耳の下が痛いのは顎関節症が原因?簡単なチェック法と対処法

顎関節症の代表的な症状は顎の関節の痛みです。しかし、人によっては耳の下が痛いと感じる場合もあり、顎関節症以外にも耳の下が痛くなる疾患があるため注意が必要です。この記事では、耳の下の痛みが顎関節症によるものかを簡単にチェックする方法と、顎関節症の可能性があるとわかったときにできる対処法をあわせてご紹介します。まずは、顎関節症で耳の下が痛いと感じるメカニズムについて理解しておきましょう。

 

 

この記事の目次

顎関節症で耳の下が痛くなる理由

1-1 顎関節症で起こる主な症状

顎関節症では、主に次のような症状があらわれることが特徴です。

●口を開けにくくなる
人差し指、中指、薬指の3本をそろえた状態で縦に口の中に入れられる状態が正常です。ところが、顎関節症になると口を縦に開けても指3本入れられなくなります。徐々に口を開けにくくなる人もいれば、急に口が開かなくなる人もいます。

●口を開くときに顎や耳の下が痛い
食事をするときやあくびをするときなど口を大きく開けようとすると、顎や耳の下あたりに痛みを感じます。

●顎の関節から音がする
口を動かすときに顎の関節がカクカク、あるいはジャリジャリといった音がなります。

 

1-2 顎関節症で生じる痛みの種類

顎関節症による痛みは、顎を動かさないときには感じず、口を大きく開けたときや食事のとき、顎を触ったときなどに痛みを感じることが多いです。顎を動かしたときに痛みを感じるのは「運動痛」といわれるタイプの症状です。
いっぽう、耳の下あたりに痛みを感じるのは、顎関節でクッションのような役割をしている軟骨「関節円板」からくる痛みの可能性があります。耳の下あたりを触ったり抑えたりすると痛むのは「圧痛」と呼ばれるタイプの痛みであり、下顎にある靭帯が損傷して、耳の下が痛んでいる可能性もあります。

 

1-3 顎関節の仕組みを理解しておこう

顎関節は、へこんだ形状の「関節窩」と突き出した形をしている「関節頭」が噛み合った構造になっています。顎関節の場合には、それぞれ「下顎窩」「下顎頭」と呼び、この部分はちょうど耳の穴の横(頬側)あたりにあります。そこを指で軽く触れながら口を開け閉めしてください。下顎頭が動くのを感じられるでしょう。
下顎窩と下顎頭の間には、関節円板という組織があります。衝撃を吸収するクッションのような役割を果たしている関節円板は、顎関節がスムーズに動くためにも必要な組織です。

 

顎関節症かどうかを簡単にチェックする方法

2-1 耳の下の痛みが顎関節症の症状かチェック

耳の下の痛みのほかに下記ような症状がいくつか当てはまれば、顎関節症の可能性が高いでしょう。人によって症状のあらわれ方は異なるので、すべてに該当しなくても顎関節症の可能性があります。

・耳の下、こめかみ、頬のあたりに痛みがある
・顎を動かすと痛みを感じる
・口を開閉する際に耳のあたりで「カクン」「ポキ」「ジャリジャリ」といった音がする
・あくびなどで口を大きく開けることができない
・人差し指、中指、薬指の3本をそろえて縦に口に入れられない
・あごがひっかかったような感じになって動かせなくなることがある
・食事や長時間話したときにあごが疲れやすい
・かみ合わせが悪くなった
・頭痛や肩こりがある

 

2-2 顎関節症になりやすい生活習慣チェック

顎関節症の発症には生活習慣やクセが深く関係していると考えられています。下記の項目に心あたりのある人ほど顎関節症になりやすいとされるので、このような習慣がある人は顎関節症を予防するためにも改善するように心がけましょう。

・寝ているときに歯ぎしりをしている
・うつ伏せで寝ている
・熟睡できないことが多い、眠りが浅い
・朝起きたときにだるく、疲れが残っている
・無意識に歯を食いしばっているときがある
・食事の際に片側だけで噛むクセがある
・頬杖をする
・ストレスがたまっている
・神経質な性格をしている

 

顎関節症の可能性があるときの対処法

3-1 顎関節症の可能性があるときの対処法

顎関節症の可能性がある場合でも、症状が軽度で発症してから間もない場合は、1週間ほど様子をみてもいいでしょう。ただし、顎に負担をかけないように注意しながら過ごしてください。1週間たっても症状が改善されないようであれば、歯医者さんで診断を受けましょう。
顎関節症はごく軽症であれば、症状が自然にやわらぐことも多いです。しかし、痛みが消え去ってそのまま治ったように感じたとしても、顎関節症が完全に治っていないことがほとんどです。放置しておくと慢性的な顎関節症に移行するおそれもあるため、一度は歯医者さんで診てもらうようにしましょう。

 

3-2 歯医者さんで治療を受ける

すべての歯医者さんが顎関節症の治療を取り扱っているとは限りませんので、顎関節症の治療をしているかを事前に確認してから受診するようにしましょう。歯医者さんで行う顎関節症の治療では、飲み薬や注射、超音波治療、低周波治療、矯正治療などを症状によって使い分けます。治療の効果が得られない場合に外科手術をすることもありますが、手術となるのは顎関節症患者の1%ほどであり、非常にまれです。
顎関節症は放っておくと顎だけでなく全身や精神にまで悪影響を及ぼすので、早めに治療を受けることをおすすめします。

 

3-3 ほかの病気の可能性もあるので注意

耳の下が痛くなるのは顎関節症だけではないので、自己判断に頼るのは危険です。耳の下あたりが痛む病気として、中耳炎や内耳炎、シェーグレン症候群などがあげられます。痛みだけでなく、耳の後ろにしこりや腫れがないかなど、ほかの症状も確認してください。
熱や倦怠感をともなう場合には内科や耳鼻科、皮膚が赤い、腫れているときには皮膚科医など症状によって治療できる診療科が変わってきますが、まずは受診することが大切です。

 顎関節症の症状のひとつとして、耳の下が痛いと感じるときがあります。顎関節症には特徴的な症状があるので、こちらでご紹介した項目をチェックし、ご自分の生活習慣やクセなどに顎関節症になりやすいか要因があるかを把握しておくことが大切です。少しでも顎関節症の疑いがある場合は、早めに歯医者さんを受診してください。ただし、内科的な病気によって耳の下に痛みが生じている可能性も考えられます。耳の下の痛み以外の症状もしっかりと確認しましょう。

今日、求めていた歯医者さんが見つかる

監修日:2017年07月17日
飯田尚良 先生監修
経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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