進行状態によって異なる!歯周病の治療方法とは

歯周病を治したいと思っているものの、歯医者さんへ行くのがついつい後回しになっていませんか?
歯を支えている歯肉が化膿したり歯茎の骨が破壊させられたりする歯周病は、早めに治療をしないと手遅れになってしまいます。ひどくならないうちに治療をはじめましょう。
現在、歯周病の治療は多様化していて、病態や患者さん自身の希望、その他もろもろの要素を考えあわせて選択をします。今回の記事ではその中の一例をご紹介しますので、参考にしてみてください。

 

この記事の目次

段階別、歯周病の治療方法

1-1 歯肉炎

歯肉炎とは、歯肉に炎症が起きている状態のことです。歯肉が腫れて、歯と歯肉の境目にある溝「歯周ポケット」が3mmほどの深さになり、歯垢(プラーク)がたまりやすくなっています。歯磨きをすると血が出ることもあるでしょう。
歯肉炎がごく軽症のうちは、正しいやり方でブラッシングをすると改善できる可能性があります。ただし、本人はきちんと磨いているつもりでも、正しく歯磨きをできているとは限りません。歯ブラシの毛先が歯周ポケットにあたっていないと歯垢(プラーク)は除去できないのです。
この段階では、歯医者さんでクリーニングをしたり、正しいブラッシングの指導を受けたりする程度で改善がみられます。

 

1-2 軽度歯周炎

歯周ポケットの深さが4mmほどに深くなり、炎症が広がって歯茎の骨が溶け始めている状態です。歯磨きの際に出血がみられるほか、冷たい水を口にするとしみるようになります。口臭がひどくなるといった症状もみられます。
歯周炎に進行してしまうと、歯磨きだけでは改善ができません。歯についている歯垢(プラーク)や歯石をスケーラーという器具を使って取り除く必要があります。この処置を「スケーリング」と呼んでいます。
スケーリングで歯の表面をきれいにすると炎症がおさまり、歯周ポケットは浅くなります。軽度の場合には、歯医者さんでスケーリングを受けて歯周病の進行を抑えましょう。もちろん、適切な歯磨きも欠かさずに続けましょう。

 

1-3 中度歯周炎

中度になると、歯周ポケットの深さは4~6mmほどになります。歯肉が腫れて出血がみられるほか、歯が浮くような感じがするでしょう。歯茎の骨が半分くらい溶けているので、歯をしっかりと支えられなくなっています。歯を指で押すと、ぐらついてしまうほどです。口臭も強くなってきます。
ここまで進行すると歯医者さんで外科的処置や投薬といった治療を受けなければなりません。麻酔をして歯周ポケットの溝にたまった歯石をかき出す「歯周ポケット掻爬(そうは)術」という処置がとられるでしょう。

 

1-4 重度歯周炎

歯周ポケットが7mm以上の深さにまでなると重度の歯周炎です。歯肉が下がり、歯の根っこ部分が見えるようになるでしょう。そのため、歯が長くなったように感じます。歯と歯肉の間から膿(うみ)が出てくるので、口臭がとてもきつくなるのも特徴です。歯茎の骨は3分の2以上溶けてしまっているので、歯がグラグラとしてきます。そのまま放っておくと、最終的に歯は抜け落ちます。
重度になると、歯医者さんで手術を受けなければならない場合もあります。人によって歯周炎の状態が異なるので、症状に適した手術法が行われます。歯肉を切開して歯の根っこ部分を出し、そこに付着している歯石などをきれいに取り除く「フラップ手術」のほか、特殊な材料を用いて失われた骨を再生する手術など方法はいくつかあります。

 

歯周病治療で基本となること

2-1 基本的な治療

歯周病の進行具合に関係なく、基本となる歯垢と歯石の除去は最初に行います。また、歯がぐらついている場合には余計な負担がかかってしまうので、歯を削るなどして噛み合わせも調整しなければなりません。歯のぐらつきをおさえるために、歯科用の接着剤を使って隣の歯とくっつける方法をとることもあります。

 

2-2 プラークコントロール

歯周病の原因となる歯垢を除去して増殖をおさえるプラークコントロールは、歯周病治療の基本となります。正しいブラッシングに加え、歯間ブラシやデンタルフロスなどを使って自宅でプラークコントロールするだけでなく、歯医者さんで歯垢を取り除く処置をしてもらうことも大切です。

 

2-3 詰め物や被せ物を調整

過去の虫歯治療などで詰め物や被せ物をしている場合には、不具合があると歯垢がつきやすく歯磨きで取り除くのは難しくなるので調整しなければなりません。このように詰め物や被せ物を調整すると歯垢が付着しにくくなるので、歯周病の進行をおさえられる可能性があります。

 

2-4 生活習慣の見直し

歯周病は生活習慣にも深い関係があります。睡眠不足やストレス、病気などで身体の抵抗力が落ちていると歯周病菌に感染しやすいのです。特に生活習慣病である糖尿病には注意が必要です。
歯周病を改善するためには、規則正しい生活や栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス解消などが欠かせません。また、よく噛んで食事をすることも大切です。

 

歯周病は早期治療が重要

3-1 歯周病を放置すると

歯周病に一度でもなってしまうと、どんなに治療をがんばっても破壊された歯周組織を完全に元に戻すことはできません。歯周病治療で大切なのは、できるだけ早めに治療を始めて進行を遅らせることです。歯を長持ちさせるために、少しでも早く治療に取り組みましょう。
歯周病の治療を開始するのが遅れるほど治すのが難しくなり、外科的処置が必要になる可能性も上がります。抜歯しなくてはならない状態になったり、歯が抜け落ちてしまったりする事態もあるので注意してください。
歯周病治療は、早期発見・早期治療がとても大切なのです。

 

3-2 歯周病の治療で大切なこと

歯周病の治療技術は進歩してきており、進行を遅らせられるようになってきました。しかし、歯周病の基本は「歯垢をため込まないこと」であることに変わりはありません。どのような治療を受けようとも、正しい歯磨きを毎日続けることは不可欠です。
同時に、歯肉の中に入りこんでいる歯垢や歯石まできれいに取り除かなければ歯周病は防ぎきれません。歯医者さんに通ってメンテナンスを定期的に受けることも忘れないでください。

 歯周病がどのくらい進行しているのかによって、必要となる治療方法が変わってきます。早期に治療を始めるほど歯周病の進行を遅らせることができるので、早期発見が重要となるのです。そのためにも、ふだんから定期的に歯医者さんに通う習慣をつけておきましょう。

また、病態だけでなく患者さんの希望、その他の要素を総合的に判断して治療法を決めていくのが現代の歯周病治療では一般的です。そのため、自分に合った治療法はどういったものか、歯医者さんと相談してみるのが一番でしょう。

歯周病はよくある病気に思われがちですが、放っておくと歯を失ってしまう恐れがあります。歯周病の症状がすでにあらわれているのであれば、軽く考えずにすぐにでも歯医者さんの治療を受けてくださいね。

今日、求めていた歯医者さんが見つかる

 

監修日:2017年06月08日
遠藤三樹夫 先生監修
経歴・プロフィール

出身校:大阪大学
血液型:O型
誕生日:1956/11/09
出身地:大阪府
趣味・特技:料理