1章 あなたの口臭はどんな臭い?
口臭は誰しも気になることがあるものですが、どのような対策を取っているでしょうか?慢性的に悩んでいる方は、爽快感のある洗口液やミント系のタブレットなどで、ごまかしている方もいるでしょう。
しかし、一時的に解消されても、いつも口臭の悩みがつきまとうものですし、口臭には、口内環境の悪化をはじめさまざまな疾患が潜んでいるものです。ここでは、さまざまな口臭のタイプと、考えられる原因ついて、詳しくご紹介しましょう。
硫黄のような臭い
口臭には、温泉のような硫黄の臭いすることがあります。口内に住み着く細菌の中には、ガス性の硫化物を発生する種類があるからです。
その成分には、硫化水素やメチルメルカプタン、ジメチルサルファイドといったものがあります。3つのガスはどれも悪臭のある物質で、下水や排水口から漂ってくるような臭いといえば、想像がつくでしょう。
細菌の温床となる歯垢や歯石などから発生し、虫歯や歯周病ではこうした臭いを伴うものです。また、舌苔(舌に付着する汚れ)からも発生します。
歯周病ではメチルメルカプタン、ジメチルサファイドの臭いが増し、腐った玉ねぎやキャベツのような臭いがします。
・虫歯
・歯周病
・舌苔
膿のような臭い
歯周病菌が増殖すると、傷口が膿んだ時のような臭いがします。これは、血液のリンパ球や白血球が歯周病菌と戦った際の残骸が、膿となって歯肉の周辺にたまるからです。
膿栓も膿のような臭いがります。膿栓とは、喉にたまり、時折ポロッと口内に出てくる、臭くて白い塊です。これも、免疫細胞と細菌が戦った残骸で、喉の奥の扁桃腺にたまるものです。
・歯周病
・膿栓
血生臭さ
歯周病では、血生臭い臭いを感じることもあります。歯周病菌と戦うために、歯茎に血が集まり、時折出血するからです。歯周病は、細菌自体が放つガスと出血の血生臭さ、そして、細菌と戦った残骸となる膿の、3つの臭いが出てくるものです。
・歯周病
・歯肉炎
口内が原因でない場合
臭いを放つ原因が口内ではない場合もあります。蓄膿症では、副鼻腔(鼻とつながる空間)が炎症を起こして、膿がたまるもので、膿の臭いがします。
また、消化器系が弱くなり、食べたものが正常に消化されない場合、それが発酵して硫化水素を発生させます。
ただし、ゲップをしない限り、通常は内蔵から発生する臭いが、口から絶えず出ることは少ないので、口臭の原因は、主に口内環境の悪化にあるといえます。
2章 口臭のさまざまな治療法
1章でご紹介した通り、口臭にはさまざまなタイプがあり、口臭を改善するためには、その根本的な原因を突き止めて、治療する必要があります。
口臭は何らかの疾患のサインであり、口臭を消す洗口剤などは、一時しのぎに過ぎないことを自覚しておきましょう。歯科口腔外科では、口臭症という分野も扱っており、口臭に潜んでいる根本的な原因を突き止めてくれるものです。
歯周病や虫歯の根本治療
口内環境が原因となって引き起こされる口臭は、口内の細菌が出すガスによるものです。特に、空気を嫌う細菌は、細菌群が形成する歯垢や歯石に好んで潜み、口臭だけでなく、虫歯や歯周病を招くものとなります。
こうした口臭を改善するためには、当然、虫歯や歯周病の根本的な治療が必要です。まずは、歯医者さんで歯垢や歯石を取り除くことが、虫歯や歯周病、さらには口臭の改善策となります。
舌苔の除去
口臭のおよそ6割の原因は、舌の汚れにあると言われています。舌をセルフケアできる手前の部分は、自分でも落とせるものですが、舌の奥にも舌苔はあるものです。さらに、舌用のブラシなどでこすり落としただけでは、またすぐに戻ってしまうものです。
根本的な原因は、口内の歯周病などを引き起こす悪玉菌にあるので、こうした細菌を減らす必要があるのです。
唾液の分泌を促す治療
口臭は、特に起床の食後や、空腹時などに強まるものです。これは、唾液の分泌が減少することで、口内の悪玉菌が活発になるからです。唾液には抗菌作用があり、口内を清潔に保つために重要で、唾液の分泌を促すことが、口内環境を改善するのに欠かせない手段となります。
しっかり噛むことはもちろん、マッサージなどで唾液腺を刺激することも大切です。
抗菌剤や抗生物質による除菌
歯周病の治療では、歯垢や歯石を取り除くと行った物理的な治療法が基本となりますが、それ以外に、抗菌剤や抗生物質を口内に塗布したり、服用したりといった方法もあります。
3章 セルフケアで口臭を徹底改善
歯垢の除去
歯周病菌は、口内にへばりつく性質があり、歯垢となって、歯間や歯と歯茎の境目、補綴物(詰め物やブリッジなど人工的な治療素材)と歯の境目などに、たまりやすいものです。日々のセルフケアでは、できるだけ磨き残しのないように努め、歯垢をためないことが肝心です。
また、歯垢にミネラル分が交わると、固まって歯に固着するものになります。これが、いわゆる歯石です。歯石はセルフケアでは落とせないものなので、こうなる前に、セルフケアをきちんと行い、歯垢の除去を徹底する必要があります。
唾液の分泌を促す
唾液には、口内を洗い流す作用と、抗菌作用があります。従って、唾液の分泌が少ないと、虫歯や歯周病の原因菌を増やすことにもなります。近年増えているドライマウスも、唾液の分泌が少ないことが原因で、口内の乾燥は口内環境を急激に悪化させるリスクがあります。
よく噛んで食べることや、顎関節周辺のマッサージなどで唾液腺を刺激して、唾液の分泌を促すことも、口臭予防にはとても大切です。
舌磨き
口臭の原因の多くは歯周病ですが、臭いを放つ悪玉菌が舌に繁殖すると、口臭をさらに強めます。セルフケアの舌磨きによって、舌から発生する臭いを取り除くことができます。
しかし、口内に歯周病菌など口臭の原因菌があれば、すぐに臭いが再発するので、歯周病になっていないかをチェックし、そうであれば、歯周病の根本治療が必要です。
サプリメント
マウスウォッシュやうがい薬などで、悪玉菌を殺菌するという方法もありますが、一時的に減少しても、またすぐに増えてしまうものです。菌のバランスが悪く、善玉菌よりも悪玉菌の勢力が強いからです。
従って、口内の善玉菌を増やすというアプローチもあります。善玉菌を増やすことで、結果として悪玉菌の活動を抑えるという考え方です。
これには、口内の善玉菌として知られる乳酸菌の一種、Lロイテリ菌を配合した、バイオガイア・プロデンティスというサプリメントなどがあります。2週間続けることで、虫歯菌や歯周病菌を大幅に減少させることができます。
4章 口臭検査を受けてみよう
口臭測定検査を行うと、自分の口臭の原因を知ることができます。また、口臭を気にしている人の中には、自分だけが気になっているだけで、他の人は感じないというケースもありますので、一度、口臭測定検査を行ってみることをおすすめします。
口臭測定検査とは?
口臭測定検査は、口内からどのようなガスが発生しているかを分析するための検査です。前述した通り、悪玉菌には、硫化水素やメチルメルカプタン、ジメチルサルファイドといった、硫黄化合物を出すものもあり、これらのガスが出ているかどうかを、測定する検査になります。
また、アセトンやアンモニア、アセトアルデヒドといった物質が測定された場合には、口内からの臭いではなく、内蔵や耳鼻咽喉の疾患などによる臭いの可能性もあります。
さらに、実際にドクターが臭いを嗅いで、人がどのくらいの距離から口臭を感じるかといった、官能検査なども行います。
唾液の検査
唾液の検査も、お口の健全な環境を保つために重要です。唾液の検査では、唾液の分泌量や唾液の色、PHなどを測定し、唾液が口内をお掃除する役割をしっかりと保てているかを判断します。
尿検査
内臓疾患などの疑いが考えられる場合には、尿検査も行います。尿の色や臭い、尿タンパク、ケトン体の量などを測定し、腎臓疾患や肝機能などに問題がないかを調べることができます。
口臭が気になるからといって、爽快感の強い歯磨き粉やマウスウォッシュなどを使っている人もいるでしょう。しかし、口臭には口内環境の悪化をはじめ内蔵疾患など、さまざまな疾患が隠れているものです。
従って、洗口液などの爽快感で打ち消すような対処法では、疾患を悪化させてしまう可能性もあります。その原因を突き止め、根本的な改善に努めることが大切なのです。
まずは、口臭の原因を特定するために、口臭測定検査を受けてみましょう。
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