませんが、全員がそうであるとは限らないのです。

 

3-2 インプラントはメンテナンスが重要

インプラント治療では、チタンなど、ある種の物質の体の組織に調和して結合する性質やまた拒否反応を起こしにくい傾向である「生体親和性」という特徴を利用しています。インプラントは体にとって本来は異物ですが、排除すべき物質ではないと体の組織を騙し続けなければならないというわけです。
しかし、メンテナンスを怠ると炎症や過度な負荷によって細胞に情報を伝える役目のあるサイトカインが大量に分泌されてしまうので、インプラント体が実は異物であると認識されてしまいやすいのです。そうして、異物を排除しようと働き、抜け落ちてしまうことがあります。
インプラント体も上部構造も良好な状態を維持するためには、歯医者さんでメンテナンスを受けるのは必須です。

 

保証制度の有無を確認しておく

4-1壊れてしまったらインプラント保証を利用する

インプラント治療を受けた歯を再治療する際に無料となる「インプラント保証」というのがあります。保証内容や保証期間などは歯医者さんによってまちまちで、たとえば保証期間が5年や10年のところもあれば保証期間の設定がないところもあるほどです。
上部構造が割れた場合には、治療を受ける前に具体的な保証内容を確認しておくといいでしょう。

 

4-2 インプラント体と上部構造の保証をチェック

インプラントとひとくちにいっても大まかにインプラント体と上部構造とに分けられるので、保証内容を確認するときにはどちらが対象となっているのか注意が必要です。インプラントというと「インプラント体」を指しているところが多いでしょう。保証内容をチェックする際には、インプラント体と上部構造の内容をそれぞれ確認してください。

 

4-3 まずは治療を受けた歯医者さんへ相談を

インプラント治療を受けた際に保証の話をされた記憶がないという人もいるでしょう。そういった場合でも、保証がないとは限りません。実は利用できる保証がある可能性も高いので、インプラントにトラブルがあった場合には治療を受けた歯医者さんに最初に相談してみましょう。インプラントの上部構造が割れることは、決してあり得ないことではありません。かみ合わせの悪さによって知らないうちにインプラントに負荷をかけている可能性は十分にあります。かみ合わせを正常に維持するためにも、左右の歯をバランスよく使ってかむようにしましょう。
素材の性質によって破損のしやすさに違いがあることも知っておいてください。インプラントは一度入れたらなにもせずに永久に使い続けられるわけではありません。破損を防いで寿命をできるだけ延ばすためには、定期的なメンテナンスを受けることがもっとも大切です。

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監修日:2017年12月12日
遠藤三樹夫 先生監修
経歴・プロフィール

出身校:大阪大学
血液型:O型
誕生日:1956/11/09
出身地:大阪府
趣味・特技:料理