ブリッジの構造やメリット・デメリット、他の治療法を詳説!

抜けた歯をそのままにしていませんか?目立つような歯であれば、すぐに治療を始めると思いますが、抜けた歯がどんな箇所にあっても、1つでも失うことは望ましくありません。この記事では、抜けた歯を補う代表的な治療法であるブリッジについて、詳しくご紹介するともに、他の治療法となる入れ歯やインプラント治療についても、それぞれの長所短所について詳しくお伝えします。歯がないところは、できるだけ早急に補うことが肝心です!該当する方は、是非とも、この記事を参考にしてください。

 

この記事の目次

1章 ブリッジとはどんな治療法?

歯を失った箇所があると、その空間に隣の歯が倒れ込んで、歯並びが乱れます。また、歯は隣同士が接触しアーチ状に支え合っているもので、欠損しているところがあれば、歯の全体の強度も下がるものです。従って、歯が抜けたり、抜歯した場合には、なるべく早く補うことが肝心です。抜けた歯を補う主な治療法には、ブリッジ、入れ歯、インプラントの3つが上げられます。ここでは、特にブリッジの治療スポットを当ててご紹介いたします。

 

橋のように歯をつなぎます

ブリッジとはその名の通り、抜けた歯の両隣を支えとして橋渡しをするように繋ぐ治療法(あるいはその装置)をブリッジといいます。ブリッジをかけることによって、両隣の歯が抜けた空間に倒れ込むことがなくなり、歯のアーチ状に支え合う力も保たれるようになります。

 

ブリッジの基本的な構造

ブリッジをかけるには、両隣の歯を削って形を整えることが必要となります。その削った両隣の歯を土台にして、欠損した部分を含めひとつながりになったクラウン(被せ物)を接着します。ただし、3本以上の連続した欠損では、ブリッジは不向きで、1本から2本連続した欠損の治療に向いています。また、抜けた歯が一番奥の歯(第2大臼歯)である場合には、橋渡しの構造になりませんが、手前の2本を土台にして、クラウンを奥に延長することも可能です。

 

ブリッジのメリットとデメリット

 

【メリット】

 

・保険を適用すれば安価で治療可能

ブリッジの素材を選ばなければ、健康保険が適用できるので、とても安価で治療できます。奥歯だけでなく、前歯にもブリッジをかけることができます。

 

・治療が速やかにできる

ブリッジをかける部位や、ブリッジをかける歯の状態にもよりますが、早い場合には、2~3回程度の通院で、2週間くらいで治療ができます。ちなみに、部分入れ歯では、2週間から1ヶ月程度で、インプラントでは、3ヶ月から半年くらいが目安になります。

 

・外科的な処置が不要

インプラントでは、人工歯根を顎の骨に埋め込む手術が必要ですが、ブリッジでは支えとなる歯を削って、クラウンを接着するだけなので、外科手術がなく処置がシンプルです。

 

・ズレやガタ付きがない

入れ歯は、金属などのバネを隣の歯に引っ掛ける構造なので、歯の位置が変わってくると、次第にズレたりガタついたりしてきます。ブリッジは、歯に接着して固定するので、こうした問題はありません。

 

・食感を保てる

歯と歯槽骨(歯を支える骨)をつないでいる歯根膜は、食べ物の柔らかさ、固さという食感を与えてくれるものです。歯が抜けたた部分では、もちろんこうした食感を感じることはできませんが、ブリッジでつなぎ合わせた土台の歯で、十分に食感を保つことができます。

 

【デメリット】

 

・隣の歯を削る必要がある

最大のデメリットは、抜けている歯の隣の歯が虫歯や被せ物をしていない健康な歯であっても、ブリッジを作る際にそれを削らないといけない場合があるという事です。隣の歯が既に虫歯や被せ物の処置をされている場合は、それを一旦外して作り直すことになります。

 

・ブリッジした部分の噛む力が落ちる

1本の欠損により、その両隣にブリッジをかけた場合、これまで3本で支えてきたものを、2本で支えることになります。単純計算で、その部分の噛む力は3分の2程度に落ちます。

 

・ブリッジをかける歯に負担がかかる

噛む力が落ちるデメリットと似ていますが、同じ固さのものを、3本で噛むか、2本で噛むかという違いになります。当然、2本で噛む方が、個々の歯には大きな力が加わり、負担がかかります。

 

・ブリッジの下から空気が漏れる

欠損した部分のブリッジの下から空気が漏れやすく、ブリッジの箇所によっては、発音に支障がでることもあります。

 

・抜けた部分の骨が痩せる

抜けた歯の下の歯槽骨は次第に痩せていくのが、噛み合わせの常識です。歯槽骨は、上下の歯が噛み合って発生する圧力がなくなると、その役割を終えて痩せていくものです。また、1つの歯の歯槽骨が痩せ始めると、次第に隣の歯にも影響し、噛む力が弱まっていきます。最後には抜け落ちてしまうこともあり、歯科医院への定期検診が欠かせない治療となっています。

 

・接着部から虫歯になりやすい

これは、歯医者さんの腕前と日々のセルフケアが関わってくるところですが、土台とする隣の歯とクラウンの接着した継ぎ目には、歯垢がたまりやすく、そこから虫歯になると、ブリッジの寿命が損なわれます。ブリッジの寿命の目安は、およそ8年程度と言われていますが、それより早く不具合が生じる可能性もあります。
特にブリッジでつないである歯はデンタルフロスや糸ようじでは清掃出来ませんから、歯間ブラシなどの補助的な口腔清掃器具を使ってメンテナンスすることが必要になります。

 

2章 保険が適用されるブリッジのデメリット

保険が適用されるブリッジは、治療費が安価になるという最大のメリットがありますが、使用する素材が限定されるので、それに相応したデメリットがあるものです。ブリッジ全般のメリットやデメリットは前述したとおりですが、ここでは特に、保険で治療するブリッジのデメリットについて、明記しておきましょう。それは主に素材の問題です。

 

前歯のブリッジのデメリット

前歯のブリッジでは、硬質レジン前装冠という治療が行われます。硬質レジン前装冠は、歯をつなぐブリッジの本体に、金銀パラジウム合金(いわゆる銀歯素材)を用い、その上に、白いレジン(プラスチックの一種)を貼り付けて、審美性を持たせるというものです。前歯の前面に貼るレジンは、自分の歯の色に合わせられるものの、素材の性質上、月日を追うごとに黄ばんでいき、臭いを吸着しやすいというデメリットがあります。また、ベースとなる金銀パラジウム合金は、次第に溶け出して、周辺の歯茎を黒くしてしまいます。
またレジンの表面はセラミックや金属のように滑沢ではないので、歯垢が吸着しやすく、その結果歯肉炎を引き起こしやすくなります。またレジンは化学樹脂でもあり、その化学的刺激によるアレルギーを起こす人もいます。

 

奥歯のブリッジのデメリット

奥歯の場合には、すべて金銀パラジウム合金でブリッジを作ることになります。奥歯のなので、目立ちにくいものですが、それでも銀歯は審美性に欠けるものです。また、硬質レジン前装冠と同様に、銀歯素材が次第に溶け出して、周辺の歯茎を黒くしていきます。

 

 

3章 審美性の高い自費診療のブリッジ

素材が限定される保険治療のブリッジに対して、自由診療のブリッジでは当然、素材を自由に選べます。素材に応じて費用も変わりますが、保険治療と比較すると、やはり審美性や耐久性に優れているといえます。

 

自由診療で使われる前歯の素材

 

・メタルボンド

メタルボンドでは、ブリッジのベースに金属を使用していますが、被せ物で目立つ部分にはセラミックを使用しています。セラミックはレジンと同様に、他の歯と色を合わせることができ、レジンと違って、年月を経過しても変色が非常に少ないものです。
ベースになる金属は金合金などの貴金属からコバルトなどまで、その病院によって色々です。金属の種類によっては経時的に歯茎が黒ずんでくる場合もあります。 使用する金属の価格差はそのメタルボンド冠の値段に反映されていると思ってください。

・オールセラミック

オールセラミックは、ブリッジのベースもクラウンも、すべてセラミックで一体成型したブリッジです。すべてセラミック製なので、変色しにくいことはもちろん、メタルを使っていないので、歯茎の黒変も起こりません。また、金属アレルギーの方でも治療することができます。

 

自由診療で使われる奥歯の素材

前歯のように、オールセラミックのブリッジがあれば良さそうですが、セラミックは割れやすく奥歯には強い力が加わるので、ブリッジの強度を保つためにも、メタルのベースが必要となります。
以前はオールセラミックのブリッジは、連結部分の強度に難があったため、特に強い力のかかる奥歯では割れるリスクが高く、あまり推奨出来ませんでした。
しかし近年は、ジルコニアと呼ばれる緻密できわめて強度の高いセラミックのブロックを、3Dでコンピュータースキャンした歯の模型に合わせて、CADという器械で削り出して歯を作る技術が飛躍的に向上しました。
そのためきわめて強度が高く、高い精度で、審美的にも優れたブリッジを奥歯でも製作出来るようになりました。 ただし最新の技術でもあり、自由診療で扱う被せ物のの中でも費用的に高額になっています。扱っていない病院も多いので一度訊いてみましょう。

 

・メタルボンド

メタルボンドは、前歯のブリッジ同様に、メタルをブリッジのベースとして、その上にセラミックの人工歯を付けたものです。セラミックは天然歯のような色合いを長期間保つことができますが、ベースのメタル素材によっては、歯茎が黒ずんできます。

 

・金やプラチナ合金

金合金やプラチナ合金を使用したブリッジでは、表面が金や銀色なので、審美性には劣ります。しかし、これらの素材は、歯の固さに近く仕上げているもので、天然歯のような適度な柔らかさがあり、噛み心地が良く、噛み合う歯に負担も少ないものです。安定した素材である金やプラチナがベースなので、口内に溶け出しにくく、歯茎が黒ずむこともありません。

 

 

4章 ブリッジ以外の治療法について

前述した通り、抜けた歯を補う治療法には、ブリッジのほかに、入れ歯やインプラントがあります。インプラントは外科手術を行うため、主に歯科口腔外科で扱う分野となっております。その審美性と耐久性から、第2の永久歯とも呼ばれています。

 

部分入れ歯

部分入れ歯とは、欠損した歯の隣り合う歯に、バネと呼ばれる金属素材などの留め具をかけて、義歯を固定するものです。1本や2本連続した欠損では、通常ブリッジの治療を行いますが、3本以上の連続した欠損では、部分入れ歯を使うことが多くなります。

 

【メリット】

 

・素材の限定があるが、保険が適用される
・2週間から1ヶ月程度の比較的短期で治療できる
・両隣の歯を削る必要がない
・連続した複数本の欠損にも対応できる
・歯医者さんの技量によって完成度の高い入れ歯ができる

 

【デメリット】

 

・両隣の歯に大きな負担がかかる
・歯は移動するものなので、次第にフィットしなくなる
・ズレ始めると発話や咀嚼がしにくくなる
・毎日取り外して洗浄する必要がある
・ブリッジと同様に欠損した歯の下の骨が痩せてくる

 

インプラント治療

インプラント治療は、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上にセラミックの義歯を立てる治療法です。外科手術を必要とするため、歯科口腔外科で扱う治療分野となります。

 

【メリット】

 

・ブリッジと違い、両隣の歯を削る必要がない
・入れ歯やブリッジと違い、両隣の歯に負担がかからない
・歯根を立てるので、歯槽骨に噛む刺激が得られ骨が痩せない
・見た目が天然歯と変わらない
・違和感なく噛んだり話したりできる
・天然歯に近い噛み心地がある
・耐用年数がおよそ10年で寿命が長い
・インプラントメーカーの長期保証が付く医院もある

 

【デメリット】

 

・使用素材にかかわらず、保険が適用されないので高額になる
・外科手術が必要となる(1本20分程度の手術)
・人工歯根と骨が結合するのに、数カ月の時間を要する
・ケアを怠るとインプラント歯周炎にかかりやすい
・歯槽骨が痩せている場合には、骨を増量する治療が必要
・骨粗鬆症や内臓疾患の状態によっては手術できないこともあるブリッジは、歯の欠損を補うもっとも一般的な治療なので、わざわざ説明するまでもないものです。しかし、歯の欠損を補う入れ歯やインプラント治療と比較すると、ブリッジの知られざるメリットやデメリットを、より深く理解できたと思います。また、歯が抜けたままにしておくと、どんな弊害が起こるかも分かったはずです。歯を補う治療法には、それぞれにメリットとデメリットがあり、費用も異なるので、一概に何がベストかを決めることはできませんが、それぞれの長所短所を把握し、今の自分にとってのベストな治療法を見つけてください。

 

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監修日:2017年12月12日
遠藤三樹夫 先生監修
経歴・プロフィール

出身校:大阪大学
血液型:O型
誕生日:1956/11/09
出身地:大阪府
趣味・特技:料理