親知らずを抜いた後の注意点!痛み・感染を防ぐための基礎知識

親知らずは、一般に「トラブルの原因になりやすい歯」と認識されています。現代人は、顎の小さい人が増えています。顎が小さいと、親知らずがきれいに生えるだけのスペースがありません。結果、うまく生えてくることができず、さまざまな口腔トラブルを引き起こしているのです。

このような理由から、親知らずは高い確率で抜歯されます。しかし、多くの人にとって「歯を抜く」というのは、それなりの覚悟を要する処置です。抜くときには恐怖もあるでしょうし、抜いた後には痛みがあります。

 

この記事の目次

1.抜いた後が大変!?親知らずを抜歯したときの注意点

もちろん、患者さんにとっては、抜歯自体が大きな出来事だと思います。とはいえ、ごく普通の抜歯なら、抜歯自体は5~10分で終わることも珍しくありません。当然、処置しているときは麻酔が効いているので、あまり痛い思いをする心配もないでしょう。

 

それより、患者さんにとって大問題なのは「抜いた後」です。抜歯から2~3時間が経過すれば、麻酔が切れて痛みがやってきます。しかも、抜歯した傷口が治るまでには、一定の期間が必要です。この章では、「親知らずを抜いた後にやってくる苦痛」を最小限に抑えるためのポイントを解説したいと思います。

 

1-1 抜歯後、ガーゼを30分噛み続ける

抜歯を終えると、傷口にガーゼ・脱脂綿を入れられて「30分くらい噛んでいてください」と言われるはずです。これは、傷口を圧迫することで止血が早まるからです。この方法を「圧迫止血」と呼びます。面倒だからと5分、10分でやめてはいけません。歯を抜いた後、きちんと30分噛んでいるようにしましょう。止血が早いほうが、痛みも小さくなります。

 

ただし、30分が経過したら、ガーゼを取り出してください。いつまでも噛んでいると、今度は口の中に唾液が溜まりすぎて止血が遅くなります。多くの場合、30分が適切と考えられています。

 

1-2 麻酔が切れるまで、食事は避ける

歯を抜いた後、麻酔が切れるまでには2~3時間のタイムラグがあります。食事を摂るのは、麻酔が切れてからにしてください。麻酔で口腔内が痺れているときに食事をすると、火傷・ケガのリスクがあります。感覚がないと、熱いものを平気で口の中にとどめたり、舌・頬粘膜を噛んだりする恐れがあります。

 

特に、下顎の親知らずを抜いた後は要注意です。下顎は麻酔が効きにくいので、多くの場合、伝達麻酔をおこないます。伝達麻酔は下顎全体の神経をブロックする麻酔で、マヒする面積が広いのです。火傷・ケガのリスクがより高くなります。

 

1-3 麻酔が切れる前に、1回目の鎮痛剤を服用する

親知らずを抜いた後、鎮痛剤を処方されているはずです。1回目の服用は、なるべく麻酔が切れる前にしましょう。痛みを感じると神経が過敏になり、鎮痛剤が効きにくくなるからです。なるべく痛みを抑えたいのであれば、「痛みを感じる前に飲む」というのがポイントになります。

 

1-4 歯を抜いた後、当日は運動・入浴・飲酒を控える

抜歯当日は、「過度な運動」「バスタブへの入浴」「飲酒」を控えるようにしてください。血管が拡張し、血流が上がるので、血が止まりにくくなります。いったんは止血できている場合でも、再出血の恐れがあります。

 

通常、抜歯の傷跡には、ゼリー状になった「血の塊」が生じます。この「血の塊」を「血餅(けっぺい)」と呼びます。これは「かさぶた」の代わりになるもので、傷口を保護し、治癒を促す働きがあります。しかし、出血量が多すぎると、うまく血餅が固まらず、「抜歯した穴」がむき出しになってしまうのです。傷口が塞がらず、抜歯の穴がむき出しになった状態を「ドライソケット」と呼びます。

 

ドライソケットは歯槽骨(歯を支える骨)まで直通の穴なので、かなりの痛みを伴います。食べ物・飲み物がドライソケットに入りこむと、骨の神経がダイレクトに刺激されるからです。痛みを伴うドライソケットを避けるためにも、運動・入浴・飲酒は控えるようにしましょう。

 

1-5 うがい・歯磨きなどの物理的刺激に注意する

傷口が塞がってくるまでは、「過度のうがい」「傷口付近の歯磨き」に注意してください。叙述したように「血餅」が外れてドライソケットになると、激しい痛みが生じる上、最終的な治癒も遅くなります。「過度のうがい」「傷口に対する歯ブラシの接触」は、血餅が外れる要因になり得ます。物理的刺激によっても、血餅は外れるのです。

 

2.歯を抜いた後、こんな症状が出たら要注意

多くの場合、親知らずを抜いた後の苦しみは一時的なものです。痛みは2~3日で引き、その後は徐々に回復に向かいます。しかし、中には「すんなり治癒しないケース」というのも存在します。

 

2-1 傷口の周囲が腫れて、発熱が見られるケース

親知らずを抜いた後、「2~3日だけ38℃前後の熱が出た」というなら、それほど心配はいりません。48時間で炎症がピークになるので、単に「炎症反応が思ったよりも強かった」というレベルの話です。

 

ただし、39℃近い高熱が出たり、抜歯から3日が経過しても熱が下がらなかったりしたら、要注意です。傷口に細菌が入り、感染症を起こしている疑いが強いからです。感染症を起こすのは、たいてい、抜歯後に処方された抗生物質をきちんと飲まない人です。抗生物質は自己判断でやめずに、きちんと処方された分量を飲み切りましょう。

 

2-2 親知らずを抜いた後、頭痛を起こすケース

親知らずの中には、歯槽骨に埋まった状態のものがあります。こういった親知らずを「埋伏智歯」と呼んでいます。特に、下顎の埋伏智歯を抜く場合は、骨を削るのにかなりの苦労を伴います。下顎の歯槽骨は硬く、ドリル・ハンマーなどを用いて削ることになります。その際、頭に振動が加わり、頭痛の原因になることがあるのです。多くは一過性の頭痛ですが、長期間にわたって続く場合は医療機関に相談してください。

 親知らずの抜歯をしたら、抜いた後の注意点をしっかりと守るようにしましょう。痛みを緩和することはもちろん、血餅の脱落による「ドライソケット」を防ぐためにも、歯科医師の指示に従うことは重要です。

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監修日:2017年12月11日
高村剛 先生監修
経歴

出身校(最終学歴): 北海道医療大学 歯学部
歯科医暦:24年目
歯科医を目指したきっかけ:父親が歯科医で、背中を見て歯科医になろうと思った。