1.口臭外来での治療の流れと受診時の注意点
口臭トラブル解決のため、様々な治療を専門に行うところが口臭外来です。問診と丁寧なカウンセリング、そして検査によって口臭の原因を特定し、口臭を改善する治療を行います。
口臭の原因となるガスとして、硫化水素やメチルメルカプタン、ジメチルサルファイドなどがあります。
硫化水素とは、口の中に原因がある場合出てくる物質で腐った卵のような臭いが特徴であり、メチルメルカプタンは歯周病を原因とする口臭で検出され、腐ったタマネギのような臭いが特徴です。
そして、歯周病がある場合に検出されるジメチルサルファイドなど、さまざまな種類があるのです。
ここでは、口臭治療の主な流れと受診前、受診時の注意点について詳しく紹介していきます。口臭外来を初めて訪れる際の不安や疑問の解消にぜひお役立てください。
1-1 治療の流れ
予約
口臭外来が設置してある歯科医院、および総合病院の口臭外来を予約します。口臭外来では初診時に2~3時間ほど時間を取り、丁寧に精密検査や問診を行う病院が多いようです。
初診
記入した生活調査票や問診表があれば持参し、医師の診察を受けます。その後、詳細な検査を行い、口臭の有無とその原因について説明を受け、治療計画を立てます。
※生活調査票とは、起床、食事、出勤、帰宅、就寝など一日のタイムテーブル×一週間分と朝・昼・夜の食事の内容、口臭の発生した状況を記入した表です。問診表はふだんの生活習慣、持病などについて記入したものです。
再診
1週間から10日に一度ほど通院し、2~3カ月後の完治を目指します。通院ごとに口臭測定を行いながら治療を継続し、口臭が改善しているか診ていきます。
1-2 口臭外来を受診する場合の注意点
口臭外来を受診する際は、以下のようなことを気をつけましょう。
- 口臭外来の初診では、問診とカウンセリング、検査などを含め2~3時間ほどかかることが多いので、時間に余裕がある日の午前中に予約を入れる
- 予約の際に、生活調査票や問診表などの持参を求められた場合には、できるだけ正確に記入し持参する
- 口臭を測定する日には、食べ物などの臭いが移っていない服を選び、香水や整髪料を付けないで行くようにする
- 正確に測定をするため、前日などに、にんにくなど強い臭いのする食べ物は取らないようにする
2.検査と治療法
ここでは、口臭外来での具体的な検査の内容と治療法について紹介していきます。
2-1 口臭検査
口臭の検査は、一人ひとりの症状に合わせ、以下のような方法から選択して行います。これらの検査はすべて自費での診療になります。
口臭専門の測定器を使用した検査
口腔内のガスを調べることにより口臭の有無や濃度、口臭の原因の特定を行います。
尿検査など
全身に口臭の原因となる病気がないか調べます。
唾液の検査
唾液の分泌量や状態を調べます。
官能検査
患者の口の臭いを医師が直接嗅いで、臭いの強さや種類を確認します。
診察
舌を含めた、歯、歯ぐき、口腔粘膜等の口腔内に異常がないか時間をかけて調べます。歯や歯周病の検査のためレントゲンを撮ることもあります。
2-2 口臭外来での治療方法
口臭の原因により治療法が異なるため、原因を正確に見極めることが何より大切です。そのため、経験豊富な口臭専門外来にかかるのが口臭改善の近道です。
生理的口臭の治療
どんな人にでもある口臭です。起床時や空腹時、緊張した時などに強くなる傾向があります。一般的な歯科医院や内科などの場合、生理的口臭は気にする必要がないと一蹴されることがあります。
しかし口臭外来ではカウンセリングと検査を通し、唾液の量や質に問題はないか、ふだんの食事や生活習慣はどうかなどを多面的に判断し、生活リズムの見直しや日常的なストレス緩和へのアドバイス、唾液の分泌を増やす方法など様々な対策を提案してくれます。
また口臭を抑えるスプレーや薬など、症状に応じた処方もします。口腔内に特に異常がなくても口臭が気になる方は口臭のエキスパート、口臭外来の受診がおすすめです。
病的口臭の治療
糖尿病など内臓疾患が原因と思われる場合は内科、濃栓や副鼻腔炎が疑われる場合は耳鼻科、舌や歯ぐきなど口の中にできた口腔癌を発見した場合には、口腔外科の受診をすすめられます。
虫歯や歯周病、歯垢(プラーク)を原因とする口臭の場合は、歯周病の治療、歯垢や歯石の除去とともに正しいブラッシング指導を行い、口臭の改善を図ります。虫歯や歯周病の治療については、口臭外来専門のクリニックでは対応しないこともあります。その場合は一般歯科での治療を勧められます。
舌苔(ぜったい=舌についた汚れ)が原因の口臭にはセルフケアが有効な場合もありますが、手入れのし過ぎは逆にトラブルを引き起こします。不安をお持ちの方は口臭外来での相談をおすすめします。
ドライマウス(口内乾燥症)は、口の中が渇き、舌が痛くなったり、味覚障害を起こしたりする病気です。ひどくなると口臭も出てきます。ドライマウスの原因は、ストレスや加齢、更年期障害、唾液線の病気、糖尿病、薬の副作用、シェーグレン症候群など実に様々です。
そのため、まずはドライマウスの原因を正確に突き止めることができる口臭外来で精密検査を受けましょう。原因の特定こそが治療の第一歩です。持病がある方や飲んでいる薬がある方は、受診の際、お薬の種類や病気のことが分かるものを持っていくようにしてください。
実際には口臭がないのに、あると感じてしまう「仮性口臭症」の場合には、口臭外来でカウンセリングや指導を行います。ほとんどの人はカウンセリングを通じ、臭いがないことを理解し症状が改善します。それでも口臭があると思いつめてしまう場合(自臭症)には心療内科の受診をすすめられることがあります。
3.治療費について
口臭治療の費用は、初診時には検査と診察でおよそ30,000円前後です。口臭を抑制する薬などが出された場合には、薬代としてさらに7000~9000円程度かかるようです。
また再診時の費用は平均15,000円前後です。口臭治療の費用は基本的に自費診療になります。費用の詳細については各病院にお問い合わせください。
口臭の主原因が虫歯や歯周病の場合は保険が適用されます。保険適用の治療と保険適用外の治療を一度に行う「混合診療」は現在禁止されているため、同じ病院でどうしても保険適用の治療と保険適用外の治療を行いたい場合には、日を改めて行う必要があります。
口臭が気になる場合には、まず一般歯科で口腔内を診察、治療し、それでも治らない場合には改めて口臭外来を尋ねることをおすすめします。
4.口臭外来の探し方
口臭の悩みは他人には相談しづらいものです。そんな時は口臭外来を開設している最寄りの医院のホームページや、下記の歯科予約サイトから自分に合った医院を探してみましょう。
https://haisha-yoyaku.jp/(EPARK歯科)
口コミなどの評判も記載してありますので、ぜひ参考にしてみてください。
口臭外来に行くメリットは、何と言っても口臭の原因がわかることです。唾液の分泌不足が原因の口臭から、虫歯や歯周病による口臭、あるいは内臓疾患からくる口臭など、様々な原因を専門医ならではの豊富な経験で診断してくれます。
時には、一刻も早い治療を要する病気が見つかることもあります。口臭でお悩みの方は、一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。
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監修日:2017年12月11日
伊丹太郎 先生監修
プロフィール
目指したきっかけ:医療には関心あったが、やはり一番は両親の教育が大きかったのではないかと思う。
やりがい:大学のときは他の職種とは違う特殊性に惹かれていたのですが、実際歯科医になってからはお礼を言われる部分です。